第3話 うわあ、これは酷い (原因は俺)

「2年5組最強のカップル、破局か!?」

「キッカケは彼氏のラブホ発言か」

こんなニュースが彼らの破局後約3分で校内に知れ渡り、生徒達を震撼させた。

(結構有名だったんだなあのカップル。まあ、ざまあ見ろ!って感じだな!)

最高のドヤ顔が炸裂。誰かに見せられない!・・・俺今誰にも見えないんだったわ。

「ああ、破局バンザイ!もう俺は誰にも止められない!」

「なあ今この辺から声が聞こえなかったか?」

(!!!やっべ、声は聞こえんのな!!)

「・・・気のせいか」

(・・・あっぶねえええ!!)

後で声まで聞こえなくなる道具をアンナに要求しとくか。

(むむ!俺のアンチカップルアンテナが反応している!)

アンチしすぎた結果、とうとうカップル(なりかけ含む)の気配にすら反応出来るようになった俺。さあ待ってろ。俺が破局させてやる!



場所は屋上。どうやら普通に鍵を開けて入って、外側から鍵をかけたらしい。

(ま、こんなのどうってことないけど)

ピッキングなんざお手の物。針金一本あればできる。

(どれどれ、あー、今から告白すんのか・・・)

見た感じ、真面目くんが初恋の人に告白、ってシチュか。

「ずっとあなたのことが好きでした!どうか僕と結婚を前提に付き合って下さい!」

わーお、お決まり過ぎる文句。逆に面白いな。

(さーて、お相手さんのお気持ちはっと)

スマホから七つ道具の一つ「クリアブレイン・コンタクト」を付ける。

これを付けると見た人の思考がのぞき見れるぜ!気になるあの子の頭の中も一発だ!

(つってもまあ、そんなのぞき見る相手もいないけど。)

強いて言うなら数学の先生か。答えが一発でわかるし。

(・・・ふーん、気持ちとしては肯定的だな。一応思ってる事を全部言うつもりか)

最後まで見てみようかと一瞬思うが、仕事を優先。しっかし、どうしたもんか・・・

(どうせなら全部ひっくり返してみるか)

単語だけじゃなくて、文章を。そんな事をすればあの真面目くんはすごいトラウマになりそうだな・・・。

(話し始めるな。このタイミングで『文章反転センテンス・リバース』!)

「えっと、私、あなたの事嫌いだな。真面目すぎてつまんないし。なんかいっつも変な臭いするし、言葉遣いもウザいし、というか声が粘着質なの。好きな音楽はクラシック、本はドストエフスキー?私と全然趣味合わないじゃん。とにかく気持ち悪いから近づかないで!!」

(うっわあ、こいつは酷え!ま、原因は俺だけど。)

「え、う、うう・・・」

「へ、あ、ああああ!!」

どうやら二人も気づいたらしい。

「え、そ、その、ちが・・・」

「うわあああああああああああああ!!!!」

あっちゃあ真面目くんが泣きながら走ってっちゃったよ。

女の子の方も自分が言ったことに気づいて顔が真っ赤だ。

(さ、これであの二人は二度と結ばれないだろうな。・・・今度は池の方かな)

この高校にはでっかい池がある。11月にそこで告白するとは、なかなかの度胸じゃあないか。

(どれ、行ってやるか)

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