第2話 仕事始め

見慣れた2年5組の文字。高校に入ってからは2年連続で5組だった。

「おはようございます」

「相模!?お前、体は大丈夫なのか!?」

「大丈夫ですよ、先生」

まだ朝のHRが始まったところだった。遅刻判定を鉄骨のおかげで無かった事になってるらしい。まあ担任の反応がうるさいけど。

「・・・はい、今日は特に連絡事項は無いけど、皆登下校気をつけろよ。相模みたいなやつを増やしちゃいけねえからな!」

クラスメイト大爆笑。

(これも全部あのカップルリア充のせいだ・・・)

やはりカップルは嫌いだ。

担任が教室から出た瞬間、着信。あと10秒早かったら没収だったぞ。

メールか・・・。相手は、非通知?メールで出来るの?

『昼休みに校舎裏へ来い。誰にもきづかれるな』

ヤンキーかよ・・・




「ああ、俺、これからリンチかな・・・」

「遅い!いつまで待たせるの!?」

「・・・お前かよ」

いたのはアンナでした。俺の覚悟を返せ!

「で、何の用?」

「あのねえ・・・。あなたに「破局七つ道具」渡しに来たんじゃない。それに、能力の使い方も分からないだろうし」

「・・・さんきゅ。」

「ちょっとスマホ貸しなさい!・・・はい、渡し終えたわ」

「・・・は?」

「ほら画面を見なさい!見慣れないアプリがあるでしょう?それの中に入ってるから、欲しい時に横にスライドさせなさい。あと普通の人には道具は見えないから」

「ああ。」

「能力はどんな風にしたいか、カップルを見ながら考えれば発動するわ。」

「へいへい」

「・・・いい?あなたに依頼をするわ」

「依頼?」

「ええ。手始めにあなたのクラスのカップル、全て別れさせなさい!」

「オーケー任せろ」



放課後。ここからがリア充軍団の時間帯か。

(よーしそれなら、この『インビジブルパーカー』を着てっと)

見た目はただの黒パーカーだが、着ると全く見えなくなり、気配も消える!

「そういえばトシ、あの鉄骨ウチらのせいじゃない?」

「いやいやそんな訳ないって!」

いやお前らのせいだが。

「あはは、そうだよね~!」

おい、おい俺お前のせいで死にかけたんだが

む、あいつデートに誘おうとしているな。

「なあミカ、今から『ラブホ』へ行かないか?」

「「は?」」

教室の空気が凍り付く。

「え、ええ!?」

「うっわ、引くわ・・・帰ろ」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

「こっち来ないで!!」

うわあこれは酷い。『単語変化ワードコンバーター』、こんな悲惨な結果を招くとは・・・。でも、すんげえ気持ちいい!

仕事始めは順調な滑り出し。これなら全破局いけそうだ!

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