2時間目 3

午前1時30分。

「……………駄目だ。出られねえ」

大塚と川島もドアチェックを試みたが結果は以下略。


「大体おかしくない?」

「何が?」

川島の疑問に大塚は質問で返す。

「これだけ大勢をこんな短時間でここに運び込んで、校舎中のドアも窓もあちこち閉め切るなんて、まず一人では無理でしょ。でも…」

「かと言って…大勢で動けば目立ってしまう…か。それは俺も考えた。分からない事だらけだ。とにかく出口を探すしかない。他の奴らも心配だ」

「そうね……………行こう」


2人はとりあえず先に進む事にした。


で、途中、いくつかの元クラスメイトの死体を発見した。


「……………もう嫌……ほんと早く帰りたい…」

さっきちょっと立ち直ったと思われた川島の心がまた折れた。


そこからまたしばらく探索していた時の事だった。


「うひゃひゃー!見つけましたわよー!かわいい獲物ちゃんたち!どっちからいただこうかしら!」


「ぐへへ…女だ…男はいらねえすぐ殺る…女はヤッてから殺る…」


「ふむ……またひとつ、いやふたつ…私の検体が増えるである」


「ねえねえお姉ちゃん。ちょっとだけ、先っちょだけだから刺していい?」


「俺…男…食べる…女…食べない…脂っ濃いから…」


「殺殺殺♪刺殺絞殺斬殺轢殺焼殺毒殺潰殺溺殺凍殺撲殺電殺落殺食殺挟殺射殺どう殺?」


「あの……ずっと前からあなたの事が好きでした!だから死んで下さい!」


「ねえ、この試作品の薬品飲んでくれない?まだマウスにも実験してないけど」


「人間パズルして遊びたいなあ!」


「お願いします。どうかうちの子の離乳食になってあげて下さい」


「汚物は消毒だー!」


わらわらわらわら湧いて来た。

20人近い殺人鬼の皆さんが揃い踏み。

対してこっちは図工用のハサミ持った男女が2人だけ。


絶 体 絶 命


2人が諦めかけたその時だった。


ダダダダダダダダダダダダダッ!!


カラカラカラカラカラカラカラカランッ


連続して鳴り響いた銃弾の放たれる音と空薬莢の落ちる音。


気づくと、周囲にいた殺人鬼たちは皆血を流して倒れていた。

まだ息のある者もいたが即座に人影が動いてナイフか何かでそいつの首を掻っ切った。


「……………あ、あなた……誰?」

恐る恐る大塚は訊ねた。


目の前に立って返り血を大量に浴びていたのは若い男だった。

歳は大塚たちと同じ位で、黒い髪が一部白っぽく染まっていて耳にはピアス、袖から覗いた筋肉質な肩には髑髏やら蛇やら変なマークやらが彫られていて、一見ヤンキーの様な印象だった。男は背中に機関銃やアサルトライフル等何本かの銃が入ったかばんを背負い、血の付いたナイフを振って付着した血を切ってから腰のホルダーにしまうとこっちを見て言った。


「俺の名はA・H。殺し屋だ。お前たちを助けに来た」


午前1時45分。


校内の殺人鬼。

ほぼ全滅。

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ひさ死ぶり 火田案山子 @CUDAKI

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