ダブルクロス:2019.12.15 FEstaARena2019のこと

 先日の15日、埼玉県はさいたま市の浦和区で開かれたFEstaARena2019に参加して遊んできました。

 当日私はとても楽しんで満足して帰ったのですが、時間が少し押してしまったために同じ卓で遊んだメンバーと感想戦を行うことが出来ず、ちょっと疑問が残ってしまったために個人的な振り返りとして感想と反省を行いたいと思います。

 ちなみに反省を行うのは個人的な振り返りだからであって、みんなと一緒にするときは感想戦に終始して反省とかはあまりしないことをお勧めします。その方が楽しく終われますからね。


 さて。まず『FEstaARena2019』というものについてですが、これはTRPGのコンベンションです。埼玉県内で活動している『たまコン』さんと浦和区付近で活動されている『うらコン』さんの合同主催で「FEAR社さんのTRPGを遊ぶ」という趣旨で開催されたものです。

 そしてこの記事はこのコンベンションで私が参加したダブルクロスというRPGの卓について振り返るものです。

 その卓を振り返って感想と反省を綴るものなのでそこで行われた『愛していると言ってくれ』というシナリオのネタバレになりますので、このシナリオについてネタバレを避けたい方は読まないことをお勧めします。このシナリオは当日のGMさんのオリジナルシナリオですが、今後このシナリオがまた違う場所で遊ばれる可能性もあると思うので注意喚起です。

 なお、参加者の許可を得ての記事ではないので(その日あったばかりでつながりのない方ばかりだったので)参加者の名前などは伏せていきますのでご了承ください。

 その上でもし何か問題があると感じた方がおられましたらコメントなどで指摘いただけると幸いです。


 そんでもってちょっと一言付けたします。

 この記事はあくまでも私から見た体験記であり、おぼろげな記憶をもとに構成したものです。正確なログなどではないのでご了承ください。






 さてさて、当日ちょっと早すぎた到着をしてしまいスタッフさんにまだですよと言われて引き返したりなどしつつ開場時間を待って参加してきましたFEstaARena2019。

 私個人としてはとても楽しく全力で遊んできたのでとても満足しているのですが、TRPGは大前提として「みんなが楽しくなるようにがんばる」的な目標があるんですよ。だって協力して物語を作ってみんなで楽しもうってゲームなので。なので個人的には楽しかったんですが思い返すと他のひとはどうだっただろうか、私のプレイを楽しんでくれたのか、他の方自身も楽しんでプレイされていたのかなどが不明だったので振り返りの感想と反省を記していきたいと思います。

 というのも、プレイ時間のタイムスケジュールはGMさんの思い通りに進んではいたんですが、「想定通りに時間を押して、想定通りに三十分オーバーで終わった」ので会場の時間内には終わりましたが感想戦まではできなかったのですね。なもんで感想と、個人的にやるので反省もいれて振り返っていこうと思います。


 というわけで卓分けが終わり、参加者が全員席に着いたところでトレーラーが公開され、PCの作成に入りました。

 ダブルクロスの卓には私を入れたプレイヤーが五人。そしてGMという形で計六名のメンバーです。このプレイヤー五人というのも用意されたハンドアウトの数の最大値で、この時点で多少時間がかかるということをGMは了解していたのだと思います。

 各々自己紹介を終えたところでトレーラーが公開されたのですが、その内容を以下に簡単に書きます。GMさんが作ってきたGMさんの著作物なのでそのままではなく、私がかみ砕いた概要だけ載せますのでご了承ください。


 トレーラー:中央評議会の評議員テレーズ・ブルムの管轄であるN市が舞台。愛を語る言葉が消えた街へレネゲイドの侵入が確認される。レネゲイドの“遺産”を手にしたPCたちはどんな道を選ぶのか。シナリオタイトル『愛していると言ってくれ』。


 というような感じでした(本当はもっと引き込むような次回予告風に書かれています)。

 次にPC1からPC5までのハンドアウトも簡単にご紹介。これもかみ砕いて載せます。


 PC1:

 ロイス:枚方怜奈(ひらかた・れな)

 カヴァー:高校生

 性別指定:男性

 枚方怜奈の恋人というポジション。気が強い彼女に毎日「愛している」と言わされている。しかし彼女は交通事故にあい一時的に目が見えなくなる。その上事故のせいでレネゲイドウィルスが覚醒しやすくなってしまい面会謝絶で入院してしまう。そんなある日PC1がいくら電話で愛してると伝えてもその言葉が彼女に伝わらないことに気付く。この原因を突き止めて彼女との日常を取り戻すという目的を持つ。


 PC2:

 ロイス:“情熱の人(パッショネイト)”勝元言(かつもと・げん)

 ワークス:UGNチルドレン

 性別指定:女性

 シンドローム指定:サラマンダー

 勝元言の恋人という立場。情熱的な勝元に惹かれて恋仲だったが、一年前に勝元はPC2を守るために単身でジャームに戦いを挑んで生死不明になってしまう。その一年後に今回のレネゲイド事件の支援としてN市に派遣される。そこで同様に派遣されてきた勝元言と偶然の再会を果たす。しかし彼は合理的な性格になっており、かつての面影もPC2に対する愛情も失ってしまっていた。レネゲイド事件の解決もしなければならない上に勝元言に何があったのかを調べなければならない目的を持つ。


 PC3:

 ロイス:“愛を乞うひと(ラブ・ベガー)”

 ワークス:UGN支部長

 推奨固定ロイス:テレーズ・ブルム

 テレーズ・ブルムから信頼されていて、切り札とすら認識されているN市のUGN支部長という立場。テレーズからN市に侵入してきたラブ・ベガーというジャームへの対処を命じられる。そのほかこのジャームの「誰かと相思相愛になることを望みながら愛されることを感じ取れない特性と、その性質上業を煮やして恋人を殺してしまうという行動パターン」を知りえており、「N市内で愛を語る言葉が聞こえなくなる」という異変が起きていることも把握しているという設定。支部長としてN市の日常を守るという目的を持つ。


 PC4:

 ロイス:強羅瑠璃(ごうら・るり)

 ワークス:UGNエージェント

 かつて対遺産専門の特殊部隊である“ナイトフォール”に所属していたというUGNエージェントの立場。N市のジャーム討伐へ支援として向かうところ、強羅瑠璃から「以前UGNが今回のジャームの討伐に失敗したことにより、ジャームのレネゲイドウィルスが進化。遺産に匹敵するほどの力を得ている」という情報を知る。その上で強羅瑠璃から必要ならジャームに対抗するための遺産を貸してもいいと申し出を受ける。遺産は危険なので使わないに越したことはないが、いざというときは使う選択肢もあるという情報を持つ。


 PC5:

 ロイス:狭間奏(はざま・かなで)

 ワークス:組織ワークス以外の任意

 狭間奏のかつての友人という立場。奏が天涯孤独であり、誰かと相思相愛となることを求めているが女性から異性として見られていないことに落ち込んでしまうという彼の性質や性格を把握している。その上でUGNからの依頼によって奏がジャームとなってN市に侵入したことを知ってしまう。友人として彼を止めるという目的を持つ。


 と、以上の様なことが書かれたハンドアウトでした。

 これをみんなでどれをやりたいか話し合って担当を決めたところ、特に大きな問題もなくみんな自分がやりたいと希望したハンドアウトを入手。キャラクター作成が始まりました。

 私が選んだハンドアウトはPC5。基本的にRPGのPCナンバーはスモールナンバーほど物語に深くかかわるPCであることを示し、ラージナンバーはサポートする役目が多いものになります。今回もそれは同じだと思うのですが、つまるところPC5はあまり物語に深い関わりを持ちづらい代わりにキャラ表現が自由でその分ベテランの方が向いているという形であるものだったはずだと思うのです。

 で、なんでPC5を選んだのかと言うと。単純な設定の好みもあるんですが、ダブルクロス自体のルールと経験が浅い私でもRPGの経験は二十年以上なのでキャラクター表現で物語に関わって、それで他のPCの物語の進行を助けるという自信は少なからずあったのです。その一方でダブルクロスというルール自体は初心者に近いので実は同率候補としてPC1も上げていました。ですがPC1を第一希望という方がいたのでPC1は素直に譲ってPC5になったわけです。

 というわけでみんながキャラクター作成をデータから作るという濃いプレイを始めた瞬間、私一人がGMが用意してきたサンプルキャラデータをありがたく受け取ったのでした。

 今回私のPC5のために用意されていたサンプルキャラクターはルールブックに実際存在する『真実の探求者』というサンプルを初心者でも使いやすいように少し手直ししてあるものです。とてもありがたい。

 この日のコンベンションではほぼほぼすべての卓が初心者歓迎という触れ込みがあったのでこのダブルクロスの卓でもGMの用意周到な下準備にとてもお世話になりました。ありがとうございます。

 というわけでキャラが出そろったわけです。そろったキャラを簡単に説明していきます。ちなみにキャラ名も一応伏せていくのでご了承ください。なおここからデータやらシナリオやらうろ覚えで書いていくので実際のデータやらとの一致は正確ではありませんのですみません。


 PC1:

 お金持ちの息子にしてワンコ系男子。すぐになつくような性格の低身長キャラで、お金にものを言わせてそろえた装備で味方をカバーするカバーリングサポート役。実は過去に事故で記憶喪失になっていて、過去のことは一切忘れている。そのために以前は冷静な帝王学を学ぶしゃきっとした男だったのが今では全く違うワンコ系という設定。プレイヤー本人がすごくワンコ系のちょっと高めでかわいい男子の声を出していたのでこの人結構すごいなと思ったりしました(個人的感想)。


 PC2:

 明るくて人懐っこいような元気で一途な言さんラブの女の子。勝元言が行方不明になる一年前は十五歳で、当時は後一年でお嫁に行けます! とか言って言を慕う一途でかわいい路線を突っ走る女の子。これで一年後、結婚できる十六歳になったら言に冷たくあしらわれてしまうのだからかわいそう(個人的以下略)。バリバリの接近戦キャラで凶悪な攻撃能力を持つアタッカー。


 PC3:

 良家のお嬢様でUGNの支部長というエリート街道にいる女性。しかも十代(だったはず)の若さ。しかしながらお見合いを迫る両親との温度差に頭を痛めるという複雑な家庭環境に辟易している。実は今回のプレイであまり浸食値が上がらなかったのと戦闘がラストの一回のみだったこともあり、あまり彼女の能力的なことがよくわからなかった(なんと戦闘の最初のターンで侵食値が足りずに行動を見送っている)ので申し訳ない。でも確か光系のエフェクトで射撃していたような感じだったと記憶しています(間違ってたらすいません)。さらに財産ポイントを多く持たせていて情報収集での活躍が期待されていた。流石お嬢様。


 PC4:

 元ナイトフォールという過酷な設定にもかかわらず(ナイトフォールは遺産関連に立ち向かう部隊でその危険性がとても高いらしく、一部の設定では部隊は全滅したりとかもあるんだとか)、今は花屋をしているという二十歳の女性。花屋の傍らUGNに協力している協力者。冷静で上品なふるまいの奥ゆかしい女性という印象。その能力は完全に他プレイヤーのサポートに徹しており、彼女の強力なサポート能力で幾度となく助けられることになりました。


 PC5:

 私が担当したPC5。ここで急に平均年齢を上げにかかる三十五歳の男性で探偵。サンプルデータが探偵だったのでそのまま探偵という設定を引き継ぎました。実はこの設定の時点でちょっとやりすぎた部分があったのですが(おい)。説明すると、もともとはN市ではない地方都市の名士の家に引き取られた養子。跡継ぎを期待されたうえでの厳しいしつけと、そもそも親として良い人物ではない父親からの体罰や罵倒に悩まされ続けた少年時代を過ごす。そして大人になった時、発達障害であることが発覚。跡継ぎになれないということが父親を激怒させ、その当たりがさらに厳しくなる。そしてついに我慢の限界を迎えて父親を殺してしまい、殺したことのショックでレネゲイドウィルスが覚醒。その後障害と名家という立場、そして父親の蛮行が明るみに出たことにより刑をまぬがれこそしたもののN市へ放逐されてしまう。今はN市でくたびれた探偵稼業をしている。趣味は飲み歩き。能力は雷撃と振動波を合わせた遠距離攻撃を得意とするアタッカー。単体攻撃のみだが威力が高いという特徴でした。


 とまあこんな感じのキャラが出そろったわけです。ええ、皆様お気づきでしょう。私のPC5、やたら設定が重く辛い()。今回のラスボスとなり、物語の核となるPC5の友人の狭間奏がその設定の重さと辛さゆえにPC5や他のPCたちからも哀れと思われて欲しいと少なからず考えてGMはシナリオを組んでいたと思うんですが、その奏よりもPC5の設定が重すぎるという(白目)。

 なので奏へのPC5が持つロイスは推奨感情が『憐憫』とかだったのですが、私が選んだのは『嫉妬』でした(さらに白目)。

 奏は天涯孤独だけど孤児院では愛を向けられていたという形でPC5はそこに嫉妬という感情を持ったわけです。GM曰く「PC5の方が重いもんな……(苦笑)」。

 一応私としてはこの状態でちゃんとロールして奏に関わっていき、物語にする自信はあったのですが、できるできないじゃなくてGMの想定を超えてしまったのはちょっとやりすぎたかなと反省しきり。しかし実際の現場だと面白そうってだけでやっちゃうことが多いので申し訳ないです。こういうところがあるから他の人がどう思ったかとか後で気になるんだよなあ(あほの極み)。

 まあとにかく、これで役者がそろったわけで、プリプレイは終了。メインプレイに入りました。この時すでに予定より三十分オーバー。GM曰く想定通りの遅れということでしたが、やはりルール的にやりこんでいる方が多く集まったのでキャラ作成に時間がかかったという形でした。私は他の方が時間をかけるだろうと思ったのでルールのうろ覚え的な怪しさもありサンプルそのままをいただいたわけですが、結局ライフパスなどの説明をしてもらいつつ作っていたので時間をかけた上にGMの手間を増やしました。あはは()。

 さて、ここからメインプレイなのですが、今回のGMさんはおおよそ一時間ごと、あるいは区切りの良いところなどで小休憩をはさむ主義の方で、私はこれが結構ありがたかったです。ほどほどに力み過ぎずにすむのと、休憩をすることでGMや周りのプレイヤーと相談出来たりとメリットは多く、今後の参考になりそうです。

 そんな感じで始まりましたメインプレイ。まずは各PCのオープニングから入っていきます。順番はPCの番号通り。核となるスモールナンバーのキャラから順に演出されて行きます。内容は基本的にハンドアウトに書いてあることを再現して確認する感じで、お互いがお互いのキャラクターを把握することも目標としています。今回はそれもあってPC間でとる初期のロイスはこのオープニングを見てからという始まりでした。

 PC1のオープニングは恋人の怜奈との電話での会話。怜奈と話して愛しているという言葉が伝わらないという異常を感じるというシーンでした。

 まずシーンが始まってGMから「(面会謝絶ゆえ)通話するシーンですが、そちらからかけますか?」と言われたPC1。ここで急に迷い始めてしまいまして。PC1としては面会謝絶だし病院だし、こちらからかけていいものなのかという迷いがあったそうなのですが、GMとしては今彼女は目が見えないので電話の操作もしづらく入院状態の精神的疲労などもあるので彼氏であるPC1から積極的にかけて欲しかったように見えました。そんな形でGMが彼女である怜奈の方から電話をかけたという形でシーンがはじまりました。

 実はこの通話の件。私個人の考えなのですが。その後もPC1は事件解決には積極的に動くのですが彼女を気遣って電話をかけるとかは一切なかったのです。これはPC1の行動基準や病院への接触の仕方をどうしたものかという悩みとかいろいろあったと思うのですが、これで電話をかけなかったことによってこの後の怜奈の状態や感情に絡んでくるのではないかと思っていました。ただ、それはPC1の物語であって、自分で気づいたり考えたりするべきものなのであえてここでは黙っていました。

 そして通話が始まったとき、驚くべきことが。


PC1「もしもし!? 怜奈!?(やや高めの超ワンコ男子の声)」


 それまで普通に話していたPC1。演技が始まった瞬間もう完全にワンコの声です。こやつやりおる。

 全員がややそれに驚きつつも上手いロールという感じで会話は進み、そして彼女から愛してるって言って欲しいと言われるPC1。しかし愛しているという意味をワンコ男子的に「好きだよ! だーい好き!」という言葉に変えて伝えるもそれが向こうには聞こえていないという異変が起こります。しばしそれによって強気な彼女とPC1の間で取り繕うような会話が進み、そこへ別の通話がかかってくることによってPC1は強引に通話を終了させるという展開になりました。そしてかかってきた別の通話というのがUGNエージェントからであり、今回のジャーム討伐依頼をしてくる内容でした。PC1が速攻で依頼を受けて(ワンコだからなのかこの依頼と怜奈の異変を速攻で結び付けてすっとんでいく)UGN支部へ向かったところでシーンが終わります。

 次はPC2のオープニング。

 あらかじめGMから二段階構成のシーンであることを伝えられ、恋人の勝元言が生死不明になるシーンと派遣されたN市で偶然再会するシーンということで始まります。

 舞台はファルスハーツの基地内部(だったと思う)。ミッション目的のアタッシュケースを奪えず、敵のジャームに追われているシーン。二人しかいないPC2と言の戦力ではジャームを迎え撃つのが難しい、という状況です。

 防御とサポートに能力を特化した言に守られながらPC2との会話が始まります。

 実はこのPC2を担当されたプレイヤーの方は、後で聞いたら普段はもっと淡々としたプレイと言うか、ロールを実際に行う演技重視のプレイはあまりしたことがなく、しかもプレイヤーそのものは初めてという方でした。なのですが、PC1のオープニングに引っ張られたのかPC2も演技多めでがんばってくれました。

 情熱的な言というキャラと一途なPC2のもうだめかもしれないが、最後まであきらめないという内容の会話はとても良い雰囲気で、一発でPC2の一途可愛いというキャラ性が引き出されました。PC2、とてもかわいかったです。

 会話の最後にPC2を守るためにサポート能力しかないはずの言がたった一人でジャームへ立ち向かいます。最後のキスを、彼女の唇に残して。


言「お前は生きろ。生きてみんなを守るんだ!」

PC2「言さん!」


 そんな感じで突っ込んでいく言。そして起こる巨大な爆発に吹き飛ばされ、PC2が目覚めた時には周囲は完全なクレーターと化していたのです。

 悲痛なPC2の言を探す姿と共にオープニング前半が終了。PC2がかわいさを見せつけたために悲痛さが濃くなっていてオープニングからなかなかに濃くて重い展開でした。いやあ、ダブルクロス味があって素晴らしい(笑)。

 そして一年後、再び始まるPC2の現在のオープニング。

 N市へ支援要請で派遣されたPC2がバスでN市支部へ向かっている途中、バスの窓から偶然路上を歩く言の後姿を発見します。慌ててバスを降りるPC2。走り寄って叫びます。


PC2「言さん!」


 しかし振り向いた言はまるで別人のような冷たい顔。そしてPC2へかけた言葉は――。


言「ああ、なんだ、PC2か」


 感動の再会というにはあまりにも冷たい言葉でした。

 そして戸惑うPC2と冷たいともいえる言とのやりとり。言と話して分かったことは、あのPC2を守った一件ではUGNエージェントに救護されて助かっていたこと、そしてその一件以来特に感情がわかなくなり、合理性とその判断のみで生きるようになったこと。そして“PC2のことを忘れたわけではないこと”。これらがわかりました。

 恋人のことを忘れたわけではないけれど、感情がなくなったために別に恋人である必要性を無いとしてPC2との関わりをなかったかのように接する言。前半のシーンからつないだこの内容はとても重い、PC2の中のひとがかなりダメージを食らっていました。ハンドアウトに書いてあるとはいえ、自分でロールを積極してやっただけにそのダメージはかなり高かったようです。良い感じにダブルクロスしてきましたね!(誉め言葉)

 そんなところで実に冷たく冷めた言に連れられて、UGNのN市支部へと二人で向かうところでシーンが終了しました。オープニングから重いブローを食らったPC2、楽しくもつらいという壮絶な状況のようでした。

 そして次にPC3。

 UGN支部で上司であるテレーズから情報を受けてジャーム対処に乗り出すシーンです。

 ここでPC3が提案したのが、不仲な父親と電話で言い争っているところからスタートするというもの。PC3の苦悩するエリートお嬢様というキャラ付けとしてとても良いシーンスタートです。

 そして父親との会話が始まるのですが、ここでPC3の中の人、やはり今までの流れを汲んでロールをがんばってくれるのですが、とっさに台詞を作るのはやや苦手な傾向があるように思えまして(私から見た感想として)。がんばってくれるのはありがたいのですが、わりと会話がしどろもどろしてしまう印象が。個人的には無理に演技しなくてもええんやで、と言いたい感じになってしまったのです。

 ただ、シーンとしてはちゃんと成立していて良い物なんですが。余計なお世話かもですがこの時無理に合わせて演技しなくても大丈夫ですよと声をかけるべきだったかはちょっと今も悩んでいます。

 そしてそんな不仲の父親とのやり合いの後に登場したエキストラエージェントからN市の異常である「愛を語る言葉が伝わらない」という事象の報告を受けます。


エージェント「あの、ほ、報告があるのですが――(怒っているPC3に遠慮している)」


 怒ってる上司に報告に来るエキストラ可哀そう()。

 そしてその報告を受けたところでテレーズからの通話がかかり、ジャームの処理を依頼されます。

 そのままPC3が他のPCたちへ支部へ集合するよう依頼や通達をするというところでシーンが終了です。

 PC4のオープニング。さすがにPCがフルメンバーの5人いるのでこの時点で結構長くなっているように感じていましたが、大事なオープニングなのでやはりしっかりと全員分行われて行きます。

 UGNからの要請に従ってN市へ向かおうとしたところ、元上司である強羅瑠璃がやってきて今回のジャームが進化しているという情報と、必要であれば遺産レガシーを貸してくれるという旨を伝えてくるシーンです。

 実はこのPC4、シナリオ後半で重要な役目があり、決断を迫られるというポジションではあるのですが、シナリオ自体に絡む動機が一番薄いというポジションでもあります。なのでオープニングもさらっとした会話になりましたし、このあともあまり会話という形ではみんなに絡みづらいような形となりました。

 PC4が作ったキャラがおとなしいキャラというのもあって少し中のひとが活躍しづらそうにしていたかなと私は思っていて、もっと積極的に声をかけていくべきだったかなあと思い返してしまう感じです。これに関しては今後のためにもっと配慮する形も模索した方がいいのかな、個人的には。能力や判定的には凄い活躍してくれたんですけれどもね。

 そんなわけでさらっと会話が行われて(PC4はキャラも中の人もおとなしい感じだったのでダブルでさらっと流れて行く感じでした)情報を入手したところでシーンは終了。次のオープニングへ移ります。

 そして問題のPC5のオープニング。つまり私のオープニング。

 これが何が問題かと言うと、やはりやりすぎたかなあと(苦笑)。

 シーンとしては二段構えであることがやはり最初にGMから伝えられて(この辺ちゃんと手順を踏んで伝えてくる今回のGMさんはやはりベテランという感じでした)、前半が過去に友人である奏と会話するシーン。そして後半がUGNからの依頼で奏がジャームになったことを知るシーンという形です。

 まずは前半。奏は想定では二十代前半くらいだったとGMが言っていたのでPC5が奏の先輩であるという設定で居酒屋で話を聞くシーンにしました。

 会話はGMから始まる形で、それまでと同じようにGMは普通に喋りかけてきたのですが――。


奏「では狭間奏はPC5に話しかけてきます。せんぱ~い! 聞いてくださいよ~!」

PC5「なんだ? どうした奏?(急に演技口調で良く通る声を出す)」

GM「!?」


 ええ、はい。それまで普段と同じように小声で丁寧に喋っていたんですよ私は。で、GMがキャラとして話しかけたら急に声を変えて演技し始めたわけです。このギャップでわりとGMも面食らってまして。でもまあこの程度ならロール重視なんだなって感じで流してくれたわけです。

 そして会話が続き、奏の男としてみてくれないという悩みの相談に乗るのですが――。


奏「僕やっぱり駄目なんですかねえ……」

PC5「馬鹿言いやがって、そんなんだからダメなんだろ? お前、聖書読んだことあるか?」

GM「聖書!?」


 急に聖書の話を持ち出すPC5。


PC5「ああ。あれの中に有名な言葉があるだろ? 汝の隣人を愛せよってやつ」

GM「は、はあ」


 この時点でちょっとGMが素に戻っちゃってるわけです。それでも勝手に続く演技が止まらない。


PC5「あれの全文はな、“汝、汝を愛するがごとく汝の隣人を愛せよ”(実は中の人もうろ覚えだけどこんな感じのことが書かれている)ってんだ」

奏「ええ? は、はあ……」

PC5「こいつはな、自分を愛することができないやつは他人を愛することができない。だから自分を認めて愛してやれ。それが出来たらって意味なんだよ。もっと自分に自信を持て!」

奏「!? は、はい!」


 急に出した聖書ネタでしたが、GMは良いネタとしてちょっとメモってくれてました。とっさに悪ふざけするプレイヤーですまぬ……。

 その後、それでも自分に自信が持てない、愛せないとうなだれる奏を元気づける会話が続き、重要な台詞を言うタイミングになります。


奏「もし、僕がやっぱりだめだったら、その時は先輩がどうにかしてくれませんか?」

PC5「おお、任せろ! 俺がなんとかしてやるよ!」


 この台詞が重要なんですよね。要するに話の重さとして。このあとPC5は奏がジャームになったことを聞いて、なんとかしてやるの意味合いが違うものへと変化していくわけです。この時点でハンドアウトで奏がジャームになることは書いてあってプレイヤーが把握しているので、この台詞はGMもPC5も示し合わせたようにするっと出てきました。とても感謝。

 そしてオープニング前半が終了。GMが後半の開始を告げるのですが――。


GM「ではそこでシーンを区切って、次はPC5が事務所で連絡を受け――」

PC5「あ、すいません。ここでシーンが変わった瞬間奏が出てきます」

GM「はい!?」


 突然勝手に奏を登場させる私。知り合いとの卓ならいいですが、初めて参加する卓でこれはちょっとないなと振り返ってみると思います。つまるところ前半の演技が上手く行ったことによってテンションが上がり、すでにプレイヤーはちょっと暴走してるわけです。まあ実のところこれ、キャラ作った時からやれたらやろうとも考えた上ではあったんですが。実際に行動に移すあたりは暴走ですね()。

 そして勝手に続くPC5の場面描写。


PC5「奏が焦るように走っていき、目の前のドアを開けた瞬間、“死体の前で佇む人物”を発見します。奏が声をかけるとその人物が振り向き、顔が映し出されてそれがPC5なわけです」

GM「お、おう」

PC5「そこでばっと飛び起きて、夢か……、というわけです」

GM「ああ、夢ネタ!? そういうこと!?」


 事前にGMと話したことで奏と居酒屋で話すシーンは三年前のシーンで、その時はまだPC5は父親を殺してなかったということに決めていただいていたので、暴走して奏に知られていたかもしれないというシーン演出をしたわけです。

 自由だな! 私!(最低)

 いやね、やりたいならもっと事前に話しておくとか、直前でもこういうのやっていいですかとか聞くべきだと思うんですよ。聞かないんですよこの子は(自分の事やろ)!!

 でまあそれでも特にそれを否定するでもなく、飲み込んでGMは続けてくれました。すいませんほんとうに。

 そして起きたところで時間軸は前半から三年後の現在、UGNからの連絡を受けて奏がジャームになったことを知り、UGN支部へ向かうところでシーンを切りました。

 このシーンを切るのもちょっと反省すべき点があって。本来その辺の判断はGMがすべきで、GMがどうしようか迷ってるとき以外はプレイヤーから進言するのは控えたほうがいいと思うんですが。ですが。私はもともとシーン制のRPGのGMをすることもあって、勝手にいいところで区切っちゃう癖がありまして。GMの思惑にないところで「区切ります」とか「閉じる感じで」とか進言しちゃうんですよね。

 ちょっと我が強いところがあるという自覚と反省をしつつ、オープニングが終わりました。

 そしてミドルフェイズ。全員が集合して顔合わせをするシーンを挟んでから情報収集のタイミングとなります。

 今回のN市のUGN支部は派遣会社を装っているという設定で、オフィスの会議室に集まりました。

 ここでPC1、PC3、PC4が最初から登場することを選び、PC2は言と一緒のタイミングで登場すること(つまりタイミングをGMに任せること)を選びます。

 そんな中でほとんどPCが最初から登場するのに対して、初対面だしキャラの印象をつけようかなあと思って登場をあえて遅くしたんですが、なんだかみんな待ってくれているみたいな状態になりまして。途中から登場した割には特に意味もなく無駄に時間を使わせてしまった形になりました。申し訳ない。

 いやね? 私的にはオープニングが終わった時点でPC間ロイスをとった時、私は指定されてPC3にロイスを取ったんですが、そこでPC3に相談を持ち掛けて嫌悪の感情で大丈夫ですか? って聞いたんですよ。キャラとしてエリートとかを父親の件で嫌っているということにして、PC3も強気なキャラと言っていたのでそこは勝手に嫌ってるPC5に対してなんらかアクションしてくれるかなって期待があったんですよね。まあ勝手に期待してたんですけど。

 だけどなんか始まってみるとPC3も結構いい人な感じで、嫌ってますよと私からは言ったのに優しく話しかけられちゃってその上会議始めるの待ってくれるし(笑。いや、笑うとこじゃねえよ)。勝手に期待して勝手に自爆したんですよね。初対面でやることじゃなかったなと反省。この辺のさじ加減が難しいのはそうなんですが、私の場合ほとんどやりすぎとかそんな感じです。これは直さないといかん。

 そしてお互いの顔合わせと情報共有が終わって捜査開始。ただちょっとここであまり突っ込んだ会話が行われなかったこともあり、「勝元言の性格が変わっている」などの個人的な情報のいくつかは共有されなかったりしました。まあ、ダブルクロスなので自然と公開された情報は共有というのが基本だったので問題はなかったのですが。

 現状出ている情報と調べられる項目はハンドアウトに載っているものばかり。

 そこで調べたいという動機の強い人がやはり積極的に調べる流れになるんですが。

 この時点で調べる動機が強いのはまずPC1。“N市で愛をささやく言葉が伝わらないという異常”に対して。次にPC2が“勝元言の性格が変わっていることの謎”について。そしてPC5が“今回のジャームである狭間奏について”という感じで強い動機を持たされています。PC3とPC4は今のところ事件解決という同じ目標はありますが、個人的な因縁などはまだないので同じ程度のモチベーションでほか三人よりは低いという感じでした。

 ここでPC1の行動動機なんですが、PC1のプレイヤーは「N市の異常はジャームが原因だろう」と考えを直結させているらしく、ワンコキャラということで異常の情報を探るよりもジャームの居場所を突き止めることを優先している形でした。

 そこでPC5から動くかという話になった時、PC5の能力と奏に関する情報入手に必要な能力がかみ合わないという状況が判明。そして奏についてを調べる能力が一番高い適任者はPC2でした。そこで(ここからちょっとうろ覚えではある)PC5の能力で勝元言について調べることができたので、PC2が勝元言に対して恋心と不安を持っているということを理解し、PC2に“PC5が勝元言の過去を調べてくる代わりに奏について調べて欲しい”という交換条件を出すシーンを挟んでPC2にたのむことに。

 そんな流れでとりあえずPC5が勝元言を調べるところから。

 判定はかなり高い数値で成功し、その情報をすべてかっさらうことに成功。

 分かったこと。それは言を助けたのがテレーズとは派閥争いをしている過激派のUGN評議員(だったかな?)アッシュという人物でした。アッシュが助けたことによってそれからはアッシュのためにエージェントとして活動していた言。今回もN支部に派遣された裏にはテレーズの切り札とも目されているPC3の能力の見極めというスパイ行為のような目的があったのです。

 言は今回の事件解決に協力は惜しまず、邪魔することもないという立ち位置ではあるものの、所属はプレイヤーの対抗派閥で目的はスパイ。事実の重さに呻くプレイヤー一同。

 さらに勝元言はまだ隠している事実が一つあるという情報が判明します。

 この情報はPC3が持つ特別な能力でテレーズの力を借り、UGNの情報網に直接アクセスすることで手に入るという条件型のキーが設定されていました。

 勝元言を調べることによってさらに疑惑が深まってしまったこの状況。PC2の精神的な追い詰められ方はかなり重圧があったと思います。

 とりあえず言に関しては一旦そこまでにして(彼が隠している情報についてはPC3の特殊能力を使うこともあって一旦後回しにされた)次にPC2が奏についてを調べることに。

 調べた結果、能力は平均的な代わりに高い情報スキルレベルを持っていたPC2も高い成功値で奏についての情報をごっそり抜き取ります。

 これでわかったことは奏、ラブ・ベガーというジャームが遺産に匹敵する能力を持つという情報の裏付け、そしてごっそり引き抜いたので今の潜伏場所まで判明しました。

 ラブ・ベガーの遺産並みの能力の高さは何たらレコード(ごめんなさい、名前おぼえてない)というものに触れてしまったためで、それによってレネゲイドウィルスが進化したということでした。これにより遺産並みの力でなければ対抗不可能かもしれないということが浮き上がってきます。

 そして居場所が判明している以上、いつでも踏み込んでいけるという状態になりました。

 ここでじゃあ踏み込むか? という話題が持ち上がり、勝元言が踏み込むべきという提案をしてきます。

 そんな状況で少なくとも言が隠している情報は開けるべきではないかと感じた私(言が派閥スパイである以上その隠し事は抜いておいて安全性を確かめたいのと、PC2に対する気遣い)。PC5として言に踏み込むためにも確実性を増すべき、踏み込む準備のために少し時間を取ろうと進言。合理的な説得によって言を納得させることに成功し、他のPCに他の情報を探索してもらう流れとなりました。

 そして幾度か判定を行い、ついに言の隠していた情報“以外”が全部明らかに。

 なんで勝元言の隠す情報を先に抜かなかったのかというのは、実は私にもわからないんですよね(笑)。権限がPC3にあるために私からやって欲しいとは言わなかったのですが(それはもう言うならPC2が言うべきだし)、PC3はその能力を使うのに躊躇していた模様。そんな感じで他の情報が全部明るみに出ました。

 簡単に言うと今回のN市で起きている異常事態、“愛を伝える言葉が伝わらない”に関しては原因は奏、ラブ・ベガーの仕業でした。ラブ・ベガーはハヌマーンのブリードであり、その能力を使って特定の言葉、今回なら愛を伝える言葉のみを聞こえなくするというエフェクトをN市全体にかけたのです。ただ、そのエフェクトは無理やり拡大(そして特定の言葉のみへの集中)して適用されたためにエキストラにしか効果はなく、PCたちやゲストには無効というものでした。

 そしてこのエフェクトは音にのみかかるということがわかり、ここでPC4が愛を伝えるための手段として筆談は可能だと提案します。この提案はものすごく重要なものだと私は感じたのですが、これが一番必要であろうPC1は事件の収束に終始していて怜奈に電話かけないし会いに行こうともしてなかった不条理……(涙)。

 PC1としてはさっと事件を解決してさっと帰ってきて直に愛をささやきたかったんだと思うのですが。シナリオ的には途中で通話を何回もしたりとか、無理やり会いに行って筆談するとか。そういうことで進んだイベントや見せ場があったのではないかなとちょっと思っています(現にこの後のイベントでGMが怜奈のことを挟んできたり、GM自身色々と裏でチェックしてるよーみたいなことも言っておられたので)。

 結局この筆談は可能というひらめきは(GMがその通り! というアクションをしてくれたにもかかわらず)使われずに流れて行きました。無情。

 そして最後に残った勝元言の隠し情報。

 これが実は言を助けたプレイヤーの対抗派閥であるアッシュのエージェントとなったことで言が得た能力によって隠されていたので物凄く怪しいわけです。

 怪しいんですがPC3は調べようとは言わず、PC2もお願いしたりを言い出さず。

 そんなわけで会話の水をさしてみることに。


PC5(私としての発言)「言は対抗派閥のスパイなので情報を調べるのは重要だと思うんですが、何か迷うことあるんですか?」

PC3「うーん、いやあ……(うろ覚えなので何で迷っていたのかはっきりしないんですが、実際の現場でもなんだかすっきりしない返答ではありました)」


 という感じではっきりせず。

 このままだとPC2もかわいそうだし、隠し情報に関してモチベーションが一番高いのもPC2だと思うのでPC2にさしむけてみんとす。


PC5(私以下略)「PC2としては気になりますよね? これ」

PC2「気になります! すごい調べたい……!」

GM「PC3の能力で宣言するだけで調べられるので、PC3と同じシーンにいる人が宣言すれば調べたことになりますよ」

PC2&PC3(同じシーンに出ている)「……」


 あれ、なんだこの空気? 何が先に進めなくしてるのだろうか?

 PC5である私もそのシーンには登場していたのですが、この二人が宣言するべきことだよなーと思って私が調べますとかは言わなかったんですが。何やら奇妙な空気が流れていました。

 しかしながらこのままだといつまでも先に進まないので私からもうちょっと突っ込んでみることに。


PC5「PC2として何か調べられない理由とかあります?」

PC2「いえ、その、……言さんが隠していることだから、私なんかが調べちゃっていいのかなって。言さんの大切なことだったら……」


 聞きましたかみなさん? 今この期に及んでまだこの子は言さんを信頼してるんですよ。それだけ言さんが好きなんですよ! やっべ尊い……。

 とはいえシナリオを滞らせることはできないので、急にキャラにもどって喋る私。


PC5「(PC2の背中を叩く)好きなんだろ? こいつの事」

PC2「好きですよ!」

PC5「だったら調べろ。好きなら調べないとだめだ」

PC2「私調べていいんでしょうか……」

PC5「ばっか野郎、好きな奴の事だ、知る権利がお前にあるだろ!」


 てな具合でPC2を説得。ついにPC2からPC3へ調べてくださいというお願いが飛び、PC3も納得してテレーズへと呼びかけました。

 そして明るみに出た情報。これがまさかのPC2をさらに苦しめる情報でした()。

  まず、勝元言はオープニングでも演出されたように“サポート能力が基本で攻撃力は低い”というキャラクターです。その彼が敵のジャームと相打ちできたのは強力な遺産の存在があったからでした。

 その遺産(名前忘れた。確か石板の形だったはず)は契約することですべての感情を失い続ける代わりに契約者に強力な力を授けるというもので、勝元言はこれを使うことでジャームと相打ち。しかしUGNの救護班に発見され一命をとりとめていました。そこから一年が過ぎていたので彼の感情はどんどん失われ今や完全な合理的判断のみで動く人間と化してしまったのです。

 この情報にPC2は絶句。そりゃそうです。PC2を守るために自分を犠牲にして言は遺産と契約したのです。しかもPC2に知られないように特別な能力で隠してまでいる。言のあまりにも重い愛の事実でした。

 この愛の重さにもはや唸ることしかできなくなったPC2。あまりにもかわいそうな上にプレイヤー本人がかなり重さに耐えきれてない感じに見えてしまった私は三度PC2へと話を向けました。


PC5「何落ち込んでるんだよ。こいつを見ろ(判明した言の情報シートを指す)。全部愛だ。全部お前への愛じゃねえか!」

PC2「そうですよ! だからこそ辛いんですよ! 言さんは私のせいで感情を失ったんですよ!」

PC5「だったらお前が受け止めてやれよ。感情がなくたって、一緒にいられるだろ」

PC2「私がいてもいいんでしょうか?」

PC5「お前じゃなけりゃ誰が受け止めるんだよ。愛してんだろ?」

PC2「……! はい! 愛してます!」


 とかなんとか(かなりうろ覚えなので脚色アリ)。

 そんなわけで言の傍にいることを決意したPC2。その後PC3も交えて言とお互いの立場を確認し、PC2の決意を表明するシーンを挟みます。


言「俺はアッシュ様の派閥なのは確かだ。しかし今回の事件には協力するし、邪魔もしない。アッシュ様も派閥は違えどレネゲイドに対抗するという意味では同じ意志を持っている」

PC3「わかったわ。引き続き協力してください」

PC2「言さん、私十六歳になりました。なりましたから、一年前の宣言通り、お嫁さんにしてください!」

言「今の俺には感情がわからない。そんな俺と結婚する意味が分からない」

PC2「いいんです! 私決めたんです! 傍にいるって!」

言「そうしたいならすればいい。興味はない」

PC2「はい!」


 とまあそんな感動を挟んで物語が動きます。

 ここでじゃあみんなで奏、ラブ・ベガーというラスボスのところへ踏み込もうかという感じになったのですが、私が個人的に遊んでおきたくて(またか)GMに確認を取ったところ、会いに行っても戦闘はしないというシーンを作るのは可能ですと答えてくれたので意気揚々とひとりで乗り込むPC5。

 ラブ・ベガーの住処であるマンションへ赴き、部屋のブザーを鳴らします。


PC5「来たぜ、奏」

奏「ああ、先輩じゃないですか」

PC5「俺が来た。今のお前にはこの意味が分かるだろ?」

奏「フフフ、いいですよ、入り口ホールまで出ましょうか」


 マンションのエレベーターを無言で降りていく二人。やがて入り口ホールへとたどり着き、そして――。


PC5「なんだよ奏、外には出ないのか?」

奏「“なんで僕が出る必要が”あるんですか? 話ならここでもできるじゃないですか」

PC5「は、相変わらずのひきこもりだな」

奏「ひきこもり? フフ、それより聞いてくださいよ先輩」

PC5「あん?」

奏「僕の彼女酷いんですよ? こんなに愛してるのに僕に愛してるって言ってくれないんです。酷いでしょう?」

PC5「矛盾してるな、奏」

奏「矛盾?」

PC5「お前が愛の言葉を受け取れないのはお前が自分で拒否してるからだ。そうだろう?」

奏「フフフ、違いますよ、酷いのは彼女なんです」

PC5「いい加減にしろ、奏」

奏「先輩、覚えてますか? 三年前のあの約束……」

PC5「ああ、覚えているぜ。“だからこそ俺がここに来たんだ”」


 ここでジャームという異業と化す奏。強力なエフェクトを使いマンションと融合、マンションを完全なテリトリーとした奏はその能力でPC5を強制的に外へと排除する。吹き飛ばされていくPC5。


奏「それじゃあ僕にはかなわない! 先輩は僕に触れることもできない!」

PC5「俺がお前を殴ってやる! 必ずだ! 待ってろよ、奏ええええぇぇ!!」


 と、こんな茶番がやりたくて時間を取ってもらいました()。

 まあ茶番とは言っておりますが、PC5としては重要なシーンであるし、因縁をつけてクライマックスへ向かっていくのは良い演出だと思っています。

 問題は、PC1よりPC5が目立ってる事実()。

 ちょっとやりすぎて主役を食ってしまった感じがあります。これは色々と要因はあると思うんですが、ロールをやりすぎている私の責任もあると思うのでそれは反省。

 そしてこのシーンでこの記事では描写してないんですが、本来はもうちょっと台詞のやり取りがあって、PC5が持つ奏へのロイス。そしてその感情である“好意”という設定を使うためにわざとPC5として「俺はお前のことが好きだぜ?」とか「俺がお前に好意を持ってるじゃねえか」とか何回かわざと差し込みました。

 この目的としてはジャームとして奏を倒した後の演出のためにやっておきました。でもこれって逆に言うとこの時点から主人公の立場をさらに食うことを意識してるんですよね(白目)。

 プレイ中の自制心が薄いのは私の汚点です(反省)。

 そしてマンションと融合した奏の能力で強制的に奏への新たなロイスを植え付けられ、それ以上のロイス取得を封じられたPC5。これによって取得した奏へのロイスの感情は執着としました。実はこれもクライマックスへの勝手に張った伏線(いい加減にせえやあ)。

 さて、ここでGMからあらたなミッションが提示されます。

 マンションと融合した奏は完全にマンション自体を操っており、通常の方法ではマンションへ侵入できない、奏と戦うことすらできない。なのでそれをどうにかする方法を探るというミッションです。

 なお、奏はマンションとの融合を自在に繰り返すことができ、放っておけばマンションとの融合を解いて殺人を繰り返し、戦いを挑もうとするとマンションと融合して妨害する。放っておいてもだめだし戦う方法を探るしかないという状況が作り上げられています。

 そこで情報を見直し、提示された条件と照らし合わせた結果からGMへの確認もしたうえで、遺産を使うという選択肢が上がります。

 そうです、オープニングでPC4が得た情報。遺産相当のジャームに対抗するには遺産を使うしかない。そしてそれを貸してくれることもできるというあれです。

 そんなわけでPC4が強羅瑠璃のもとへと遺産を取りに行くシーン。

 実はPC4としては遺産がどれだけ危ないかを知っているキャラである以上、できるだけ遺産は使いたくなかったという事情があったのですが、GMからの遺産並みの能力でなければ突破することはできないという宣言を受けて悩みながらも取りに行ってもらいました。

 ところが瑠璃に連絡を取るとPC2も連れてくるようにと言われます。それが何を示すのかもわからぬまま、とりあえずついて行くPC2。

 そして地下深い場所にある遺跡管理施設にて、シーンがはじまりました。


瑠璃「この遺産、“秘石(正式な名前は忘れました)”を使えばジャームの融合を突破できるはず。そして、それを使うのに一番適した人間は、PC2。貴女だ」

PC2「私が?」


 施設の床から押し出されるようにせりあがった台座。その上には青とも赤とも見える不思議な物体、“秘石”が置かれていました。

 ここでGMから秘石のデータが公開されます。そのデータによると高い代償を払う代わりに契約者がターゲットした人物の感情を一時的に収めることができる、あるいは昂らせることができるという遺産で、オリジナルの設定として“過去何度も使われてきたために老朽化しており、あと一回しか使えない”ということでした。

 そしてこれを使うために選ばれた契約者がPC2である理由は、“サラマンダーのブリードである場合にのみ、代償を軽減できる”というものです。そのためにPC2はサラマンダーを指定されていたわけです。そしてこのとき、見事にPC2以外にサラマンダーが存在せず、その使用権はPC2に託されたのです。

 さらにこの秘石、実はその能力で感情を操作することで一時的に言の持つ石板の代償を無効化、そしてその瞬間に石板との契約を破棄すれば言は元の感情を取り戻すという事実までもが判明します。

 しかし使えるのは一回きり。さらにサラマンダーであっても使えばその代償は高く、簡単に言うとゲストかプレイヤーの誰か一人がそのシナリオの間だけ戦闘不能になるという高い代償を持ちます。

 この代償と効果により、このシナリオにおいて“正しく”使う方法としては言を代償にし、マンションをターゲットにすることです。

 シナリオ的には事件を解決するのがミッションであり、言はゲストなので戦闘不能になりますがシナリオが終わると復活します。しかしその代わりに言が感情を取り戻す方法を失うことになります。

 この地獄の様な選択肢が、しかも当の本人であるPC2に託されてしまったのです。重いなこのシナリオ!?

 そして瑠璃はPC4へ語り掛けます。


瑠璃「遺産は使うものに高い代償と正しい使い方を要求する。私はPC4なら正しい選択をしてくれると思っている」

PC4「買いかぶり過ぎよ……」


 こうしてこのシーンは幕を閉じていくのでした。

 さて、その一方でPC1にイベントが起こります。

 怜奈の主治医からの電話で、怜奈の様子が急激に悪くなっているというようなことを伝えられるPC1。怜奈はPC1が愛していると伝えてくれなくなってからどんどん様子がおかしくなっていって、このままでは危険だとのこと。主治医はPC1に彼女に言葉を伝えてあげて欲しいと頼みます。

 実はこのイベント、GMがどのように処理しているかはわからないですが、個人的にはこうなるなという予感がありました。つまりオープニング以来怜奈にPC1が連絡を取っていないというやつですね。

 これを予感しながらもそれはPC1がどう動くかの問題だから余計なことはしないでおこうと考えていた私。やっぱりなあとか思いながら、しかしその一方でちょっと責任を感じてました。やっぱり言えばよかったのかなあ。などと。

 でもこれに関しては私はやっぱり言わないことを肯定したい人です。RPGという物語であり、それぞれの人物の想いがあってその結果にたどり着くのだからその人のプレイ、そしてスタイルや主張を否定するような提案はしたくないなと。

 PC1は開始早々から恋人の異常とラスボスとを関係づけてのワンコプレイをそのスタイルとしていたので(とにかく早くラスボス倒して終わらせるっていうことに執着するワンコ的な)。

 まあそんなわけで怜奈ちゃんの危機を知ったPC1。まずは急いでPC5のもとへ駆けつけました。

 なんでかと言うと、PC1はかなり自分のキャラを演出する機会を逃していたというか恵まれていなかったというかなので、恋人に確信をもって言葉を告げるその裏付けと言うか、自分を肯定してくれる人、後押しする人を探していたような形だそうです(本人とシーンの前にうちあわせていた)。

 そんなわけで急いでPC5のところへ来たPC1。来たなりに唐突にPC5へ疑問を吹っ掛けます。


PC1「おじさん! 愛ってなんだ!?」


 わかるかぼけえ()。

 しかしここで否定しても始まらず、とにかくPC1の求める答えにたどり着くために愛に関する持論を展開するPC5。


PC5「愛ってのはあくまでも自分から相手に向けるもんだ。相手がどうのじゃない、お前が相手に向けた感情。それが愛だ。お前が思うそれこそが愛だ。相手が受ける受けないは関係ないもんだ(急な質問な上に愛の持論展開なのでほとんど素の状態で答えてるPC5)」

PC1「そうか! ありがとう!(事務所から出ていこうとする)」

PC1「ねえおじさん!(そして唐突にまた呼びかけをする)」

PC5「あ? あん?(素で返事)」

PC1「愛って、好きってことでいいのかな?」

PC5「あったりまえだろうが。お前の好きに自信を持て!」

PC1「ありがとう!」


 そして事務所から出ていくPC1。そんなPC1の推奨ロイス、怜奈への感情。そこにはただ一言「大スキ!!」と書いてあったのです。

 事務所から出たPC1は速攻で病院、怜奈へ電話を掛けました。すると辛そうな上に不機嫌極まりない。そんな怜奈が出てきます。

 

PC1「あ、怜奈ちゃん?」

怜奈「……」


 不機嫌な怜奈はなかなか話に応じず、そして今までまったく連絡がなかったPC1を責め立てます。

 そしてついにこの台詞を言うのでした。


怜奈「じゃあ、愛してるって私に言って」


 ここで愛を伝えるPC1。しかしやはり言葉は届かず、怜奈はイラつくばかり。

 見てる方がハラハラする修羅場()。しかしPC1は途中から急変するのです。


PC1「(急に強気)怜奈、すぐにそこへ行く。だから時間をくれ。俺が行くまで待っててほしい」

怜奈「……」

PC1「これが片付いたら必ず君の元へ行って、その言葉を言うよ。だから、待ってて欲しい」


 これは見事。愛は今言えないけど、必ず言う、必ず怜奈の元へ来るという宣言。そして復活する“記憶をなくす前の自分の人格”。

 そう、PC1はこれをするためにわざわざ記憶喪失設定を作っていたようです。ひやひやしましたがなかなかお見事。これで怜奈は納得し、すぐに帰ってくるという約束をする二人でした。

 さて、ここでクライマックスへ行く要素はすべてそろいました。問題はあの秘石をどのように使うか。

 当然戸惑っているのはPC2なので、GMにお願いして1シーン作ってもらい、PC2と会話するPC5。

 なぜPC5が会話を申し込んだかと言うと、一番奏を倒したいモチベーションがあるのがPC5。つまり今モチベーション的にはPC2とPC5が対立しているわけです。まあ、対立というかPC2は迷ってるだけではあると思いますが。

 本来ならPC2をPC4が遺産というものに関して知見を持って説得するという筋をGMなら期待してるかと思うんですが、当時のその現場では私がPC2へ働きかけるという行動をとりました。また出張ったな我欲の強い私め(白目)。

 で、結果として私がどうしたのかと言うと。


PC5「秘石を使うのはお前だ。PC2、お前が決めろ」


 PC2に選択を放り投げました()。

 いや、いやいやいや、なんの目論見もなくやってるんじゃないんですよ? 単純に決断するのはPC2であるべき。そうした方が物語として美しい。っていう自分の美意識によるものです。醜いエゴだな!

 ただこの時、演技抜きで本当に判断はPC2に任せますと宣言しました。要するにシナリオとしてのバッドエンド、そしてPC2としての幸せを選んでもいいよということを伝えました。

 しかしここで(私にとって)予想外なことが。

 PC2が実際に涙ぐんでどうしたらいいのか、みたいな状況に。

 また泣かせた。だからお前はだめなんだ。いつもそうだ!(自分に向ける文句)

 割と実はこういう流れで相手のプレイヤーを涙ぐませるということが初めてではない私。あれな、相手のキャパを測らずにがりがり突っ込んでいくのほんとよくないな!?

 というわけで急いでカバーに回るPC5である私。


PC5「すまん、この通りだ!(土下座する)」

PC2「ええ!?」

PC5「お前が決めたことなら俺はどっちでも構わない。俺は後悔しない。だから好きにしてくれて構わない(カバーに回ると言いながら更に決断を迫っていくスタイル)」

PC2「ええ? ええ!?」

PC5「決断を託してすまない、だが、お前にも権利がある。だからそれを使える人間としてお前が決めてくれ!」


 たぶん私は馬鹿なんだな。いや、たぶんじゃないな、絶対馬鹿だ。

 そんなやり取りがあったことで、PC2に負担を強いつつ突然の土下座により涙を回避。

 そしてPC2がついに意思を固めます。


PC2「私、決めましたから。私のために感情を失った言さんと一緒にいるって。だから、この遺産はジャームのために使います」

PC5「すまねえ――。いや、俺が言うべきなのは謝罪じゃないな。ありがとよ、PC2」


 この決意を聞いて言も合理的な判断として自分が一時的に戦闘不能になる代償を受けることを了承。そして――。


PC2「言さん、キスしてください。あの時みたいに――」

言「必要性がわからない」

PC2「いいんです、私がしたいから……」

言「お前がそういうなら……」


 そして重なる二人の唇。そして帽子のつばで顔を隠す探偵のPC5()。

 この感動的なシーンを経て、ついにクライマックスへと突入したのです。

 クライマックス、舞台は例のマンションの前。言と手をつなぎ、マンションの前に立つPC2。


PC2「なんだか、ヴァージンロードみたいですね」


 さらっと凄い台詞を入れてくるPC2。とても尊いので突然やるのは遠慮していただきたい()。

 そしてついに使われる秘石。遺産の力がマンションにかかったジャームの融合を解除し、そして代償となった言が燃え上がる。救護班へと託された彼を背に、ジャームと対峙するPCたち。


PC5「よう、来たぜ。お前のケツ持ちにな」


 答えるジャームはしかし、秘石の力で“冷静な自分”をつかの間取り戻していた。


奏「はは、先輩。僕、もう駄目なんですね。じゃあ約束通り、お願いします……」

PC5「ああ、きっちりやってやる。任せておけ」


 そして再びジャームと化していく奏。

 ついに最後の対決が始まったのです。

 クライマックス戦闘はダブルクロスらしく数ラウンドで決着がつくもので、超ダメージが相手にも自分たちにも飛び交う死闘でした。

 強力なエフェクトをいくつも持ち、たった一人ながら五人のPCへ負けず劣らず、その攻撃回数さえもがPCたちに追いつくほどの強力な攻撃。

 しかし、GM的にやはり予想はされていたようなのですが、私以外のキャラクターは全部自分で作ったいわゆる“僕の考えた最強のオーヴァード”たち。その上で作るときにお互いに相談をしながら組んでいるので役割分担もばっちり。

 特にPC4の超強力なサポートにより超ダメージを繰り返すPCたちは、たったの数ラウンドでジャームを追い詰めました。

 しかしここでジャームの行動が特殊なものに変化。今まで近接で殴り合うような距離から戦っていたのをエフェクトによっていきなり超遠距離へと離脱。そしてそのまま反撃をしてきたのです。

 この反撃はしのいだものの、超遠距離へ移動されたためにPC2の移動力でもPC3の射程距離でも攻撃は届かず。そのラウンド中に攻撃できる人間がPC5のみであり(PC5の射撃は視界以内なら届く)、さらにこれ以上ジャームの攻撃を受けると危険という状況。

 言ってしまえばわりとここでのPC5の一撃が戦いを左右してしまう、そんな場面でした。

 そこで私はPC5の攻撃に全力を込めることにしてロイスをタイタスへ、そして昇華させて自分を強化。

 この時選んだロイスはジャームである奏自身がPC5に受け付けた執着心。最後の一撃に全てをかけ、その執着を手放すという演技でした。そう、このために執着でロイスを取っておいたというあの伏線です。回収できるかは運でしたが、見事にその使いどころが回ってきました。

 そして放たれるPC5の全力のコンボ、『インドラの矢』。


PC5「こいつで最後だ。お前のケツを持つのは俺だああああああああ!!!!」


 なんでここで主人公みたいに叫ぶんだPC5()。

 いや、関係性と状況からしてもう叫ばずにはいられなかったわけですが(GMからも台詞の催促はあった)。

 そうして、インドラの矢に貫かれた奏。そのHPは0となり、崩れ落ちました。

 そこで崩れ落ちる奏を支え、PC5が台詞を入れます。


PC5「馬鹿野郎が。俺の好意、ずっとお前にぶつけてたじゃねえか。お前は愛されてたんだよ。ずっと。少なくとも俺からは……」

奏「先輩……」


 そしてクライマックスが終了しました。

 さて、ついにエンディング。この時点でもう時間ギリギリで、その後に行われただろう感想戦はまあ無理だねって感じで。というか経験点計算もできるかどうかという時間でした。

 まあ、重い話だし人数も多いし、GMも予想通りの時間の押し方と言われていたのでタイムキープとしては良い方だったのでしょう。

 というわけでそれぞれのエンディングです。


PC5:

 孤独で愛に飢えた獣と化した奏。しかし彼を愛する人間はPC5だけではない。それを証明するかのように、PC5は奏を育てた孤児院へと向かった。


シスター老婆「そうですか。あの子が逝ってしまいましたか」

PC5「ええ……」

シスター老婆「あの子の最後はどうでしたか?」

PC5「……。笑顔で、亡くなりました」

シスター老婆「そうですか……」


 PC5の言葉は老婆のシスターにどう聞こえただろうか? しかしそれはPC5が考えるべきことではない。何より、彼の死を悼む人間がいる。それが重要なのだ。


PC4:

 すべてが終わり、強羅瑠璃のもとを訪れるPC4。彼女の胸には思いが一つ。


瑠璃「今回の事件、やはりお前は正しい道を選んだようだな」

PC4「私は“今でも”隊長の部下ですから。当然です」

瑠璃「……。帰ってくるつもりか?」

PC4「ええ。やはり遺産は放っておけないと、思いましたので」

瑠璃「フ、そうか。では行こうか、我々の戦場に」


 そして二人のナイトフォールは新たな戦場へと向かう。最も過酷な、世界のための戦いのため――。


PC3:

 今回の事件をテレーズに報告したPC3。しかし、報告の最後に彼女はテレーズへと疑問を問うた。


PC3「テレーズ様は、愛とは何か知っていますか?」

テレーズ「突然どうしたのです?」

PC3「いえ、彼らを見ていて、私も少し思うところがあったのです」

テレーズ「……愛。私にとっては家族への愛。亡き父からの愛。それが私の愛です」


 会話を終えたPC3。テレーズからの疑問の答えがそうさせたのだろうか? 彼女は珍しく自分から電話をかけた。


PC3「ああ、お父様? 私ですけど――」


 行われた親子の会話。それは久しく無かった暖かさを灯していた。


PC2:

 事件から数週間。病院で療養を受ける勝元言のもとに、PC2はいた。


PC2「私はずっと、ずっと言さんと一緒です。だって、お嫁さんですもん」

言「……私にはわからない。わからないが――」


 言は確かに言った。


言「お前がしたければ、好きにするといい」

PC2「はい!」


 彼女は決意と共に掴んだのかもしれない。彼女の未来を……。


PC1:

 すべてが終わった後、すぐに駆け付けるつもりだった。しかし、未だPC1は彼女の元へと行くことはできなかった。

 事件が終わった後、事件の処理と彼女の退院へと向けた目の治療の動きが重なり、結局三週間ほどが経ってしまった。

 ようやく彼女の病室へ入ることができたPC1。しかし、彼の顔には微塵も焦りはない。


PC1「怜奈、遅くなってごめん」

怜奈「遅過ぎよ……」


 怜奈をしっかりと抱きしめるPC1。それは以前までの彼らしくなく、力強いそれだった。


怜奈「PC1、なんだかちょっと、たくましく、なった――?」


 戸惑う怜奈をしっかりと抱きしめながら、しかし次の瞬間に彼は叫んだ。


PC1「遅くなってごめん、だから言うよ――。(急にワンコに戻る)怜奈ちゃんスキ! だーいスキ!!」

怜奈「もう!」


 一人と一匹。そんな恋人がじゃれ合う病室は、暖かな日差しに包まれていた。



 というわけでこんな感じのセッションでした(唐突に元の文体に戻る)。

 これはあくまでも私の目から見たセッションの様子であり、おぼろげな記憶に基づいて書いています。なので中身に関してはこんな感じに私が思ったもの程度に受け止めてください。

 そんなわけで振り返りつつ見てきましたが。やっぱり最終的に一言に尽きますね。


 私がやりすぎ。


 いや、このやりすぎっていうのは言ってしまえばすごく面白いシナリオとセッションだったからやりすぎたってのがあるんですが、やはり他の方がちょっとどう思ったかを考えずにはいられないやりすぎ感だったわけです。

 その点に関しては反省しきり。

 次のセッションをするならもうちょっと周りを見たくもあります。はい。

 シナリオそのものに関する感想としてはよくもまあこんな重い設定背負わせるなあ、いいぞもっとやれって感じです()。とても面白く、ダブルクロスらしいシナリオだったと思います。


 そんなわけでコンベンション当日はとても楽しんできました。

 願わくば同卓で遊んだ方々も面白かったと思ってくれていることを。

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