24 大団円
年が改まった1月1日
大和の橿原宮にて
高天原で“葦原中国実況鏡”を覗いていた天照を始めとする神々は、淡道の
「いやー。伊邪那岐様から、『御毛沼の嫁にいい娘がいるよ』と綴られた手紙が届いた時は、一体、誰の事かと思いましたよ」
「
伊邪那岐は、酒杯を片手にゆったりと寛ぎながら宣った。
それを聞いて、天照は、
「そうよね。私、あんな手紙を書いてないもの」
という。ずっと、何を血迷って、あんな言葉を書いてしまったのかを、密かに気に病んでいたのだ。
「でも、お前が八咫烏を祟ったのは、確かだろ」
伊邪那岐は、酒杯で天照を指す。図星を刺され、への字に口を結んだが、すぐに気を取り直し、
「そうよ。だって私、息子の結婚式も知らなかったし、孫の誕生も知らなかったんだもん。八咫烏にも、娘の結婚式に出したくなかったし、孫の誕生も知らない様に祟ったのよ。勢夜陀多良ちゃんは、まるでお父さんに捨てられた子の様な暮らしを強いた事が可哀そうだったけど、八咫烏にも私と同じ目に合ってもらわないと、どうしても気が済まなかったんだもん」
それを聞いた高木は、
「では、天照様の祟りはなされたわけですね。まぁ、八咫烏には天津神の眷属としてはお役御免です。これからは国津神として頑張ってもらいましょう」
と、起請文を懐から取り出した。
八咫烏の署名入りの起請文の最後の行には、
『起請文を人が破りし時は、眷属の魂を御使いとして寄越します』
と、書かれてあった。
勢夜陀多良の茨姫 久浩香 @id1621238
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