12 ホ……
「ごめんねぇ~。八咫鴉ぅ」
天照の謝罪の言葉に、頭を伏していた八咫烏は、上半身を上げた。しかし、四人の神々が、それぞれ自分の頬をすりすりしながら、憐憫の目で自分を見ているのを見て、“ホ…”が、彼等に伝わっていない事を察知した。
「女の子ですものねぇ。顔を傷つけられたりしたら、それだけで、死んじゃいたくなりますわよね」
とは、
「全くだ。元々、
と、相変わらず明後日話をしている
八咫烏は、がっくりと肩を落とし、俯き加減に、首をフルフルと左右に振ると、懐の中から、
「ん?な~に?これ」
「貴方様が、一言主を通じて私の娘に与えられた“祟り”の書かれた手紙です」
天照は、手紙に目を通すと、
「げぇっ!」
と叫び、顔を蒼白させた。木板の手紙は、ポロリと天照の手から滑り落ち、ポフッと床に落ちた。カランカランなどという音はしない。
「おおぅ」
「ひっ」
「キャア」
全員が、顔を赤くしたり、青くしたりしたりと、忙しく顔色を変えた。
父親の罪を背負い、何の罪も犯していないにも関わらず、頬を矢で突かれて死ぬ運命を背負わされただけでも同情を禁じ得ないというのに、まさか、あんなところを矢に突かれて死んでしまうなんて、可哀そうすぎて遺体検分もできない。
銘々に悲鳴を上げた後、ジトーーーッとした責める様な目で、天照を見た。
彼等は、今、まさに自分の子、もしくは孫が限りある命の中で生きていかなければならなくなった事で“死”というものにナーバスになっている。その事も多分に加味されており、おそらく、天照に向ける軽蔑の眼差し度は、基準値を遥かに超えていただろう(当社比)。
自分自身も(何でこんな事を書いてしまったのか)と、後悔で苛まれているのに、三人から冷気漂う視線を向けられ、天照のHPは枯渇寸前だった。
忍穂耳は八咫烏の傍に寄り、彼の背中をさすった後、再び、厳しい目を天照に向けた。言葉を発しない分、天照の受けるダメージは大きい。
高木は、顎を指で支える様にして、何かを考えこんでいた。
そして、万幡豊秋津師はというと…
「ああーーーーっ」
と、叫び声を上げた。
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