03 遠い日の思い出
ふと、
「
八咫烏に出てきてもらう事を諦め、長男を呼ぶ。
しかし、
「いいかぁ。瓊瓊杵ぃ。
それから、伯父さんにも、どうしようも出来ない様な事があったら、
あくまで天照に連絡を入れろ。と言い、決して、自分を頼れ。と言わないところは、誠実と言えるかもしれない。
「あ~。
と、テヘヘと笑いながら言ったところで、天照は、忍穂耳の頭頂部に、いつ握ったのか
「!!!!!!!」
と、声にならない叫び声をあげる忍穂耳に対し、
「孫に何を吹き込んでるのよ。馬鹿息子。…ちょっと、あんたに聞きたい事があるんだけど」
ジンジンと痛む頭を両手で押さえる忍穂耳に、天照は、仁王立ちで問いかける。
最高神としていかがなものか?という態度ではあるが、
「何?」
「前にさぁ、あんたを
天叢雲剣で、自分の肩をトントンと叩きながら問いかける天照に、忍穂耳は、「ん~~~~っとぉ」と、考えこんだ後、
「あー。あったあった。行ったねー。なんか人が集まっていたからさぁ。『今日から僕が大王だ!君達を支配しちゃうよ。だから僕に尽くしてネ』って言ったら、すっごいブーイングにあったんだよねぇ。あれは怖かったなぁ」
忍穂耳は、当時の事をしみじみと思い出し、更に、家に帰った後、妻の
「ちょっ。あんた、そんな事言ってたの!って、…はぁ…まぁ、もういいわ。兎に角、行った事は思い出したわね」
「うん」
「その時、道先案内役に八咫烏をつけたと思うんだけど、覚えてない?」
「覚えてるよ~。僕、い~~~~っぱい、のろけ話を聞いて貰ったもん。………あっ!」
忍穂耳は、わざとらしい程に大きく口を開けて、その口に大きく広げた掌を重ねた。
「母さん。ごめん。僕、八咫烏君からの伝言を伝えるのを忘れてた。あのね~。『退職します。今迄、お世話になりました』だって」
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