その世界での「強さレベル」が桁違いなのに、直接的なフルボッコみたいな描写は一切なながら、圧倒的な「器」の違いがわかる。
確かに主人公は前世の記憶を持った異世界転生者であるが、転生特典のチートなどはない。桁違いのレベルはその世界で積み上げた結果だし、経験値獲得の特殊性もその世界の存在でも習得可能、なので特典ではない。(もちろんその技術取得の理由は不明なままだけれど)
転生者である理由は「不殺」というその世界線での特異点的な意識の生まれる舞台装置としの存在が大きい。モンスターを倒すが斃さないという、その世界での革命的な意識が生まれた理由が、読者がいる世界からの転生者であることで異世界のなかでの破綻を生まずに大きな説得力を持つ。前世からの意識に立脚してその世界で「がんばった」結果の展開であるのがとても自然に読み進められる。
キリのいいところで一旦完結してのがとてもいいが、アイデアがたまっての続編再開も心待ちにしている。