第45話 それから
ダンジョンの所有権を王国から認めてもらい、管理を任されることになった。だが僕の生活に、今までと大きな変化はなかった。
日々の訓練を続けてレベルを上げながら、拠点づくりをしてダンジョン内に快適な住処を作り上げる。
契約を交わした後は、すぐさまダンジョンへと戻ってきた。仲間であるアズーラとラナにも情報共有しておいた。
「という事になったよ。ダンジョンは僕らの物になった」
「なるほどのう」
話を聞いアズーラが腕組みして、ウンウンと頷く。
「わかったわ。しばらくダンジョンは安全、ということなのね」
「まぁ、ある程度は警戒しておいて」
「そうね」
契約を交わし安全だとは言っても、完全に警戒を解くことはしない方が良いだろうと思った。だから引き続き、ラナ達には周辺の監視は続けるようにとお願いする。
そして、街での話し合いに関する報告は終わった。
「ワシは、戦闘訓練に行ってくる。シェアも一緒に来い」
「はい! では、アランさん。失礼します」
アズーラがシェアを引き連れて訓練場へと向かった。ローズマリーの師匠となって以降、人を育てる楽しみを覚えたのだろうか。新しく入ってきたシェアの面倒も見て一緒に戦闘訓練をしている様子をよく見る。それで、シェアもどんどんレベルを上げていた。そして、戦闘訓練で一緒に過ごしているうちに、すごく仲良くなっていったローズマリーとシェア。
「アランのお陰で、私達も幸せに生きていけるわ。ありがとう」
「みんなのお陰だよ。みんなが居たから、色々と動けた。それに今回は本当に上手く行った。運も良かったと思う」
アズーラとシェアが居なくなると、その場には僕とラナの2人だけになり、彼女は僕のことを色々と褒めてくれた。少し恥ずかしいが嬉しくもある。
僕だけの力ではない。みんなが居てくれたからこそ、ダンジョンも今のような良い状況になっているのだから、感謝もしている。
ラナと少しだけ会話してから解散した。それぞれの作業へと向かう。
***
ダンジョン内での生活は相変わらず、平和な日々を過ごしていた。
「アラン、久しぶりに散歩に行こうよ」
「そうだな。冬の間は外に出れなかったし、春になってからも色々と騒がしかったから行けてなかったな」
メランダが身体を寄せ、お願いをしてくる。そう言えば、最近ずっと構ってやれてなかった。
「さぁ、早く早く!」
「そんなに慌てるな。腕を引っ張らなくても、大丈夫だって」
「だって、アランと一緒は久しぶりなんだもん!」
「楽しみなのは、よく分かった。行こうか」
「うん!」
メラルダに誘われ、久しぶりにダンジョンの外にある森の中に2人で一緒に散歩へ行ってみたり。
「いっぱい集めてきましたよ、アラン様!」
「今日もありがとう、コニー」
満面の笑みを浮かべながら、両手いっぱいに抱えている鉱石を、僕の目の前に差し出してきたコニー。
「あの、えっと、その……」
「うん。よくやった」
「クゥーン……」
頭を差し出して褒めてもらいたそうに待っているので、クシャクシャと髪を撫でてあげると犬のよう尻尾を振って喜ぶ。愛くるしいコニーの相手するのを楽しんだり。
「ダンジョンは、今日も安全のようね。監視もバッチリだわ」
「それは良かった、ありがとうねラナ」
ダンジョンに住むモンスター達の安全を守ってくれているラナを褒めてあげたり。
「村が出来上がったよ、アラン」
「本当かい!? 見に行ってみよう」
村ができたと自信満々に報告しに来た、マレーラ。
「なかなか、凄いのが出来たんだ。私達の力でも、あんなに素晴らしい物が出来るんだって誇らしいよ」
「それは楽しみだ」
マレーラが指揮して、ダンジョン内部に作られたというモンスターの村を見学しに行ってみたり。
「さぁ、やろうかのう!」
「張り切ってるね」
「アランさん、チームプレーでいきましょう」
「師匠になんとか、土をつけたいな」
アズーラ1人に対して、僕とシェアとローズマリーの3人が一緒になったチームが訓練で対決する。
「フハハハハッ! さて、どうやってワシを攻略する?」
高笑いをして、アズーラは1対3の勝負を前にしても余裕綽々だった。ここに居る皆と比べて、レベルがダントツに高いから。
「僕がキッカケを作るから、2人は後ろから援護して」
「わかった。タイミングを計って、攻撃するね」
「私も、遠距離攻撃でサポートします」
「いくぞっ!」
声を張り上げ、アズーラに死ぬ気で立ち向かっていく僕ら。そんな風に真剣に訓練をしてレベルを上げたりしている。
他にも色々な出来事が、ダンジョンの中で毎日のように起きていた。ここで生活をすれば、退屈することも無さそうだった。
モンスターや人間の新しい仲間も加わって、ダンジョン内部で日々、楽しく過ごすことが出来ていた。
ダンジョンを所有するこが認められて、後に王国とも関わるようになっていった。僕らは、王国からの依頼を受けることになった。
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