第33話 経験値を得る方法考察
ダンジョンの中に家を作ったり、畑を作る準備をして、中で生活していけるような環境を徐々に整えていった。その合間に、皆で戦闘訓練を行って鍛えている。
僕はレベル1005まで上がって、アズーラも8000から少し上がったらしい。彼女のレベル、正確な数値については相変わらず教えてもらえなかったが。
他にも、コボルト系のコニーが372になっていてラミア系のラナは490と大台直前まで上がっていた。オーク系のマレーラは、レベル706となりグングンと成長していた。戦闘訓練にはあまり参加していないが、スライム系のメラルダでもレベル261と上がっていた。
中でも、特に急成長したのが囚われの身となっているローズマリーだろう。現在のレベルが256になっていて、短期間で倍近くになるまでレベルを上げていた。
アズーラと毎日のように訓練を行って、どんどん経験値を得てレベルアップをしていったようだ。
「みてみて! レベル200を超えたんだよ」
と言ってローズマリーは嬉しそうにレベルアップを報告してきてくれて、わざわざ僕にスキルを使ってまでしてレベルを確認させようとしてくるほど、喜んでいた。
そんな感じで、仲間の皆がレベルアップをしていた。レベルが高いと勝負で勝てるという訳ではないけれども、レベルアップするとステータスも上がるので強くなる。勝てるようになる確率もアップする。
再び、僕は疑問に思った。どういう条件で経験値を得られるのだろうか、と。
この世界では、モンスターを倒した時に経験値が得られるようになってるらしい。他に経験値を得る方法として、トレーニングをすると、ごく僅かに経験値を得ることが出来る。スキルや魔法を使った時にも、ごく僅かに経験値を得られるようだった。
基本的には、モンスターを倒していって経験値を得るというのが、この世界の常識だった。
ただ、僕らはモンスターを倒さなくても経験値が得られる。訓練をしているだけで倒した時と同等ぐらいの経験値を得られているようだった。
これは、チートでよくあるような獲得経験値n倍のように、トレーニング等で僅かに得ることが出来ている経験値の量に倍率が上がっているから、なのだろうか。
それとも、訓練でも相手を倒したという判定が下されて経験値を得られているからなのだろうか。
戦闘訓練を途中で止めると、ごく僅かな経験値しか得られなかった。だから、相手を倒したという判定で経験値を得ているのだろう。と思いきや、訓練にはあまり参加せず、回復魔法で周りを癒やして回っているメラルダも、経験値を得てレベルアップしている。スキルや魔法を繰り返し使うことで、通常で得られる経験値の何倍も多い経験値を得ていた。
考えてみても、よく分からなかった。
もう一つの疑問がある。モンスターを倒さなくても経験値を得られる、という僕の特性が他の皆も同じようになっている、という事。どういう条件によって同じようになったのだろうか。
僕が近くに居ると、同じような特性を身につけられるのだろうか。
否。僕が冒険者の活動をしている時、何度か一緒にパーティーを組んだ冒険者は、同じようにはならなかった。そして、離れていた時にも拠点に居たモンスター達は、変わりなくモンスターを倒さないで大量の経験値を得てレベルアップしていた。
距離は関係ないようだった。
ならば僕と接触したり一緒に生活したら僕と同じような特性になる、という考えはどうだろうか。
昔、住んでいた村に居たトーマスさんは、近くに住んでいたけれど僕と同じ特性を身につけることはなかった。それに、ローズマリーは、すぐに僕と同じような特性を身につけていた。
触れ合いや、過ごした時間は関係ないようだった。
もともと人間には、僕と同じようにモンスターを倒さなくても経験値を得られる、という特性を持っているのではないか、という考えはどうだろうか。
実は、やり方を知らないだけで、僕のやり方を教えたら誰もが同じように経験値を得られるようになる。だが、その考えも違うようだった。
ローズマリーには、僕が冒険者活動をしていた頃に何度か説明をした事があった。それなのに、その頃の彼女は僕と同じような特性を身につけることがなかった。村で生活していた子供の頃、トーマスさんにも教えたことがあったが僕と同じようにしてみても、経験値は得られなかった。
という事はやはり、やり方を知らないから、という訳でもなさそうだ。
ゲームのような世界だから、僕らの知らない、誰にも見えないような特別な数値、友好度のようなものが存在しているのかも。その数値が一定を超えた時に、同じ特性を身につけることができる、とか。
しかし、ローズマリーとは出会ってすぐに彼女を拘束する事になって友好的になるようなことは無かった。それからアズーラと訓練をすることになって、すぐに経験値も得られるようになっていたから、条件に当てはまりそうにない。
色々と考えてみた結論としては、この世界にある経験値やレベル、スキルについての仕組みについて分からなかった。
ただ都合がいいので、今後も存分に利用させてもらおうと思っている。
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