謎解き

 大阪・難波の歩道に、無断で103個の大型の植木鉢が放置されているという珍事が起きた。市が撤去を呼びかけるも持ち主からの反応はなく、ついに道路法に基づいた強制撤去が実行された。

 ニュース映像を見る限り、植木鉢と言ってもものすごくデカい。大人三人がかりでないと運べない大きさで、重さは70㎏。いったい誰が、あえてこのようなものをこの数、どういう理由で置いたのか一切が不明。

 撤去にもその後の保管・処分にも人手と費用が必要。大阪市は、誰とも分からない謎の人物のせいで、本来出さなくてもよかった余分な出費を余儀なくされた。もちろんそのお金は、市民の血税なわけである。



 私は、過去の記事で「宇宙は目が悪い」という話をした。

 例えばあなたが、ある人物にひどい目に遭わされたとする。ならばあなたはまさにその人物限定で恨んだり、意識したりするだろう。間違ってもそれを自分の両親や愛する誰かに注ぐことはないだろう。だが、宇宙は違う。



●宇宙は、ただ「人間」というだけですべて同じに見ている。

 だから、きちんとした対応関係でなくても、全体として計算が合うならどこから「取り立て」てもよいので、人の目には理不尽に映る現象がある。



 宇宙は、数いる人類をいちいち把握しない。

 人類トータルとして考える。そこで何か起きたら、その因果を返すのだが、我々が考えるようにきれいに返ってくるケースばかりではない。時に、なんでこんないい人がこんな目に? と思える現象があるが、宇宙は借金取りと一緒で、取り立てれたら誰からでも構わないのだ。お金が返ってくれば何でもよく、その出どころはいちいち問わない。

 人類全体で、ひとつの体だと考えないといけない。気付かないだけで、すべての人間は目に見えない糸でつながっており、何らかの形でリンクしている。あなたがその狭い知恵で、「なんで私がこんな目に遭わなきゃいけない」と考えたとしても、大いなる視座から見たら、地球のどこかしらで起きた何かを、あなたが支払うことになったということだ。かわいそうだが、その裏の全貌は人間個人には知り得ない。

 たとえば、足元に大きな石があるのに脳が気付かないで転ぶと、不注意な脳(意識)に責任があるのだが、地面に手をついて手がすりむけたりする。手は直接悪くないが、体の一部でありより深刻な被害をうまないためにも犠牲になってダメージを最小限にする必要がある。だから、悪くない手は全体のために皮をすりむくという目に遭った。

 逆もありで、何も困ったことが起きず今平和に暮らせていても、それはたまたまである。あなたが背中なら、転んでも手がすりむけるだけで、背中は別に影響がない。まさに他人事でいられるのだが、体の一部である以上、いつ何時背中が関わる悲劇が起こらないとも限らない。今大丈夫だからといって、油断はならないのだ。



 謎の人物のせいで、大阪市はわけもわからず大型で動かすのも大変な遺棄物の片づけをさせられるはめになった。なんでこんなことさせられんといかん? なんでうちがカネ出さんといかん? と憤るかもしれないが、同じ人間である「同胞」がやったことだ。スピリチュアル的観点からは仕方がない、としか言いようがない。

 他人には分からないが、植木鉢を置いたその人にしか分からない「理由」が必ずある。そういうことが起きてほしくなかったら、そんな迷惑をかけてくる人間の「なぜ」を考えるべきだ。どうしてそんなことをしたのか、について考えられる可能性をすべて検討すべきだ。

 そんなことをするような人を一人でも減らすためには。関係ない善良な市民が、一部の心無い人間のせいで(同情の余地のある理由があるかもしれないが)とばっちりを受けないためにも。何かあったら全体のどこがツケを払うか分からない、という恐れの中では、みんなが助け合い思いやりをもち合って、協力して住みやすい世を作っていかないといけないのだ。



 分けわからん、ではなくこういう「謎解き」こそ大事なのだ。名探偵コナンのような推理物の「謎解き」もいいが、どちらかというとこういう謎解きを頑張る方が、世界を良くすると思うのだが。

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