信用してはならないもの

 今、よきにつけ悪しきにつけ何かと話題の「マイナンバーカード」。

 ある雑誌社が、マイナンバーカードについての質問を総務省の担当部署に問い合わせると、「それはデジタル庁で聞いてください」とのそっけない返答だったそうだ。

 お言葉に従ってデジタル庁の担当者に問い合わせるとちょっとは答えてくれたが、深掘りして聞こうとすると「これ以上のことは厚労省に聞いてください」。

 そしてさらに、言われた通り厚労省に聞いてみた。すると——

『総務省が内容を精査している段階ですので、お答えする材料が今ありません。なので総務省に聞いてください』。

 あらあら、最初の総務省に戻ってきちゃったよ! これぞまさに文字通りの『たらい回し』というやつである。責任の所在がはっきりしない。



 筆者は、マイナンバーカードという概念というか、そういう制度そのものを悪いとは思っていない。ただ、それを推し進める人間たちに、その姿勢に問題がある。

 この世界で、信用してはならないもの。それは——



●責任所在のはっきりしないもの。最終責任がどこにあるのか分からないもの。なにか間違いがあった場合、どこが責任を負うのか誰の目にも分かりやすく明らかになってないもの。



 人間だもの、新しいことを推し進めていく上で間違いはあるでしょう。それは責めても仕方のない部分がある。

 でも、その都度どこに問題があったのか、そしてその責任はどこにあるのか(どこが取るのか)はきっきりさせ、このように改善しましたもう次はこのようなトラブルは避けられるはずです、と最後まで全体に知らせる。それで、国民も納得する。

 オレにまかせろ! 何かあったらオレが責任を取る! そんなかっこいい大人(政府・国会議員)ならよかったのに。やりたいことはやって、その責任は直接取らない。問題が生じれば、国民の知らない陰で、誰ぞに責任を押し付けて首斬って処理。

 まるで、ヤクザの親分の代わりに子分が罪をかぶって懲役に行くような感じだ。



 スピリチュアルの世界でも、様々な教えや情報が飛び交っている。

 見ていると「これ本当か? ソースは何だ?(イカリとかカゴメじゃないよな)」と疑問が残る怪しいものも少なくない。陰謀論的なものや、いついつに大災害が起こる、いついつに世界がこうなるというような予言めいたものもある。

 筆者は、正しいとか間違っているとか、そんなことで情報の価値をジャッジはしない。真偽がどうかよりも私が重要視するのは——



●言っている指導者なりが、吐いた言葉には責任を取る! という姿勢を明確にしているかどうか。



 新興宗教でもスピリチュアルでも、ぎょっとするようなあくの強いメッセージがあったりする。まぁ、ある程度刺激的な言葉じゃないと人を揺さぶれない、ということはあるので、売れよう(広めよう)とするものはそういう刺激の強い内容となる傾向にある。

 ただ、もし従ってくれる誰かに、そのことで問題が生じたり実践者や信者が「これ本当なのか」と疑念を抱くようなことになった時、とことんまで向き合い、疑念に応えてくれる姿勢を示してくれる指導者かどうか。真正面から受け止め、逃げない指導者か。それとも政府のように言いたいことを言うだけ言って世間をかき回し衝撃を与え、後は誰がどう反応しようがのらり、くらりとかわし、守られた場所から相変わらず言いたいことだけを言い続ける指導者なのか。



 人の人生を左右しかねない、それを信じることで常識的な人から嫌われかねないほどの「クセのある情報」を発信するような指導者なら、ぜひそれが違った場合や慕ってくれる者に問題があった時は、潔く前面に出れる人であってほしい。

 ただ煽ることを言って、ウケればよしウケなければ次の一手を考える、程度の認識ならばそれはもうスピリチュアルではなく詐欺師である。多分、そういう者は責任のセの字も意識していないだろう。

 どうか皆さんには、そういうやつらに本質も知らないで魅了され、人生の遠回りをしないで済むように気を付けてほしい。もちろん、遠回りも人生のひとつの貴重な経験であり味わいではあるが、それはあとあとそう割り切れる自信のある人だけの特権である。ただしその際、自分だけではなく周囲に迷惑をかけるという事実も忘れてはならないだろう。

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