あなたの正義は大丈夫?

 私がここで書く記事は、基本的に「誰が読んでどう思うか」ということを考慮していない。もしそれをしたならば、私は手足をもがれたも同然である。もし、誰かから「間違いなくこう伝えてくれ」と言われた内容があって、あなたが勝手に「これじゃ印象悪くするぞ」「ここを伏せて、ここは相手を褒める一文をつけておくとグッと好印象になるんじゃ?」と考え、善意とはいえ『改竄』してしまったら?

 相手の気分はよくするかもしれないが、正しく伝えないことで何らかの問題が発生するやもしれない。

 ここの記事のウリは、「私の頭に降ってわくインスピレーションを、自分を守るための何の削除も付け加えもせず、そのままに表現する」という点にある。そこには一切忖度というものがない。

 だからだろうが、時折お叱りのメッセージを受け取る。それは決まって「その人物の中に何らかの強固な信念(宗教上の大切にしている教えも含む)があって、私の書いていることがそこを逆撫でする」ケースにおいてである。

 また、歴史上の確実な史実とまではいかないある「こうだった可能性は高い」という話でも、逆の説を信じている人物にしたら自分の出した答えに自信を持っているのか、文句を言ってくる。現時点で証明もできず証拠も示せない事柄に関しては、説の違う人間をそこまで憎まなくてもいいのではないか。



 過去に、私が記事を披露しているアメブロやここカクヨムで『運営に通報します』というメッセージをいただいたことがある。コメントにはギャーギャーとその人なりの「私が通報に値する理由」を並べていたが、その人物は冷静さを欠いていてテンパっているので気付けていないだろうが、どう読んでもそれは「あなたがそういう考えの持ち主だから私の文章が悪口に思える」というだけのこと。

 その人物の考え方を持たないその他大勢(世間一般)にしたら、色々ある考え方のひとつにすぎず、別に目くじらを立てるほどではない。もしそれが運営の削除対象に当たるなら、この世界でほとんどモノが言えなくなってしまうだろう。そういうレベルのことである。

 案の定というか、過去に通報すると言って私を脅した人間が数人いたが、未だに私はBANの対象にはなっていない上、ただの一記事も削除を警告、あるいは実行されたことはない。



※例外として、筆者の言葉のチョイスが悪く、差別用語にあたったのかして一時的に記事が消えたことはある。それは問題と思われる単語を変えたらまた復活した。でもそれはあくまでも言葉選びのまずさであり、内容自体に決定的なアウトがあったわけではない。



 ……ということはだ。その通報すると言った人間の「正義」と、運営側の「正義」は一致しなかったわけだ。通報者がダメたと思ったものを、運営側はダメとは判断しなかったということになる。



 不思議な話で、通報者はなぜ通報という行動に踏み切れるかといえば——



●自分と同じように運営も考えてくれると信じた(期待した)から。



 可能性がゼロだと思えば、労力もかかるし恥ずかしいだけなので、通報なんてできない。するには、自分の判断基準に一定の「自信」があるはずである。また、「あなたもひどいと思うでしょ?」という承認欲求もそこにはある。

 でも結果、運営は(ちゃんと仕事をしているなら、その通報文を関係者誰かしらは目を通したはずだ)筆者の記事を削除しなかった。こういう苦情があったので注意するように、との通達もなかった。

 結局、アンチが憎さのあまり私情で、嫌いな作家に難癖をつけているにすぎない感じの「苦情」は結構あるのだろう。そんなこといちいち構ってられるか、もしそれがアウトならほとんどの作品はアウトだ、という醒めた視線で、担当者は日々寄せられるバカな苦情を多数黙殺しているのだろう。



 このように、自分が本気で「こうだ」という価値基準が、かならずしも世間一般とはなじまない場合がある。特に宗教やスピリチュアルなど、あまり多数派でない(マニアな)思想を持っている場合、それは顕著である。

 ニュースで、陰謀論にハマってしまったある主婦が離婚を迫られ、子どももお母さんの変わりように困ってしまい、ついに一家離散というケースも記事にされていた。

 本人の世界観の中ではあまりにそれが普通でありまた強固に根付いているがゆえに、他人が「自分と同じようには考えない」という可能性を忘れる。配慮が困難になる。彼らの中では、世界は「そうでなければならない」のである。

 私も自戒の意味も込めてこれを言うが——



●あなたが自信をもって信じているその考え方は、本当に絶対ですか?



 それは、他者に押し付けて大丈夫なほどのものだという検証は十分になされたのですか? それで相手が傷付くことがあると思いますが、「たとえ傷付けたとしても、それが真実なのだから仕方がない」というほどまでに覚悟を決めておられる、ということですか?

 そこまで思えるあなたを支える「根拠」というのを是非見てみたいものです。

 でもその割には、あなたのその自信ありの判断は、必ずしも大勢の良識とは同じではないみたいですけど? (通報したとおっしゃいましたが1年以上経った今でも私には何の処分もありませんが)

 一度、あなたのその「自信」と「確信」というのを、お嫌かもしれませんが再検証されてみては? 結局脆弱なものに過ぎなかったのではありませんか?

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