オートマタ(機械人形)

【NieR:Automata(ニーア オートマタ)】


 スクウェア・エニックスよりPlayStation 4(PS4)用として発売されたアクションRPG。人気の高さゆえアニメ化もされ(アマゾンプライム・Hulu他でも配信中)、主人公キャラ・ヨルハ二号B型の秀逸かつ美しいデザインは、フィギュアとしても販売され人気が高い。


【ストーリー】


 西暦5012年。突如として地球にエイリアンが襲来し、侵略を開始。人類はエイリアンと彼らが繰り出す兵器「機械生命体」の手によって地上を追われ、月への退避を余儀なくされる。

 生き延びた人類は奪われた地球を取り戻す為、アンドロイド兵士による抵抗軍を結成。衛星軌道上に設置した基地群から反抗を開始するが、十数回に渡る大規模降下作戦を経てもなお決定的打撃を与えることができず、戦況は数千年に渡り膠着していた。この状況を打破するため、人類は決戦兵器として新型アンドロイド兵士「ヨルハ機体」を開発。それらから成る「YoRHa(ヨルハ)部隊」が編成され、戦線へと投入されることとなる。



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 多分だが、この記事を読むような年齢層の方は知らない可能性が高い。(笑)

 筆者も、間接的に知ったクチである。FF(ファイナルファンタジー)14 というオンラインゲームをやっていたら、ちょっと本ゲームと違う世界観の登場人物やメカが突然出てきたので、なんじゃこれと思って調べたら、別のゲームとのコラボ企画なのだということが分かったことが、私とこのニーア・オートマタという作品との出会いである。

 間違っても、読者の皆さんに勧める気はない。(笑)好きな人は好きだし、あなたが若者じゃないならかなり人を選ぶ作品だと思うので。筆者とて、アニメを見たのみでゲームまではさすがにプレイしていない。



 この作品を見て、筆者にはあるインスピレーションが湧いた。



●人間は、もとは機械だった可能性がある。



 このゲーム(アニメ作品)では、侵略してくるエイリアンが兵器として使用した「機械生命体」たちが、地球を攻撃する合間に人類の残した「本」を見つけて読んだり、地球にある花を見て「美しい」という感情が芽生えたりして、人間のような振る舞いをするものも出てくる。中には、使用者であるエイリアンの与えた指令を無視して「戦うことを放棄する」という選択をする機械も出てくる。



 その遠い昔。

 機械生命がある星で文明を築いていた。人間が機械(アンドロイド)に比較して自分は「生身」の肉体だと思うのと同じように、彼らにとっての「生身」とは機械の体だった。

 知的生命であるがゆえに、科学の発展と共にその欲望やエゴゆえに自らの環境を破壊、そして滅びの危機に瀕した時。

 機械人間たちは、自分たちにとっての「機械の体」を作った。それは、まったく自分たちの体とは異質の材質で作られ、その材質だと感覚とか感情とかいう部分がさらに豊かに発揮される入れ物であると分かり、自然環境や他の生き物とも構成する材質が近く、自然との共存に最適と分かった。

 最初はただ道具として使用するだけだったが、やがて自らの意識をその入れ物に移して生活することも流行した。そしていつしか、長い年月をかけてそうする者のほうが大半になってきた。



 やがて壊滅不可避な戦争が起こり、心ある一部の者は自分たちは滅びても、その存在をなんとか後世に残そうとした。そうして、冷却保存され生命が活動できる星にたどりつけたら自動解凍・起動するようにしておいて、救命艇を外宇宙に向けて飛ばした—— それがたどり着いた先が地球だった、と考えるのも面白い。

 我々は小説や映画などの創作物で、機械(ロボット)が人の心をもつ、というような話を作るが、実は先の歴史で「機械のほうが生身で、地球人の肉体の方が実は機械側に作られた産物だった」のではないだろうか。その記憶の名残が、そういうお話となって人に紡がれているのではないだろうか。

 機械側はかつて夢を見たのだ。優しい材質で、自然環境にも優しいこの見事な体だと星と共に生きるのに最適なのでは、と。しかし、せっかくそのような「自然に近い肉体」を開発できたのに、内輪での争いを解決できず滅びた。



 せっかく、かつての機械生命が夢を見、夢を託したこの肉体を「当たり前」と思って生まれた我々なのだ。自分たちもまた滅んで、また次の星に望みを託すのではなく、この地球で過去からの悲願を達成しようではないか。

 自然と共に。この肉体とともに。機械とともに。調和を目指して。

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