試されるあなたの心

 俳優の香川照之の「ホステスへの性加害被害」の問題に関して、ひろゆき氏のしたコメントが議論を呼んでいる。



①銀座のクラブで、強制わいせつ罪に当たる行為が行われていても誰も通報しない。高い金を払う客がやらかしたとしても黙認するのが『文化』になってる



②そんなの見たことない、あってはいけないという人がいますが、貧乏人でクラブに行くような人は見た事が無いだけです。香川氏が有名だからニュースになるだけで、小金持ちや半グレ金持ちの似たような事例は茶飯事です。金持ちだけが許されるので、一般人が見たこともないし許されないのは当然です



③キャバクラなど風俗は、性的被害や嫌な思いをする事で高い給料が貰える仕事です。セクハラが嫌なら風俗で働くべきではないです。『他の仕事が出来ないので選択肢が無い』という人は生活保護をどうぞ。『キャバクラで働いても性的な被害を受けない』というのは嘘です



 この発言に対してカチンと来て、職業の貴賤がどうの仕事をバカにしているのと「感情的にゆるせない」レベルでひろゆき氏の言に反発する人は、世界の見方が浅い人だと思う。現実が分かってなく、自分が世の汚い部分に大きく破壊された経験もなく順調に大きく育ってきたような、ある意味恵まれた人だと思う。



●精神ステージの幼い者にとって、カネと自身の身の安全(命)のふたつは絶大な価値だぜ? それを保証されるなら、ほとんどの人は相手が悪人だろうがしっぽを振って言うことを聞くのですよ。



 たとえばあなたの娘が誘拐されたとしましょう。

 警察を呼んだら娘の命はない、ここにカネを持ってこいと言われたらほとんどの親はそうするでしょう。躊躇なく瞬時に「あ、警察行こ」って判断を下す親がいたら、それは論理的には正しいがちょっと子どもへの愛情を疑う。

 まぁあり得ないが、子どもを返して欲しかったらどこぞのデパートのなんとか売り場にあるこの商品を万引きしてこれたら子どもを返してやる、と言われたらやるんじゃないか。その時親は、万引きが罪だとか悪いことだというレベルで思考することは不可能になっている。

 とにかく、凡人レベルであれば、その人のこの世で最も大切なものをこちらが握りさえすれば、たいがい言うことを聞かせることができる。



 皆さんは、この世は良識が支配し皆がそれを守っているはずである世界を、宗教のように信じている。あるいは信じたがっている。それに冷水を浴びせるようなことを言う者を嫌う。だって、直面して考えないで済む立場にい続けたいからだ。それを邪魔されるからだ。

 今回のひろゆき氏の言葉は、表層だけ見たら確かに乱暴と言うかあけすけというか、配慮がないような言い方なんで(現実がどうかは別として)とにかく腹が立つのだろう。でも、言っている内容はその通りで、世の見えないところでは「相手の生殺与奪を握っている立場の側が、弱い立場の者にする法律も良識もへったくれもない行為が山ほどある」。ホントあなたが知らないだけ。

 人って、ソンナモノデス。ハイ。そんなことはこの法の社会でほとんどないと思えるあなたが恵まれているんです。いや、何かのきっかけでそれが分かる未来だってあるかもしれません。



 相手をどうにでも言うことを聞かせられる力をもつと、人間変わるんです。

 それ以前は善人であっても、いい父親でありよき同僚であっても。

 だから、庶民はうらやましがるかもしれませんが、金持ちになるとか権力者になるということは、人間に課せられるひとつの『試験』のようなものです。それを持たない者には、この試験は免除されます。そこのあなた、よかったですね!

 だから、香川氏もその他大勢の失脚する政治家や有名人も、その試験がたいへん難しいので落ちたのです。合格する者もいますが多くはない。ほとんどは、実は試験に落ちているのに落ちたことが世間にバレてないだけです。

 しかもですよ。この試験は一度パスすればいいのではなく、人生の中で定期的に資格更新のための再試験があります!



 全体としての人類は、まだまだその精神性においては旅の最初です。

 アセンションだとか天国が近いとか、どの幼稚な頭が言えるのでしょうね。

 お花畑スピリチュアルが好きな人は、もっと良く世を知ろうとすればよい。

 筆者は、少しは知っている。もっと知らねばならないとも思う。イエス・キリストは身分の高い人や普通の人と付き合うよりも、むしろ社会の最下層へ降りて行ったらしい。彼らしいが、イエス以降の歴史の聖賢たちで、彼のようなことをした者を聞いたことがない。イエスには及ばないが、それでもしいて挙げればマザーテレサくらいしか知らない。

 上を知っても、ほとんど学びにならない。そこはスカスカの世界だ。下のほうにこそ、その世界を本当に理解するカギがある。

 ひろゆき氏の今回の物言いを気に入らない人は多いだろうが、ド正論である。どこぞの弁護士が、ひろゆき氏の言うようなことはあるのか・あったらどのような罪に問われるのかということを法律の視点から語っていたが、無意味だ。問題の本質が分かってない、アホな記事だった。



●善と悪、人と野獣、理性と動物本能。そんな区別など何ほどの意味もなくなる世界がここにはある。愛・善・知性が屁ほどの役に立たない場面が世界にはある。

 力が、他人の善も愛も知性も奪い、操れる。

  ほとんどの人がそれを免れない。ほとんどの権力者が誘惑に負け、ほとんどの弱者が誇りも尊厳も捨てて力ある者の言うことを聞く。まれにそれに打ち勝つ者が現れるが、いままれだと言ったようにほとんどいないので、ほとんどのひとが今すぐにはそうなれないようなものを議論する意味はない。

 理想論を語れる人よりも、いやな事実だけど世界にはそういう面もあることを直視できる人のほうが、いざという時誰かの役に立つ。



 きれいじゃないもの、(よく考えたらそうなんだけど)言い方が気に食わないものに何でもかみつけばいいってもんじゃない。ひろゆき氏の今回の言葉にかみつくかどうかで、その人の浅さ深さが分かるってもの。

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