何も起きなければ笑うだけでいい
スピリチュアル界隈でも世間一般でも、最近少なからず囁かれている情報がある。
『南海トラフ地震』に関することである。
あるニュース記事によれば、いつとは言えないが(数年後かもしれないし数十年後かもしれないし)、でもいつかは起きる公算が高い、という見解になっている。
かつて、スピリチュアル関係のある筋からの情報で、2016年『5月17日』という具体的過ぎる予言があったが、ものの見事にハズレ。まさにYouTube・Twitterあるあるである。いい加減な情報多いからね!
このような、一般人には認めがたい強烈な(しかも証明できない)ゲテモノ情報に対し、「このような、いたずらに人の恐怖心を煽るような情報は言うべきではない」と批判する向きが多い。
さて、今回は歓迎されない種類の出来事(災害・大惨事)の予言情報に対する、筆者なりの向き合い方を述べてみよう。
ちと昔の、男子フィギュアの織田信成選手の話。
バンクーバー五輪で、演技中に右足スケート靴のひもが全部ほどけ、続行断念。
実は、本番前に靴ひもはすでに「切れていた」。しかし、織田選手はここで運命の決断を迫られた。
①切れた部分を結び合わせ、ひもはこのままでとりあえず演技する道。
②万が一を考え、潔く新しい靴ひもに交換する道。
スケート競技に詳しくない人間がこれを読むと、どう考えても②じゃん、と単純に考える。しかし、選手にとって「何度も練習し、馴染んだ靴ひも」は重要なのだ。固く締めていっても、演技中に適度に伸び、ちょうどいい締めの固さになるのだ。
逆に、一度も使ってないような新品の靴ひもでは、その年月かけた「あそび」の部分が生まれず、伸び伸びと滑れない分、余計な神経を使うこととなり、それは見た目の演技の評価に響く。
だから、切れたからと簡単に交換するという決断が、勝ちたかったがゆえに、いい成績を残したい望みがあったからこそ、できなかった。
織田選手の判断を動かした、もうひとつの決定的な情報がある。それは——
●スケート界で、大きな試合で「靴ひもが本番中にほどけた」という前例はほぼない
滅多に起きないことなんだ。今自分にそれが起きる確率は低い。切れた部分を固く結べば、10分もない演技時間くらいは乗り切れるだろう——
織田選手は、1000のうち1しか起きないだろうことを心配する道を捨てた。圧倒的な999のほうに賭けた、と言える。しかしこの事件は、たまたまその「1」が起きてしまった、という悲劇である。
このことから来る教訓は何か。
●人生とは、本当に何が起きるか分からないものである。
「自分にはないだろう」と思っていることでも、ある日突然襲ってくることがある。
だからといって、私たちはあらゆることを気にして、完璧に防御することはできない。生きて生活する以上、そんなことばっかりに時間を使ってられない。
だったら、せめて「心構え」だけでも持っておくことである。
覚悟を持っておくことである。「いつ起きてもおかしくない」と。もちろん、それは最低限の備えであって、現実的にも備える余力があればするのがよい。
多くの人の日常には、平凡という999が(ある意味奇跡的に)起き続けている。
残りの1は、交通事故や犯罪、その他人生に関わるトラブルに巻き込まれるケース。999が続いている人は、その奇跡を何だか当たり前のように感じていて、感謝も少ない。
1に当たってしまった人が、皆口をそろえて言うこと。
●ニュースとかで見て他人事のように思っていた。まさか自分の身に、自分の身内にこれが起きるとは思ってもみませんでした。
でも、そのコメントをニュースで耳にしながらも、残りの999は学習しない。明日も明後日も、当たり前に平穏な明日が来ると信じ切っている。
ある意味、宗教である。
心で具体的に考えて心配するから起きるんだ。要は、心配しないこと、恐れないことだ——
このように、そういう「恐れを生じさせる情報」に関して相手にしなければいい、という人は、筆者とは話が合わない。すぐに帰りなさい。言っとくが、あんたみたいなタイプ、真っ先に被害に遭うぞ。
思い描かなければ、恐れなければそのことが襲わないなんて、エセ真理である。信じる価値はない。備えないと、知らんよ。
筆者は、だからいつか起きそうな南海トラフ地震に対して日本国民総員、1000のうち1の可能性をバカにせず、備えをせよ! という結論を言いたいのではない。
むしろ私は、どっちかというと「特に何も起きないだろう」と思っている。
だから、こうしたらどうか。
「そんな人々に恐れを起こさせる情報はけしからん!」ってのは心が狭い。
へぇ~そういうことも、万が一にあるかもしれないねぇ。万が一だからまぁ起きないだろうけど、念のためちょっとは意識しておいてあげよう! でいいじゃない。
それで何か問題ある? 誰か傷付く? 意識して、なおかつ防災対策(非常食や水・懐中電灯など防災グッズの常備など)とかしておけばいい。
それで今後数十年以上も何もなければ、皆で笑えばいい。
●過ぎたけどなぁ~んもなかったねぇ!
とりあえず何も起きなくて良かったんだし。専門家やスピリチュアル関係の人の中には、何年何月あたりに起こると言った人がいたけど、よかれと思って言ったんだろうしその人を責めても今更だし……
もう水に流そっか~! でも、安心しきった頃起きてもいけないし、今後もどこかでは気を引き締めて生きなきゃ、だね!
そんな感じで、流せる度量が皆にあれば、いいと思うんだよね。
こういう情報に関しては、ムキになって「世間を怖がらせるな」じゃなく、大げさかもしれないけど皆でちょっと気にしてみてもいい。で、何もなければ「あ~よかった」で、いいじゃないか。
誰もが「良かれ」と思ってしか行動しないんだから、その警告を発する人の言葉の表面ではなく、「それを通して本当は何を訴えたいのか」という真意まで汲むことができる人が増えたなら、人類全体の意識が「開けてきている」と言える。
情報を攻撃している段階では、人類はまだまだ幼いということだ。
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