新解釈・引き寄せの法則

『パントマイム』と呼ばれる芸事がある。そこにないものを、体の動きを工夫することでいかにもあるかのように見せることである。

 当たり前の話だが、いくらパントマイムをやり続けようと、そこにないものが実体化して出てくるわけがない。5年やったから、10年やったからという話ではない。

 確かに、そこにないものをあるようなフリをし続けたところで、原理的に何も生じない。でも、こういうことが起きる可能性がある。



●あなたが披露し続けているパントマイム(フリ)があまりにも素晴らしいと、それに心動かされた者が、大道芸の投げ銭のようにお金を置いてくれることがある。



 筆者は、これこそが実は「引き寄せ」と呼ばれるものなのではないかと勝手に考えている。

 頭で「ある」とイメージする。それはすでに在る。すでに得ている——。

 すると、意識が現実化するので、信じて疑わないならその通りの現実が創造される。この、引き寄せにおける一般的なこの願望実現のメカニズム解釈は、すべてをちゃんと説明し切っていない気がする。

 いくらイメージしたって、それだけで空想物が実体化する、なんてことは起きない。あなたの「ふんっ」と気合いを入れた「それが実現するという想念エネルギー」が、即モノホンの対象物を引っ提げて「ほらよ」とあなたのところへやって来る、なんてイメージは的はずれである。



●メカニズム的には、ダイレクトに「引き寄せる」のではなああい!

 あなたのパントマイム(何かがないのに、無いなら無いでもあるかのように幸せで、エネルギッシュであっぱれな在り方ができている時)があまりに見事なので、人(宇宙)はあなたのパフォーマンスに対して相応の「価値」を差し出す。

 それは、現実世界のものに例えるなら、「お金」である。

 あなたが欲しいのはその無形なエネルギーではなく (それは把握が困難)具体的な願望なのだから、「じゃあお金をこの商品に換えます!」ということになり、それが「願望実現」である。

 あなたは、ダイレクトに願望を「引き寄せる」というより、一度「通貨」として何かに替える権利を得た後、それで任意の方向性での買い物をする。言ってみればそういう手順になる。



 ただ、ここで注意が必要。

 人間の世界でも、何かの商品が欲しいと思って店に行っても——

「すみません、売り切れてしまいました!すぐには入荷しないんです~」

「まだ発売しておりません」

「限定販売で、すでに用意した数を上回るご予約が殺到してまして……」

 そんな風に、二元性世界のシナリオ上の都合(無数の意思の複雑な干渉結果)により、その時にその人物が欲しい商品が手に入れられない、という場合が生じる。

 よく分かってない人物は、その時に即欲しいものが手に入らないただそれだけの現象を見て、「引き寄せ失敗」とかいうダサい次元で考える。

 でもそれは、手に入れた通貨で、「これを買いたい!」というものがなかった場合、「しょうがない。だったらこれにしとくか~」という具合に、別の何かを買うかもしれないのだ。それが意識的にではなく「無意識」の領域下で行われる場合があり、「引き寄せ失敗」と誤認することが生じる。



●事情によっては、ダイレクトに望んだそれ、が来るのではなく「代替品」が来る場合もある。それだって、いわゆる「成功」である。

 


 望んだことがその如く起きる、という分かりやすい引き寄せが成立するには、ふたつの条件が、揃わないといけない。



①その商品を買えるだけの、相当額の通貨を稼ぐ。

②そしてなお、その瞬間にお店(宇宙商店側)に、ちゃんと欲しいものの在庫があること。



 ここが分からない者が、「何でも願えばかなう。不可能はない」と考える。だから、何かができない、というのは「できないのではなく、やり方がまずいだけ」と考えてしまう。

 もちろん、そういう前向きな思考法が良い結果を生むこともある。ただし、多くのケースで「生真面目な人を追いこむ」だけのことにもなりやすい。

 お金は万能ではないんです! いくらお金があっても、あなたに販売できない状況があったら、ダダをこねてもダメなんです! 引き寄せが万能だと思っている人は「いくらお金があっても、状況によっては欲しいものが買えないこともある」という点が分かっていない。

 願望実現の際、あなたが生みだすのはエネルギー (通貨)です。買える「資格」は得ますが、実際には第一希望の商品が買えない場合もある。

 その時に、気落ちすることはない。だって、同じ価値の、別のものを得ることができるのだから!

 


※筆者注:ここでいう「通貨」は、人間の流儀で「貯金しておく」という概念はほぼ使えません。貯められる、という考えは捨てたほうがいい。絶対不可能だとは言いきりませんが、使わずに持ち続けている間に雲散霧消してしまうことがほとんどで、その時に使わなければ無効になると思っておいた方がいいでしょう。



 人生において、よくこういう話があります。

「人生の曲がり角」というものがある。

 自分はこうしたい。こういう人生を望んでいる。そんなものがあったとしても、どうも望んだようにいかない。それどころか、思わぬ方向へ飛ばされる展開になる。

 その時、あなたのエゴは叫ぶ。「思ったのと違うじゃないか!」

 でも、結局その道を行った時。ジタバタを、抵抗を止め流れに従った時、あとで振り返って「あの時はいやだったけど、結果これで良かったなぁ」と思えることがある。そんな経験、あなたにもありませんか?



●それこそが、本来欲しいものが買えず代替品を買った「引き寄せの成功」。

 その分かりやすい実例。



 人は、願った目標物そのものが来るのでないと成功じゃない、と思いやすい。

 それこそを、「執着」だとか「こだわり」だとか呼ぶ。

 必要ならばそれを捨て、人生の流れの中で提供されるものを感謝して受け取る。

 通貨でその時手に入る範囲の中のものこそが、あなたの真の幸せに寄与する。

 ゆえに、あなたの自我という仮想人格で望んだものを得るのでないとダメ、はちょっと違う。



 ちょうど筆者は今、そういう状況にあるように思う。

 今眼前に広がっている景色は、以前考えていたのとだいぶ違うが……(笑)

 これもまた楽し。 

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