臥薪嘗胆
【意味】
復讐を心に誓って辛苦すること。
また、目的を遂げるために苦心し、努力を重ねること。
【由来する故事】
中国の春秋時代、呉王
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最近、何かのマンガを読んでいて、笑える描写に出会った。ある伝説の調味料を追い求める話なのだが、その調味料のすごさを伝えるエピソードで——
●あの『臥薪嘗胆』で有名な越王勾践も、この調味料のおかげで、苦い胆も美味しくなめることができたという。
そんな話が載っていたのだが、私は思わず笑ってしまった。
●それじゃ意味ないじゃん~!
そもそも、薪の上に寝るとか、苦い胆をなめるとかする意味は、その痛さや苦さを受け止めることで、心に誓ったことを常に思い出し、気合を入れ直すためのものであるはず。
それを、たとえば薪の上に毛布を敷いて痛さを軽減しようとしたり、胆の苦さを何かの特殊な調味料でやわらげたりして、どうするんだ?
それでは、臥薪嘗胆の本来の目的から逸脱してしまい、用を成さなくなる。そんな甘っちょろいことでは、
さて、スピリチュアルでは幸せになるためのひとつの実践手段として、次のようなものがある。
●視点の変化。
物事を、ある習い性となった同じ見方でしか見れないと、嫌な気分になる。しかし、自分が気付けなかった別の切り口で状況を見直すことで、感じ方や解釈が変わることがある。
平たく言うと、その物事の良い側面をできるだけ探し出すことで、そこにフォーカスして幸せになろうとするものである。俗的には、ポジティブシンキングという言い方をしたりもする。
筆者も、本書で長いこと「視点の変化によって幸せをつかめ」と言ってきた。
しかし、それはひとつの物の考え方に過ぎず、決して「真理」と呼べる域の話ではないとも言ってきた。それどころか、それをすることがいついつ何時でも「良いこと」であるとは限らない、とも。
●視点の変化を使ってネガティブな感情を回避することは、かえってマイナスになることもある。
本来非二元(ひとつ、あるいはゼロどちらでもお好きな概念を使いなさい)であるところをこうして人間という無数の「個」の視点を味わいに来たその意味は何か?
何かの物事に直面した時に感じる、その「感じ」を大事にしに来たのである。
たとえばあなたが悔しい、という体験をしたとする。
もちろん、人間として一番楽なのは、その悔しさなど忘れてもっと楽しいことに目を向けることである。そんなものを引きずらないことである。
でも、ケースによっては、その悔しさから逃げずに、逆に日々の努力の原動力として利用するという手もある。スピリチュアルでは、そういう「悔しさ」をバネにするという種類のことは低く見るかもしれない。健全な「喜びを動機とする」ことや「ワクワクドキドキ」とかでないといけない、そういう勝ちたいとか負けたくないとかいうのは動機として健全ではない、とか言うかもしれない。
……だから嫌いなんだよ、スピリチュアル。(笑)別に、全然構わないじゃないか。そういう生き方や自己実現の仕方だって、ありだ。
今回の記事で私が言いたいことは、「視点の変化を使って幸せになろうとするより、そのような回避手段は取らずあなたが今自然に物事を見つめるその視点で、直球勝負で受け止めたほうがあなたたにとって益となる場合がある」ということである。
あなたの魂の成長の上では、物事の良い側面に注目して楽になるよりも、その嫌な部分を回避せず見つめ切ってみることがよりよい場合があるのだ。
たとえば、数学の博士だったら、小学生や中学生がやるような計算問題は、やらないでいいだろう。もう、できることが分かっているからだし、それをせずとも博士の数学の実力は下がったりしない。
しかし、実際に今小学生や中学生であるなら、今の勉強は逃げずにこなさないといけない。
こういう言い方は好きではないが、魂の上級者は、ある程度視点の変化を使って無駄なネガティブ感情や体験を回避したらいい。回避したところで、その学びは終えているので、大して害はない。
しかし、まだまだ様々な体験を受け止めることで、気付きを深めていくべき段階にある者はあまり「物事の良い側面だけを見て不幸回避する」ことを多用しないほうがいい。
もちろん、本当に辛い時もあるだろうから、要所要所では仕方がない。でも時には気合を入れて、目をつむらず解釈の力に逃げ込まず、体当たりで嫌な出来事に向き合うと、よりいっそうあなたの世界は広がり深まる。
チキンラーメンを、お湯で3分でも食べれるけど1分間火でゆでて調理したらいっそう美味しく食べれます、みたいな。時々は、それを試すといい。
スピリチュアルは、「個の視点からの幸せ」にこだわり過ぎて、皆を楽させることばかり言う。はっきり甘やかしている。
それはいわば、臥薪嘗胆の意味がなくなるような行為である。時には思い切って小細工せず、ありのままの問題と向き合え。
そこから新しく見えてくるものもあるだろう。
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