文字通りの『大丈夫』なんて絵に描いた餅


 悟り系スピリチュアルで、「大丈夫」という言葉がよく使われる。

 究極的な気付きの到達点として、この世界観になるという。

 一般的にこの言葉を使う時は、「大丈夫」じゃない状況がある前提での「大丈夫」 を指す。つまり大変な中に、障害や困難もある中にあってそれでも「大丈夫」を獲得できたわけである。

 でも、覚者と言われる人物が「大丈夫」という言葉を口にする時、その意味で言っているのではないことに、どれだけの人が気付けているだろうか?

 あなたにとってたとえ「こんなの、全然大丈夫じゃない!」という状況があったとしてもだ。それはあなたという分離した個の主観、言い換えれば「あなたの都合」という名のエゴが大丈夫じゃないと判断しているだけで、天的視点から見ればそれすらも「大丈夫」だ、という意味で言っているのだ。

 


●つまり悟りと結びつけられて言われる「大丈夫」は、あなたにいいことあるよ、うまくいくよという大丈夫ではないことが分かる。何が起こっても、それは宇宙的必然で、起きるべくして起こった事で、あなたの個人的事情や損得を超えてすべてが大丈夫、という程度の意味である。



 メッセンジャーによってはここをあまり説明せず、放っておく場合もある。(確信犯かどうかは知らない)

 たとえ 「そっか! 私の人生大丈夫なんだ!(最後には報われるんだ)」と誤解されてあとで苦情を言われても後の祭りである。

 はっきり言っておく。もし「大丈夫」の定義を、あなた自身が良いと思える結果に終わることを指すとするなら、そんなこと誰も保証できない。人気を得るため、金を稼ぐためある種のスピリチュアル指導者は「すべてうまくいく」「人生、絶対大丈夫」とかいうことを無責任に言うが、気を付けたほうがいい。



●絶対大丈夫、あるいはそうならないケースや失敗をまったく想定しない心の在り方では、調子に乗っている時には無類の力を発揮するが、万が一のアクシデントが起こった時にかなり弱い。立ち直りに相当の時間とエネルギーを必要とする。

 この相対世界で、そんなうまい話はない、ということをどこかで覚悟している在り方は、調子が上向きの時なら先のケースに勢いでは劣る。しかし、何か問題が起きた時、底力を発揮し元の軌道へ戻るのもスムースなのはこちらである。



 筆者は、今現在の到達点としては皆さんに「大丈夫」とは言えない。

 大丈夫かもしれないし、大丈夫じゃないかもしれない。調子のいい八方美人型スピリチュアル指導者のように、手放しで大丈夫とは保証できないが、次のようには言ってあげられる。

 あなたは、物事を「大丈夫」にできる潜在的力を持っている。あとは、人生シナリオにおいてあなたがその力を使う物語にするかどうかにかかっている。

 当たり前な話になるが、大丈夫かどうかはあなた次第、ということになる。

 起きる現象が大丈夫になるんではなく、表面上大丈夫じゃない状況が起きても、それに対処するあなたの心が『大丈夫になる』という意味の大丈夫なら獲得可能だ。



 マクロスFというアニメの主題歌の歌詞に、互いに傷を舐め合うようなことはあってもライオンは強いのだ、という趣旨の内容がある。

 ライオンが辛い思いをして弱気になるようなことはあっても、やはりライオンという存在であることに変わりない。潜在的に強さを常に持っている。

 一時外界に起きる不都合な出来事のせいで揺らぐことはあっても、そもそもはライオンなのだ、ということ。だから、いつだって立ち直り、逆転できるチャンスをつかめる立場にあるということ。

 自分を取り戻しさえすれば、もともと強いのだから。

 だから筆者は、みなさんにこう告げたい。

 


●何があっても大丈夫、とは言えない。起こることの内容、あなたのその時の受け止める力によっては、大丈夫じゃないかもしれない。

 しかし、これだけは保証できる。

 結果は保証しないけど、大丈夫を生むだけの力は、いつでもあなたにある。

 100%の確実な勝ちはないという残念なお知らせの代わりに、絶対の負け・確実な失敗もまたない、ということをお知らせしよう。

 それが例え、僅かな可能性や望みであったとしても、少しでも可能性がある限りそこに賭けてみないか? 戦ってみないか?

 なぜならあなたは、ライオンなのだから。一時弱っても、傷付いても、あなたがライオンであることはいつだって変わらない。



 人間は、そもそもが二元性世界に「変化」と「物事が自我の思い通りにはなりにくい」ことを確信犯的に味わいに来ている存在なので、ある程度はそれに翻弄されてしまう形にはなる。でも、「ある程度」である。

 人間=ライオン。あなたという魂の『乗り物』には、事態を切り開くだけの力が備わっている。

 この宇宙が壮大なゲームだとしたら? この世界でも、ゲーム制作者は攻略不可能な「無理ゲー」は作らない。盛り上げるために困難は用意するだろうが、やりようがあるゲームにするはず。

 もちろん、それでも失敗することはある。そこは、ゲームである以上プレイヤーが背負うべき「宿命」である。



 筆者にできるのは、「応援」だけである。エールを送ることだけである。絶対大丈夫とか、ウソくさくてとても言えない。

 もちろん、ケースによってはそう言うことも間違いではないよ? それくらい他人から言ってもらったほうが、安心できてやる気になる人もいるだろう。大丈夫と強く言ってもらうことで、結果良かったという話もあるだろう。

 だからそれは、そういうのが向いている人に任せておく。筆者はむしろ、正攻法担当。機嫌をとるどころか身もふたもない話ばかりすることで、自分を気持ちよくさせてくれる言葉を求める輩を振るい落とす。それでも残った、あなたがを弱いと決めつけて「水増し」した喜ばせるメッセージが別に必要でない強さを持つ人こそが、私の顧客である。

 かえって、有り体に言ってもらったほうが気持ちがいい、せいせいするという方は我が友。腐っても鯛、という言葉でもいいのであるが、ちょっと美しくないのでやはりこう言おう。



●大丈夫でも大丈夫じゃなくても、あなたはライオンだということを思いだして。

 ライオンは、強いものなのだ。



 覚者の「大丈夫」を誤解しないように。

 何があっても、悪いこともすべてひっくるめて大丈夫、という高度な意味だから。

 もし、指導者が文字通りの「大丈夫」というニュアンスでメッセージを発信していたら、成功哲学や自己啓発と名乗るならいいが、スピリチュアルとか悟りというカテゴリーで活動するなら「分かっていないヤツ」であると見て間違いない。

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