レインボーブリッジ、封鎖できません!

 懐かしの名作人気刑事ドラマ『踊る大捜査線』。

 織田裕二演じる青島刑事の名ゼリフ。皆さんも覚えておいでのことだろう。



●事件は会議室で起きてるんじゃない!

 現場で起きてるんだ!!



 スピリチュアルにおいても、問題提起となる面白い言葉である。

 心理学だけでなくスピリチュアルの分野でも、「潜在意識」と「顕在意識」という言葉を使うことがある。

 自我(エゴ。個としての自分 )の自覚する認識領域が顕在意識で、魂としてのもっと広い領域・エゴという視点では見渡しきれない残りの心象風景領域が潜在意識というわけだ。

 筆者は、潜在意識と顕在意識という白黒みたいなはっきりした分類は好きではないのだが、今回はあえてその考え方を前提にメッセージを組み立ててみる。



 さて、我々は現実問題として、目の前の「せい」を生きている。

 リアルな生活があり、仕事がある。子どもなら、学校生活がある。これにガチで取り組むこと。これが「現場」である。

 青島を始め、所轄の刑事たちは日々、生々しく人々の日常や事件に触れている。一方、警察官僚はゴージャスな円卓会議室で、安全圏から指示を出す。

 もちろん、どちらがいい悪いということではない。いわば「役割」なのである。どちらも必要なのだ。

 現場のほうが分かっているとか、トップが現場を分かってない、という一刀両断した話ではない。青島刑事も、劇中こういう名言を残しているではないか。



●リーダーが優秀なら、組織も悪くない。



 だから、上から指示を出す人間自体は要るのだ。そういうセクションは必要なのだ。ただ、問題はその「質」である。

 そのトップが、どんな指示を出すのか。それによっては、現場が「吠える」必要のあることもある。青島刑事が「事件は現場で起こっているんだ!」と喝を入れたように。



 スピリチュアルや心理学に傾倒しすぎると、やたら「潜在意識」を大事にする。

 もちろん、それが大事でないなどとは言わない。そういうアプローチは有効だし、現実とのバランス感覚をもって扱うなら、それはあなたに益に働くだろう。

 でも、筆者の目から見て、そのバランスが偏ったようなのがいる。

 よい機械でも、扱う人間のコンディションが悪かったり、扱い方が悪かったりしたら、いい結果にならないこともある。正しい数学の公式でも、あなたが間違った計算をしたら公式を使った意味がない。だから——



●潜在意識どうの、という教えやメソッドに手を出す前にやることがあるでしょ?



 食事の前には、手を洗いましょう。明日習字の時間があるなら、習字セットと墨汁を忘れてはいけない。

 だから、潜在意識をどうこうしよう(会議室)の前に、わきまえることあるでしょ? 事件(実際の人生)は現場(目の前のこと)で起こってるんだ! ということが。

 意識がすべてを生みだす、とか潜在意識のアプローチによって何でもできないことはない! と豪語するタイプの人なら、私の言葉に突っ込みたくなるだろうと思う。 彼らの言い分によると、潜在意識がすべての鍵なんだから。現実をどうこうしようとするよりも、それを生みだしている大元(潜在意識)を変えることだけが有効な手段ではないのか? と。

 だからそういうタイプの人は、顕在意識よりも潜在意識を大事にする。

 ちょっと荒っぽい言い方をすると「顕在意識の方が潜在意識より格下」だと思っている。程度が低いと思っている。本質的ではないと思っている。

 自我(エゴ)が今自覚している認識以上に、今顕在意識では自覚し得ない奥底の意識の方が大事だと思っている。そういう視点が、実はひとつの罠なのだ。



 気持ちは、分からないでもない。私も、初期のメッセージの中で意識がすべてだと言ってきた経緯がある。

 でもそれは、先日私が宣言したとおり。ちょっと「根源論」を言い過ぎた。間違っちゃないが、あまり「実際の役には立たない」。

 いくら意識がすべてだって言ったって、今やることはやっちゃわないといけない。子どもの弁当は作らないといけない。時間には、会社に向かわないといけない。

 試験は、受けなきゃいけない。今転びかけてたら、一瞬で地面に手を突かないといけない。

 子どもが道路に飛び出して車にひかれそうなら、意識どうのを考えているヒマはない。今すぐ飛び出して、かばわないといけないでしょう。



 要は「バランス感覚」なのだ。

 絶対こうだ、とかこれしかない、なんてことはこの世界にはない。

 いくら人気のある、有効な心理学アプローチでも、どんなに人気を博しているすごい覚醒者の言っていることでも、絶対に誰にとってもいいということはない。どんな真理でも、ケースバイケースの良し悪しでしかない。

 そこの自覚なしに、良かれと思ってポンポン刺激的なことを言うスピリチュアル指導者は多い。(え、まさか私も? 笑)

 だから私は、相手を見て言うことを変える。私が「事件は会議室で起こっているんじゃない!現場で起こっているんだ!」 ということを言いたいのは、次のような人種である。



●目に見えない世界を大事にしすぎて、地に足が着いていない人。

 天と地とのバランス感覚が、「天」のほうに偏っている人。



 もうちょっと、今の自分の気持ちや判断を大切にしようよ。

 潜在意識を意識しすぎて(意識できないからこその潜在意識なのに、それを意識しようって笑える)、目の前がおろそかになっていませんか?

 有名な「奇跡のコース」というスピリチュアルをやる人への皮肉で、こういう笑い話がある。



●あなたがもし道でケガをして倒れ、助けを求めるなら、奇跡のコースの学習者に助けを求めないほうがいい。

 なぜなら彼らは、「なぜ私は今怪我人を見ているのだろう? このような現実が生じるということは、一体私の意識の中の何が、こういう状況を生んで見させているのだろう?」と、興味がまず自身の内面へ向かい、その疑問への検証をはじめてしまうからだ。だから、一般人の方がすぐに助けてくれる。

 こんな時、ケガ人を目撃することになった人の「意識」なんてどうでもいいさね!



「意識」を無敵最強の武器として、この扱い方次第で不可能はないと思ってるタイプのスピリチュアル実践者には、とくにきつく言っておきたい。意識中心主義になるな、と。

 もっと反射的な動き(心の動きも含め)を大事にしたほうが、「意識、意識!」とヘンに「意識的」であるよりも、うまくいく場合が多いよ。

 スピリチュアル実践者の「意識的であれ」という言葉は、一般向けにはあまり価値がない。それはかなり上級者コースで、自然にできるには一定の魂の旅路がいる。

 それをなくして「意識的であろう!」とやっても、逆に単なる義務や形だけの習慣程度のことで終わってしまう。下手をすれば、意識的であらねば! という『強迫観念』や『執着』にもなりかねない。

 逆に、筆者はこう言いたくなる場合もある。



●現場現場言うな!

 そら現場も大事やけどな、会議室あってのことでもあるんやぞ?

 そっちへのリスペクトも持ってもええんとちゃう?



 これは、最初のケースと逆である。

 目の前のこと、現実のことを大事にする。いや、しすぎる。さっきとは逆で、潜在意識とか魂とか、そういう目に見えない世界はどうでもいいパターン。

 やはり、そういうものもあるんだよ。

 時々、建前とホンネが違う人がいる。それを自覚して、あえてやっているようなのが詐欺師である。確信犯である。

 でも、ほとんどの罪なき人は——



●無自覚で、つまり表層意識では本気でウソを言っている。



 私が個人セッションをしたり悩み相談にのってあげるとよくあるんだ、これ。

「いや筆者さん、私は本気でこれやめたいと思っているんです!」

 私が、本当はやめたくないんでしょ、あなたにとって利益があるからでしょと言っても、「まぁ失礼な! そのご指摘は的外れです」というのがその人の思いである。

 その方は、無意識のすり替えによって「本気でやめたいと思っている」と思えるように操作されているのである。無意識(潜在意識)は、この辺の工作や偽装に関しては超一流の腕前を持っている。

 これにコロッと騙されている人は多い。(もちろんいい悪いではない)

 


 筆者は現場(この空間で行動していくこと)をおろそかにする人には、「事件は現場で起こっているんだ!」と言う。逆に会議室(潜在意識)や自覚しにくい魂の領域をおろそかにする人には、現場も大事だけど、会議室があってのあなたなんですよ! そっちも大事にしませんか? というアドバイスをする。

 この両方を並べてみた時に、どうしても「矛盾」と感じてしまう人がいる。

 重要なのは「誰に向かって発信するか」であって、誰でもかれでも満足させるメッセージなど語れないというのに! でもそこに文句を言ってくるワカッテナイ人は多いので、止めることはできない。



●レインボーブリッジ、封鎖できません~!



 まぁ、不特定多数に向かって発信するということは、そういう批判も覚悟の上。

 的外れな批判の封鎖なんて、おおやけで活動する以上ムシのよすぎる話。

 うまく付き合っていきまっしょい!(筆者はほぼガン無視ですけど)

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