24人のビリー・ミリガン
だいぶ前のことになるが、ダニエル・キイス著の『24人のビリー・ミリガン』という本が話題になったことがあった。この書のおかげで、「多重人格」というものが世間一般に広く知られるようになった。
常識的に、普通一人の人間の体にひとつの人格であるが、「一人の体に中にいくつもの人格が存在する」というケースがある、という。
驚くことに、男性の体であっても女性人格が生じることも(またその逆も) ある。別人格が他国出身であったり、他言語をしゃべる場合まである。
今日話題にしたいのは、多重人格(解離性同一性障害)のことそのものではない。
あるスピリチュアル的な内容を語る上で、その話題が例えとして使いやすいからである。なので、これ以上多重人格についてのうんちくをここで述べることはしない。
Aという人格が表に出て、行動をしているとする。
そして、ある時人格交代が起きて、今度はAが引っ込みBという人格が出てくる。
Bには、Aが何をしたかという記憶がない。
ゆえに、前の人格が悪さをしていた場合、交代した人格がそのとばっちりを受けることになる。例えば、前人格が犯罪を犯していて、人格交代した時に警察に追われ、つかまる。そこで「何でオレが捕まらないといけない?」となってしまう。
また、前人格が泥棒をしてお金を不正に得ていたとする。で、人格交代が起こって自分が大金を持っていることに気付き、「何だか分からないけど、ラッキー」ということになる。犯罪の記憶がないので、罪悪感はないわけだ。
私たち人間は、ある意味で例外なく全員「多重人格」である。
だって、あなたの正体は、本来「神」であり、要するに「すべて」なのだ。
すべてなのに、その中の一部にフォーカスして、いち人間キャラとして振る舞っている。だから、我々一人ひとりは多重人格の中の一人格のようなものだ。
自分という存在が「意識的」である時間しか知らず、それがすべてだと思っている。だから、自分の人生はその「自分」が作り上げていると思っている。
そうではない。
あなたの魂は、広大なのだ。(三次元的には広大、と言えるが無限と言った方がいいかもしれない)あなたの自我が「これは自分」と捉えている部分の外側にも、あなたに属する要素がさらに広がっているのだ。そこの部分があなたの人生に影響してくるので、あなたが「望まないこと」「引き寄せた覚えがないもの」であなたの人生が埋め尽くされることになる。
人生がままならないのは、そのためである。
純粋な自分自我だけが自分をコントロールしているだけというのが本当だったら、もっと目に見える現象はシンプルだろう。でも、ゲームとして見た時、まったく面白くない。
実際には、表立っているあなたが認識している自分の人格部分(性格や趣味、選択の傾向など)だけが人生を動かしているのではなく、「すべて」が動かしている。
それを、ワンネスという概念(エヴァンゲリオンというアニメの『人類補完計画』の最終段階)で言ったりする。究極には、ひとつの意識しか宇宙には存在しないのだから。
だから、分離という幻想をマジで生きている我々の魂は、別個のもののようで実はネットのようにすべてつながっている。アクセス可であり、常に何かしらの情報が全人類の間を行き来している。
先日、100%自分原因説の勘違いを書いた。
今日の内容も、それに通じる。
あなたという存在が「もともと神であり、宇宙のすべて」であるという観点からは、100%自分原因説は正しい。でも、あなたが現実問題として認識可能な範囲、つまり「田中さん」「山田さん」としての枠で考える「100%自分原因説」には意味がない、ということである。
別人格がしでかしたことに記憶も責任もないように、あなたの人生で起こること(特にあなたの自我がまったく望んでもいないこと)に関して、あなたの責任はどこにもない。
一部スピリチュアルや心理学が、「あなたの自我が望んでいなかったかもしれないけど、あなたの中のどこかは望んでいたんだ。それを望むあなたの部分が(深層意識に)あったんだ」 と説明する。
それは確かに、ある面の真実を言い当ててはいるが、的を外している。
自我とは違う部分(分かりやすくは深層意識、潜在意識)も、その人の人格の範疇にあると考えている部分だ。その人に属するから、その人の努力で変えようがあると考える。だから、スピリチュアルな感度の高い人物たちが他者からお金を取って様々な「解放」のためのセッション(カウンセリング)をする。
やる方もやられる方も、楽しかったらやったらいい。私は止めない。でも、苦しいんだったら、無理することはない。
なぜって? ムダだから。
楽しいなら、そのムダにも意味がある。楽しいことは、何よりも大事だから。でも、そうでないなら「ムダ」には何の価値もない。
●私は、潜在意識というものがあるとしても、それはあなたの「内側」にあるのではなく、あなたが認識している自分という狭い枠の「外側」に無限に広がっていると考える。
深層意識に挑むことで心の闇や、自分のコントロール不可な領域に挑戦するのは悪いことではない。好きか嫌いか、楽しいか楽しくないかだから。
ただし、それ以上の意味はないと知りなさい。
やる 「べき」 はない。ましてや、「やらないと幸せは来ない」ことはない。
確かに、雑草だらけの土地で雑草が生えないようにするには、根っこから皆抜くしかない。でも、それは大変な労力である。長い時間がかかる上に、その時間は決してワクワクするような楽しいものではなく、忍耐や苦痛という言葉で言った方がいいような時間だ。
なぜそんなにしてまで人は自分の無意識の部分を何とかしようとするかといえば、その忍耐の代価として「幸せ」や「解放」があると考えるからである。でなきゃ、バカバカしくてやってられない。
でも残念なことに、この世界はゲームである。努力をしたからといって、等しく良い結果が手に入るという保証はどこにもない。長い時間を懸けて「失敗」に終わることだってあるのだ。
多くの人は、そういう「ワクワクしない、勝率の悪いギャンブル」にハマっている。まるで人気賭博漫画の主人公「カイジ」 のようだ。
雑草だらけの土地から雑草をとる、という視点から逃げられなければ、雑草を全部抜き切らねばならない、という義務感からも逃げられないだろう。
実は、話は簡単なのだ。
●その土地を捨てればいいのだ。
引っ越ししてしまえばいいのだ。
誰が、その土地に居続けて雑草を抜かねばならぬ、と決めた?
あなたの正体は「すべて」なんだから、克服しようが忘れ去ろうが、それが根本から消え去ることはない。
だから、問題へのアプローチという根本を変えるべきである。つまり問題に取り組む前に問題への見方を変えるか、事情に関してスポットライトを当てる場所自体を変えればいいのだ。
もっと楽で、今という時間を楽しめる部分に光を当てればいいのだ。でないと「今」に失礼である。
苦しみを乗り越えることで何かを得られる、素敵になれるという発想は捨てよう。
だから、あなたは思い通りにいかない人生を、自分のせいだと考えるのはやめなさい。
自分の選択が悪かった。気持ちの持ちよう、意識の在りようが悪かった。もっとちゃんとできた——。
それらの考えの一切を、ゴミ箱に捨てなさい。
●あなたは、そうなるしかなかった。
それは、あなたの自我の決断とはかけ離れている。
あなたの自覚領域の外に無限に広がる者達も、一枚噛んでいる。
国会で言えば、あなたはひとりの議員に過ぎない。
多数決では、負けるケースがある。あなたは、おそらくその顔、その容姿で生まれてこようとは思わなかったはず。その親のものとに、その経済状況や家庭事情のもとに生まれてこようとは思わなかったはず。
そして今も、人生で起こってくることが読み通りに、期待通りになんて全然いっていないはず。
あなたは、「多重人格」であることを忘れてはいけない。あなたが自覚しない部分が動かしたことで、気に病まなくていい。
あなたが自分を責めたくなった時、自分の愚かさ加減を呪いたくなった時。
こう言ってみよう。
●関係なぁ~いね~!
そう。起こってることのすべては、究極的にはあなたには関係がない。
我々は、映画館で映画を見ている観客のようなものだ。
映画は、あなたの思い通りにストーリーが変化したりしない。映画とはある意味、二時間程度の『究極の押しつけ』とも言える。
でも、ほとんどの皆さんはたいていおとなしく見る。時々、あまりにも映画が面白くなくて席を立つ人もいるだろう。それが自殺である。
自殺する選択肢を取らないで頑張るなら、その映画を見ることになってしまった者にできる唯一の事は、開き直って楽しむことである。
同じ、見続けなければならないのなら、「くだらない」と言って
そのための視点を与えることが、スピリチュアルの存在意義である。
なのにそのスピリチュアルが、クライアントの中に「問題あり」とし、それと苦しんででも向き合うように頑張らせてどうする?「辛いかもしれないけど、それを乗り越えた時に幸せが待っているのよ!」なんてやってたらおかしい。
今辛いことは、やめるのが吉である。だって、今しかないんだから。
100%自分原因説は、正しくは「神としての、プレイヤー意識100%自分原因説」 と言い換えないと、誤解が生じる。
全部自分のせい、と頑張る人が後を絶たないから。楽しいならいいが、疲弊する人が多かろうから、老婆心ながら提案するのだ。
●『結構な部分が自分原因じゃない説』
これでいいのではないか。
潜在意識など、挑んで何とかしようとするもんじゃない。
深く考えず、いつでも自分を大事にして楽しくしていたら、いつの間にか勝手に「一番いいようになっている」ものなのである。
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