スピリチュアルは時として迷惑

 スピリチュアルというジャンルで発信している私が言うのも、ヘンだが。

 こんなもの、あえてなくてもいいよな、と思うことがある。

 もちろん、まったく必要ないとは言わない。現に苦しみの中にある者や、悩める者の心を癒すことができる。

 でも、本来人を癒すはずのスピリチュアルの教えが、かえってそれを知る人を苦しめる場合がある。

 なまじスピリチュアルの知識をかじって、そんならあれはどーなんだ、これはどーなんだ、と。思考のこんがらがりを、私にぶつけてこられる方もいる。そういうのを見るにつけ、本末転倒だな、と思う。

 人を幸せするはずのスピリチュアルで、逆に疑問が増えたりなんかして!

 これがよく分からない。納得できない。腑に落とせない——。

 そういう方はスピリチュアルをされていても、あまり楽しくなさそうに見える。



 苦しむくらいなら、スピリチュアルなんてやめなさい。

 やっているあなたが大事なことを知っていて、知らない世間の人は分かっていない、なんて傲慢です。

 スピリチュアルで言われている知識それ自体に、そんなたいそうな価値はありません。あなたが日々の人間ゲームを、より楽しめていることのほうが価値があります。

 楽しいか、楽しくないか。明らかに自分の生活に潤いを与えてくれているか、逆に疑問がうずまいたり「~ねばならない」の思いにとらわれていないか?

 物事の選択の基準は、それだけでいいのです。

 好むと好まざるとにかかわらず、これはいいことだから(正しいから)頑張るべき、なんていう旧態依然の価値観からは、脱却したほうがいいです。



 ひとりひとりが宇宙の主人公(王)なら、他人はいないのなら、何をしてもいいということになるのか? そんな質問をいただいた。

 私たちは、この世界でいわゆる『ゲーム』をやっている。ゲームであるからには、そこに一定のルールがある。キャラの操作法。勝利条件。こうなったらゲームオーバーだとか、こうなったら高得点だとか、ボーナスステージへ行けるとか。

 いざゲームが始まって、あなたは適当で無茶苦茶な操作をしますか? そんなことをしたら、すぐにゲームオーバーです!

 やはり、勝利条件を目指して、丁寧にプレイするでしょ? ゲームプレイヤーは、ゲームのルールを無視してプレイすることはできません。

 現実に当てはめると、殺人・窃盗・性犯罪を犯したら(かなりの確率で)警察につかまります。高いビルから飛び降りたら、死にます。


 

●例えゲームであっても、その世界の住人にはリアルなのだ。

 そこにおいて、真摯に生きるべきなのだ。 



 宇宙の主人公(王)という言葉が、何でも好き勝手やっていいオレ様、みたいな印象を抱かせるのかな? そこはちょっと、誤解がある。

 神意識は、完全。思い通りにならないことがない。

 だからこそ、思い通りにならいことを味わってみたくなった。だから私たちは、なかなか自分の思い通りにならない世界を、神意識の要請で生きているのだ。

 でも、なかなか思い通りにならないからこそ、自分の願いが叶ったり、夢が実現できた時には際立って感動を味わえる。

 この世界は、陰陽の二極性の世界。正反対のものがあるから、価値判断ができる。短いに対して長い。熱いに対して冷たい。苦しみに対して楽——

 もし、この世界に喜びや幸せしかなければ、それを味わえない。なぜなら、幸せだと自覚するためには、それと対比できる不幸がないと認識のしようがないから。



 神意識は、宇宙の王としてあえて「全能でないさま」「個々の思惑通りにいかない世界」を味わいに来た。

「不自由になりたぁ~い!縛られた~い!」(Mか!?)と身をくねらせて、わざわざこの世界を創った。

 最初の質問「宇宙の主人公(王)は、何をしてもいいということにならないか?」 という質問への答えは、次の通り。

 宇宙の主人公として、あえて自分の思い通りにいかない世界を望んだ。宇宙の主人公と言えども、無茶苦茶をしたら犯罪者として捕まる世界を創った。ゲームなのだから、そこに一定のルールがあるのは当然。こうプレイしたらうまくいくよ~という攻略法もある。でもゲームでしかないから、どんなプレイをしようが、ゲームオーバーになろうが、究極には問題ない。同価値である。



 今の質問の例でも分かるように、スピリチュアルを学ぶことはいいことばかりではない。皆、聞いたスピリチュアル知識をその人なりのベタな現実的論法で勝手に発展させようとする。ちょっとましな方は、「ひょっとして勝手にこう解釈するのはマズいんじゃ?」と気付くので、「質問ですが、~と考えていいのでしょうか?」と確認に来る。

 ひどい人は、確認にも来ない。自分の解釈そのままでその後も日々を過ごす。

 中には、恥ずかしいのか何か知らないが聞きに来れない方もいて「う~ん、分からん!」と、悶々とした日々を過ごしてしまうことも。

 腑に落ちず気持ち悪い、代表的なスピリチュアルの教えの例を挙げてみよう。



①私たちの正体は、神意識。

②他人はいない。究極的にはワンネス。

③私が外に見るものは、すべて私の内側の意識の投影。(自分原因説。ただしこれは究極の話で、そんなことは現実世界で知っても意味がないうえ、すべてを自分のせいにするのでメンタルの弱い方には害でしかない概念である)

④私が今認識していないものは、存在しない。(私のうしろに今何もない。振り返ったとたん創造される)



 言ってしまっていいでしょうか。



●こんなん、腑に落とさんでよろしい!



 もちろん、誰にとっても、ということではない。そういうことを、喜びにできる方はいい。逆に、苦しみが増すような人は、はっきり言うが「向いていない」 。

 スピリチュアルは、誰もが知るべき真理なんかではないですよ! だから、向き不向きの世界で語れるのである。

 苦しむ人の心には、たぶん「これは腑に落とすべき!」という義務感や使命感のようなものがあると思う。苦しいのに追及する理由は、それしか考えられない。

 楽しいことを考えてください。今というこの大事な瞬間を、本当に好きな人たちと、生きてください。心から安らげることをしてください。

 


 私たちが楽しく快適にこの世界ゲームをする上で、上記の4つの考え方は必要ない。いや、人によっては、知ったがゆえにかえって生きづらくなる場合がある。

 私たちの正体は、神意識?

 そんなもん、分からないでいい。聞いてうれしいかもしれないが、実感はというと「はぁ……」という感じなはず。

 私は賢者テラ。あなたは佐藤、鈴木。これでいいじゃん!

 他人はいない? いるじゃん!ホラ、目の前に!

 自分原因説? こんな良くない状況を見るのは、私の内面にそういう問題があるから投影したの? でも、そんなことが分かったからといって、ああこうねと明確にやることが分かる人はほとんどいない。

 なぜなら、皆さんが自分の意識だと思っている部分は、あなたが自覚する範囲(顕在意識)がカバーする範囲をはるかに越えて広く高く、これまでの命の連鎖の歴史が見たもの、感じたもののデータまで秘蔵しているのだから。(ただしほとんどの人はノーマルプレイモードなので、それを現実ゲーム中に引き出せない)

 だから、その広大なデータ範囲におけるトータルでの意思決定が、あなたの自覚する矮小な自我の望んでいることと一致しない場合に、「こんなこと願ってないのに、これも自分が生み出しているというのか?」という疑問になるわけだ。

 たいていは、「自分が原因だって分かったからって、どうしろっていうの?」という意見だろう。具体的に、どうしようもない。

 それよりも、自分原因説を知らないで生きている方が、幸せな場合も多いと思う。

 だって、心の負担が段違いだもの。まさに『知らぬが仏』というケースである。


 

●正しいからといって、人を救わない真理もある。



 自分原因説などが、その代表選手だといえる。 

 神意識の意図としては、私たちにこの三次元ゲームをしておいてほしいのである。

 その観点からいうと、上記4つを腑に落とすということは、目的に逆行しかねない。『腑に落とさない』ほうがいいくらいである。

 ましてや、宇宙のからくりが分かって覚醒なんて、とんでもない! 覚醒した側の私があえて言うが、皆さんがあこがれるほどいいもんじゃないっすよ!

(これに関しては、覚醒者間で意見の相違もあろう)

 この世界で、目の前の現実に取り組み、真摯に生きる。

 これこそ、最高の生き方。

 だから、人生そこそこうまくいっている人に、スピリチュアルはいらない。

 でも、このゲーム世界において、ゲームがうまくできない人が出てくる。ゲームに行き詰ったり、苦しむ人が出てくる。そういう人たちのためには、スピリチュアルは良いものである。

 覚せい剤みたいなものかな。

 あれは、もともとは医学的にある症状下にある人を助けるために作られた。なのに、そんな症状に関係のない人が、まったく違う目的のために使いだした。(ハイになる、という)

 だから、スピリチュアル的知識を考えつめることで、喜びにならん人がいるなら。次から次へと「これがこうなら、あれはどうなんですか?」という疑問が湧いてきて止まらないなら。

 お薬の使用法と分量を誤っていますよ。



 スピリチュアル的知識にそれほどの価値はない?

 かえって、知らないほうがいいこともあるくらい?

 じゃあ、筆者さんはなぜこのような発信をしておられるのですか?

 答えは簡単。

 


『言いたいことを、好きなように言っているだけ。』

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