Q&Aのコーナー第四十回 「筆者さんが覚醒した経緯を教えてください」


 本書の読者の皆さんからの質問で——



『筆者さんが覚醒した経緯を教えてください』



 という内容が、複数件あった。

 中には謙虚に「そういうものは人によっていろいろでしょうし……」「もしかしたら筆者さんに『そんなことを聞いてどうするんですか?』と切り返されそうで怖いのですが……」と申し添えられる方もいる。

 でも、それでも「やっぱり、聞きたいんですぅ!」ということなので、今回は私の 『覚醒体験』について語ってみようと思う。

 とその前に、読者さんがどのような質問を実際にしてこられたか、二つ紹介しよう。その後で、解答編に行こう。

 必ず、皆さんの満足いく答えをしてみせる!



 ●じっちゃんの名に懸けて!



 ……今の冗談の意味が分からなかった人、ゴメンナサイ(完全に趣味です)。

 でも、あえて解説をしないのが、私のイイ所です。(?)



 Q①


 悟るとは夢から覚めたようだと聞きますが、人は悟るとすべてを思い出すのでしょうか? 過去生での記憶などを思い出すのでしょうか?

 そのような疑問も悟った時点で消えると聞きますが、私は悟っていないのでとても興味があります。どうぞお返事よろしくお願いいたします。


 Q②


 筆者さんが、ラスボスとの闘い(?)を終え、自らの心の声が聞こえてきて宇宙の主人公の立場を取り戻した経緯というか変遷を、少し詳しく伺いたいのです。

 それはある日突然起こるのでしょうか。それとも徐々に、何週間あるいは何ヵ月もかかって起こるのでしょうか?

 またそれは、どのようなかたちでやってきますか?

 人との関わりの中で気付くのでしょうか。それとも自分との対話のなかで起こるのでしょうか。あるいはどこからかメッセージが届く感じなのでしょうか。

 いろんなセミナーに参加されて学び求めていた頃と、今とではどう違いますか?



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 はっきり言いまして、これぞ覚醒への道! という絶対に決まったものはない。

 状態そのものに関しては、確かにこういうものよという共通項は語れますが、そこに至るまでの経緯たるや、実に『色々』であるわけです。

 山の頂上に着くまでのルートは色々あるのと同じ。

 だから、筆者や他の覚醒者の手記なり自叙伝を読んでも、物語として楽しめはしますが、まったく同じことをして同じようになるという錯覚は持たないでください。

 この方法が覚醒に近くて、これ以外は効率が悪い……とか、ない。

 ただひとつ、限界ある『言葉』というツールで覚醒へのヒントをあえて語るならば、だいたい次のようなキーワードが挙がってくる。


 

 追い求めない

 手放す

 何もしない

 すべてが中立であると腑に落とす

 今という瞬間しかないこと(厳密にはその「今」すらもない)

 宇宙にはひとつのものしかない(2や3がある上での1ではない)

 私と他との間に境界線はない



 こういった単語を、挙げることができるだろう。

 では、いよいよ私が覚えている限りのことを、言語化して書いてみよう。

 実は、過去に私は、自分の覚醒体験を短編小説に書いている。

 お時間のある方で未読の方は、カクヨムの中にアップしてある作品をを読んでいただきたい。主人公は女性でしかも風俗嬢、とかなりアレンジしたものになっている。



●人形のココロ(短編小説・4,547文字)


https://kakuyomu.jp/works/1177354054890343134



 この作品に出てくる主人公の風俗嬢が体験したことは、私の体験をちょっと脚色して書いたものである。

 ある朝、私は目覚めた。

 目覚めた……のだが。

 目覚めた、と自覚しているはずの自分が、分からない。

 普通、目覚めたと分かるには、目覚めたと感じる自分という確固たる存在の自覚がなければならない。でも、この時それがなかった。

 どこを探しても、自覚している自分が見当たらなかった。

 自分が何という名前で、男性で、●歳で、大阪に住んでいて、仕事は……

 そういうことが、一切思い出せない。

「~ここはどこ? 私は誰?」

 これの、もっと強烈なバージョンだと考えてほしい。

 記憶喪失、などというレベルではない。もっと言えば——



●この時の自分の状態は言葉に再現できない。

 でも、あえて言うなら自他の区別がなかった。

 自分と他の物、何かの対象物というものがない世界だった。

 渾然一体。一(いち)しかない。

 混沌、と言ってもいいだろうか。



※筆者考察

 自他の区別がない体験なのに、なぜ「私」というレベルの自我があとでそれを「体験」として覚えているのか? そこの論理的矛盾が気になる方もあろう。

 おそらくは、それが「夢」のようなものだからであろう。夢の中では、当然自他が理解できないので何も記憶しない。しかし、それを「夢」というものとして成立させ別の「私という自我」が見た時に、主体である私が見る「対象物」に変換してワンネスの残滓くらいは味わえたのだと思う。今の文章を読んでも分からない方は、これ以上の解説はあきらめてほしい。

 


 ですから、この時間 (この次元の時間にしたら30分ほどだったような)は、めっちゃヘンな感覚だった。陸で息をする生き物が、水中にほりこまれた感じだろうか。水中で生きるのが当たり前の魚なら、それが自然なのだろうが、陸の生き物には苦しい。

 例えれば、そういうことだ。三次元ゲームキャラが、一元性を垣間見ちゃった感じ。そりゃ、感覚的に慣れませんわな。びっくりしますわな。

 ドカーンと細胞が沸騰するような、凝縮したエネルギーの拡散みたいな現象があって。その後は、それがだんだんおさまって、静かになっていった。

 徐々に、落ち着いた状態になって——

 ああ、自分の名前は~だ。(賢者テラは芸名ね)

 寝ているのは自分の家の、自分の部屋だ。

 お、自分には肉体、ってものがあったっけ。

 あ、部屋の向こうには父さんと母さんがいる。

 何だそれ? ああ、「他人」というやつか……(親は血縁上他人じゃないけどね)


 

 およそ一時間後には、正気(?)を取り戻した自分になっていた。

 それからというもの。

 私の「ものの見方」が、劇的に変わった。

 そして、それ以後に学んだスピリチュアルの内容が、よく入ってくるようになった。逆にニセモノというか、おかしなスピリチュアルも見抜けるようになった。

 その体験以前に学んで腑に落とせていたレベルとは、段違いの感じがあった。

 では、質問者の質問に、ひとつひとつ答えを当てはめていこう。



①悟るとは夢から覚めたようだと聞きますが、人は悟るとすべてを思い出すのでしょうか?過去生での記憶などを思い出すのでしょうか?



 → いいえ。自分が「神意識」であり、すべてはひとつだと自覚するだけです。(少なくとも私の場合ですが)すべてを思い出す、ということは実は重要ではありません。(思い出す、ということは単なるデータですよね? そこに価値なんて置けませんよ、神意識が分かれば)

 過去生まで思い出すかどうかは、個人差があると思います。思い出したから本物、思い出さないからニセモノという判断は、くだらないと思います。どうでもいい領域の話です。



②それはある日突然起こるのでしょうか。


 → はい、本当に突然です。前触れも何もありません。いつ来るかも読めません。コントロール不可。



③徐々に、何週間、あるいは何ヵ月もかかって起こるのでしょうか?



 → 時間性、という流れの中で生きている私たちの感覚で言えば、劇的な現象は一瞬です。しかし、それで終わりということではなく、その後する色々な体験を通しても、それをパズルのピースが所定の場所に収まるように整理できるため、後追いで納得する(ように見える)部分もあります。



③人との関わりの中で気付くのでしょうか。それとも自分との対話のなかで起こるのでしょうか。あるいはどこからかメッセージが届く感じなのでしょうか。



 → 全部、違います。想像している限り、言い当てられません。どんな「感じ」とも違います。



④いろんなセミナーに参加されて学び求めていた頃と、今とではどう違いますか?



 → 何か外部に真理があってそれを教えてもらう、という感覚や、外部に自分より優れた、偉大な魂の持ち主がいて、その人に教えを乞う必要がある、という感覚が吹っ飛びました。

 自分こそすべてであった。誰にも聞く必要なんてなかった。

 私が、神(神意識)であった、という限りない平安。

 だから、他の有名な聖者や覚醒者を人間的な意味での目上の人、とは見ていません。彼らと私は対等であり、喜びとワクワクを求めていく旅の仲間であり、同志だと思っています。もっと言えば、みなある意味で「自分」だと思っています。



 以上、参考になっただろうか。

 あくまでも、『参考』としてお読みください。

 あなたには、あなたの映画がある。あなたの演じる役がある。

 それを、お楽しみいただきたい。

 くれぐれも、「覚醒しないといけない」「覚醒するのが良いことだから、頑張って求める」というドツボにはまることのないように。

 まぁ、それだってゲームの一環なんだから、いいんだけどね。

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