ツイッターも利用されている作者さん。
執筆の様子も、たまにつぶやかれておられます。
この作品の前準備も公開されていたのですが――。
「まず、地図を描きます」
え、地図?
それがまた、超本格派なんですよ。
山脈に平原、海流に国境、街道を設定して、名前を決めて……。
そこまでやってまだ物足りないと、伝承や文化背景まで綿密に練られていました。
これはまさしくファンタジー、それもオーソドックスな“こことは違う世界”を見せてくれるやつです。
残念ながら短編のため、その全ては明らかにされていません。
まずは健気な少女パムと、愛らしいペコの活躍を見守りましょう。
わかりやすい世界観ながら、「守巫屋」に代表されるオリジナルな設定が面白いです。
同じ世界を舞台に、長編作の予定もあるとか。
これは期待!
子供の願いと親が子供のためにと為すことは、しばしば食い違うものです。
どちらが悪い訳ではなくとも胸は痛むもの。
それが一心に父の背を追いかけてきた少女の夢を否定するようなことなら尚更。
父の営む守巫屋(かみふや)を継ぎたいパム。そのために火属性の守護精霊を得たかったのですが……。
物語を紡ぐ前にじっくり世界を構築する作者様。
「まずは地図を書きます」の名台詞に慄いたのは私だけでしょうか? その地図がまた半端なものではないのですよ。
そんな作者様ですから、一万文字の短編にも手は抜きません。
地図を書き、世界を練り上げて紡いだ素敵な物語。
是非ご堪能くださいませ。
カクヨムのコンテストで異世界ファンタジーというジャンルは、圧倒的な人気を誇っている。作品数も多く、読者も多い。
けれど、こと短編コンテストに限ると事情が変わる。早くも2500に届こうかという応募作品の中で、短編の異世界ジャンルはまだ321作品しかない(この作品が完結した時点での数字)
その中でもオリジナルな世界観とそこに住む多くの住人達を想像できるような、異世界ファンタジーの醍醐味ともいえる世界を構築した本格的な物語は、そんなに多くはない。
この作品はその稀有な物語のひとつだ。
たった1万文字の中に描かれた広大な世界の一端。
ここではないどこか遠くの異世界だけれど、確かにそこに生きて生活している人たち。
たった1万文字のために、ひとつ世界を作っちゃったよ。この作者様。
もったいなさすぎる!
長編を書かなかったら怒るからね!