第33話 その三十三
悔しくて泣いていた。
なんで自分の体を動かせないんだろうか。
思いどおりにいかないのが腹が立った。
大切なひとを守れなかった。
自分が無力なのが許せなかった。
失いたくなかった。
あの人を守るためにいるのに、あの人のためなら命は惜しくなかった。
ちくしょう、ちくしょう、ちくしょおおおおおお……
無氣力だった心がまた燃え上がったのを従者は自分で氣づいていない。
レンを椅子から床へ転げ落として、顔を舐めてやっても起きる氣配はない。
ライオンは融合を試みた。
獣人は立ち上がり頭をふった。
毒は体の大きさで効果が増減する。
体が倍以上でかくなったランス・コ・レニーは、毒の効果が無くなったのである。
従者にかけよって、手当てをしてやる。
包帯を頭に巻いてやっていると、
「ひ……め……さまを、……とりもどしに……い……こう……」
獣人はうなずいて、宿屋を後にすることにした。
猫の嗅覚は、人間の一万から十万と言われている。犬でも一億倍だ。ライオンも猫と同等かそれ以上は嗅覚が優れているだろう。
姫様の、匂いを覚えていたので、匂いをたどっていくことにした。
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