第27話 その二十七

「自分の立場というものをわかっていないようね」

「でも、あの子の人生さ、自分の好きに生きたいものだろう」

「あの子は普通の人達と違うのよ、国の、国民への責任がついて回るんです。もしものことがあったら……」

「自分のやってみたいことをやってみないと氣が済まないんだろう。私たちにはどうしようもできないよ。回り道をして間違いを犯して、そうしないと深みってでないものだろう。それが一番の近道なのかもしれない」

「いろいろな国を見て、いろいろな考え方を持っている人達に触れたらきっと、自分の国を大切にしたいって氣持ちもわいてくるさ」

「心配でならないわ」

「子離れする時期なのかもしれないよ、過保護にしすぎていたのかもしれない」

 エリザベスは二人の話をじっと聞いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る