第22話 その二十二

 手紙をしたためていた。

 お父様とお母様に宛てた手紙だ。

 その手紙をエリザベスにくくりつける。

「エリザベス、お母様にかわいがってもらうのよ、元氣でね」

「ブー」

 エリザベスは泣いていた。

 よしよしと撫でてやる。

 旅の準備は従者とセバスチャンに任せてあった。

少しの食べ物と飲み水、いくらかのお金、手荷物はできるだけ軽くして行きましょう、大体は馬車に用意してありますと言われた。

 昼のあいだにセバスチャンとの別れは済ませてある。

涙をこぼしながら早く帰ってきてくださいと懇願していたっけ。

 夜は更けていって、準備された服に袖をとおす。

 一般の人たちはこんな生地の服を着ているのかと思った。

 普段着ているのは、着心地がとても良かった。

 いい服を着ていれば目立ってしまうし、変に思われてしまう。

 それにしてもボロボロだった。

 従者が言うには良いものを着ていると、物盗りに目をつけられてしまうから、あえてボロにして、人の目を欺くために見た目は質素にしていきましょうということだった。

 けれどそんなことが氣にならないくらい、ワクワクしていた。

 やっと城から出られるのかと、胸が高鳴る。

 着替え終わって部屋の外の従者に声をかける。

「いいわよ」

 従者か中に入ってきて、窓から縄を下ろす。


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