第19話 その十九

「俺は王に……王になるんだああああ!」

 バロン男爵が襲いかかってこようとする。

 ニコラスがすかさず押さえつけ、首にかみつき、ズタズタに引き裂いた。

 バロン男爵は絶命した。





共に

「お父様、お母様、お話があります」

まわりには豚たちがいて鳴いている。

「どうしたのあらたまって」











 

姫はベッドにうつ伏せになって足をバタバタさせている。

「なんで許してくれないの、なんでよ従者」

 顔が枕に埋もれていて、くぐもった声で愚痴を言っていた。

「姫様が旅に出て危険な目に遭うのを避けたいんですよ、私も危険だと思いますよ」

「あなたとそれに騎士団長を連れて行ったら、何も問題ないと思うけど」

「いやあ、さすがに二人だけじゃ厳しいです。それに騎士団長が国に不在なんて、非常に問題あると思いませんか」

「そうだけど」

「ブーブー」

「ほら、エリザベスも宮殿にいて欲しいって言ってますよ」

 どうしても、世の中を見てみたかった。私の世界はこの城という空間だけに限られていた。

 いっそのこと一人で出てしまおうか。

 いや、何もわからない私が一人で行ったら、たちまち何か困った状況に陥るに違いない。

 一人になったら絶対にだめよ。

 従者は外国から来た人間だ、従者を連れて行くのは当然よ。当然。

 姫は旅に出ることしか考えられなくなってしまっていた。

 これは黙って行くしかないのかしら、お父様とお母様には悪いけれど。

 鳥は鳥かごから出ようとしている。

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