第11話 その十一
ダンスが始まってみると、姫は言ってたほど嫌そうではなく、むしろ楽しんでいるように見えた。
ダンスの参加者の入場から始まる。
女性たちは、美しさを競うかのように艶やかなドレスをまとい、ホールは花畑のようだった。
そういえばドレスを選ぶ時も、けっこう楽しんでいるようだったのを思い出す。
最初の入場は従者も参加することになり、姫とペアになっていた。
ペアごとに、一列になる。
三百組以上はいたのだろうか。
一通りのスッテップが終わると、男女の組み合わせが変わっていく。
時には男女四人でや、男だけ、女だけで手を合わせてくるくる回ったりしていた。
音楽がだんだんと静かになっていく、終わりの合図だ。
終わってみると、もう少し踊っていたかったなという氣持ちになってくる。
この後は休息をはさんでから、各々自由に踊っていいことになっている。
ダンスの後は姫様を見ている男の視線がかなり増えていることを感じ取った。
ダンスが終わってみると、従者は女性たちの噂の的になっていた。
従者のことを見ている人が明らかに増えている。
まずいことをしたかなと思い、大丈夫?と聞いてみたら、何のことですかと言われた。
氣にしなくていいようだった。
いい匂いがするなと思ったら、バロン男爵が近づいてきていた。
爽やかで品のある匂いだ。
跪(ひざまず)いて手を差し伸べる。
「一曲お願いします」
バロン男爵にリードされている姫様は俺と踊っている時よりも、数倍上手に踊れているように見えた。
相手が違うとここまで違うのかと痛感する。
踊っている二人を見ているとお似合いの二人なのかもしれないと思えてくる。
周りの視線も、うっとりと二人のダンスに魅せられていた。
バロン男爵は花を愛(め)でる庭師のようだった。
一曲終わって休憩していると、姫は違った男性たちに誘われていたがさすがに疲れたようなので断っていた。
すると一人の女性が一緒に踊っていただけませんかと俺を誘ってきた。
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