第9話 その九
騎士団長の部屋の前に立った。
何やら声が聞こえてくるが、氣にせず戸を叩いた。
待ってくれと返事が来た。
この前来た時は、ベッドの上で四つん這いになって尻をこちらに向けながら、抜いてくれ、抜いてくれと秘部ににんじんを差し込んだ人間が腰を揺らしていた光景を見てすぐに逃げだしたのを思い出す。
「入っていいぞ」
戸を開けると、蝋燭のあたたかい光があふれてきた。
人間が裸でワインを飲んでいた。
「私は裸族なんだ」
こちらは質問などしていない。
「今日姫の部屋に入って護衛をさせろと、姫に言ったのはあなただったか」
くくくと低く笑う。
「騎士団長の責任も重大でね、先日君も見たようにああやって息抜きをしないとやってられないんだよ。遊ぶ時はきっちり遊ぶ、そうしないと心がだめになって、本来しなきゃいけないことをしなきゃいけない時に踏ん張れないからね」
「そして私は変態なんだ」
「いやむしろ、私以外の人間が変態なのかもしれない、私以外はみんな異常者なんだ」
一人でべらべらと何をしゃべっているんだ。
「君のものは意外と小さいんだな、どうだろうか今夜一緒に……」
部屋を出た。
廊下に漏れていたぬくもりは閉め出されて、暗闇が世界を満たした。
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