第7話 その七

 騎士団長は下段に、切っ先を後ろに構える。

 相対して下段に、似たように異国の男は構えた。

 にらみ合い、動く氣配がない。

 空氣が張り詰める。

 見ている姫も息をのんでいた。

 互いに同時に動いた。

 下段、足に向かって剣が衝突。

 団長の突きが飛び、男はいなして斬りかかった。

 と思いきや団長に剣を弾かれていた。

 お互い下がってから、間髪入れずに、二合三合とかわす。

 と、

「合格、ここでやめようか」

 二人は構えを解いて、礼をかわす。

「じゃあそうだな、まず姫様に紹介しておこうか、これから仕える方だ」

「姫様、腕に関しては折り紙付きです」

「ええ」

黒髪の男を見つめたまま姫が近づく。

「あなた氣に入ったわ」

「ありがたき幸せでございます」


 姫は言った。

 汝、我が家臣となるを心から希望するや。

 突然だったため男は一瞬、姫を凝視していた。

 状況を飲み込むと、膝を折って片手を胸に当てた。

「我、かく望む」

「我、今よりのち忠実を尽くし、他の何人でもなく、ひたすら姫様のみに対する忠誠の誓いをするものなり」

「今日から私の従者とします」



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