第5話 その五

「今から十人抜きをしてもらう、全員から一本取れたら合格だ」

 分かったと答えて木剣を握る。



 

 試験をしている場所に向かう途中騎士団長にあった。

「ごきげんよう団長」

「これは、これは、姫様どちらへ行かれるのですか」

「今から、あたしの新しい護衛になる人が試験をやるらしいから見に行くのよ」

「まだ合格すると決まったわけでもないでしょうに」

 甘い笑顔を騎士団長は姫に向けた。

「私も氣になるのでお供いたしましょう」




「八人目。あと二人だな」

 トントン拍子に進んだな。なんだこんなものかと思っていると、見知った顔が一人と、もう二人が近づいてきた。

(あの女もしかして……)







「これは姫様ごきげんうるわしゅう」

 憲兵長が話しかける。

「あの方?」

 綺麗な黒髪と整った顔立ち、異国の服装をまとった若者がいる。

 目を見張った。

 この国の人間とは見た目が全然違う。

 それになによりも、

 美しかった。

「どうだ使えそうか」

「は、団長、もう八人抜きを終えております。この分だと合格間違いなしですね。かなり腕は立つようです」

「ほう、そうか、九人目はお前が相手をしてみろ」

「私ですか、正直勝てる氣がしないのですが……」

「馬鹿者が!!それでも憲兵長か。いいからいってこい」

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