第4話 その四
絹のベッドカバーにマットレス、羽毛布団、くそ長いテーブル、それに合わせた一枚の真っ白いテーブルクロス、銀の燭台、銀の皿、エナメルで絵付けをしたもの、螺旋階段、巨大なシャンデリア、このようなものがあふれている。
大きな厨房の近くには果樹園があり、養魚池もあった。
豪奢な宮殿の中の姫の一室は青い家具でそろえられていた。
とても素敵な部屋だ。
「あー退屈」
お姫様は今年で十七歳、生まれてからずっと宮殿暮らしで飽き飽きしていた。
刺激が欲しかったのだ。
「市民の人たちよりも、いい生活をしているのは分かってる、でもそれが楽しいとか、幸せだとかとは別物よ」
漠然と世界を見て回りたいと考えた。
「ぶー、ぶー」
「あら、カトリーヌ癒やしはあなただけよ」
豚が足下にすり寄る。
戸をノックする音が聞こえる。
「姫様、勉強の時間ですよ」
カトリーヌ行っておやりと小声で言って豚を扉の方にやる。
「ぶーぶー」
「姫様いないのですか」
「ブーブー」
もう最近ずっとこれだと、不満をこぼしながら教師は去って行った。
カトリーヌが戻ってくる。
よくやったわねと言ってリンゴを与えた。
「それにしてもセバスチャンは遅いわね、なにやってるんだか」
自分で自由に外に出ることができたらと思う毎日であった。
「姫様、セバスチャンです開けてください」
やっと戻ってきたわ。
鍵を開ける。
セバスチャンから今日は散々な目に遭ったが異国の方に助けられたこと、その方が姫様の護衛役に志願したいと言うので連れてきました。今から試験だから様子を見に行きませんかと言われた。
異国の人か。何か面白い話が聞けそう。
退屈だったので行くことにした。
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