第3話 その三
廻りには均整のとれた植物が立っている。よく手入れをされているようだ。
立派な墓があったので男は誰の墓なんだと聞いた。豚の墓だと言われた。
女王陛下は豚が好きで飼っているのだそうだ。
黄金の門をぬけると、庭園が目に入った。
素晴らしく美しかった。
色とりどりの花々。よく整えられた木々。
陽氣で楽しそうな花たちが歓迎してくれているように感じた。
明るい花々で描いた絵を見ているみたいだった。
ジューンベリー、空(うつ)木(ぎ)、金雀児(えにしだ)、大(おお)手(で)毬(まり)、招霊の木(おがたまのき)、小(こ)手(で)毬(まり)、カルミア、鈴蘭の木、ガマズミ、常磐万作(トキワマンサク)、躑躅(つつじ)、椿、栃(とち)の木(き)、花蘇芳(ハナズオウ)、花(はな)海(かい)棠(どう)、ハンカチのキ、花(はな)水(みず)木(き)、金宝樹(ブラシノキ)、木蓮(モクレンモドキ)、木(もく)蘭(れん)、山法師(やまぼうし)、牡(ぼ)丹(たん)、山(やま)吹(ぶき)、ライラック、鶯(うぐいす)神(かぐ)楽(ら)、大丁字(オオチヨウジ)ガマズミ、白(しろ)山(やま)吹(ぶき)、コルクウィッチア、テマリカンボク、白雲木(はくうんぼく)、虫(むし)刈(かり)、利休梅(りきゆうばい)、青(あお)木(き)、犬(いぬ)黄(つ)楊(げ)、月桂樹(オリーブ)、樟(くすのき)、榊(さかき)、椎(しい)、島梣(シマトネリコ)、車(しや)輪(りん)梅(ばい)、柊(ひいらぎ)、冬青(そよご)、梛筏(ナギイカダ)、黐(もち)の木(き)、八(やつ)手(で)、白(しら)樫(かし)、多羅葉(タラヨウ)、扉(トベラ)、藤(ふじ)、シバザクラ、プリムラ、万(まん)年(ねん)草(ぐさ)、アヤメ、撫(なでし)子(こ)、カレックス、ケントウレア、シラー、クロッカス、アリウム、アルストロメリア、ムスカリ、アマリリス、スノーフレーク、チオノドクサ、バイモ、百合(ゆり)、姫(ひめ)金(きん)魚(ぎよ)草(そう)、パコバ、アグロス、テンマ、ディモルホロカ、ネモフィラ、クリムソンクローバー、勿(わす)忘(れな)草(ぐさ)、フロックス・ドラモンディー、リムナンテス、シレネ・ペンデュラ、キンレンカ、ネメシア、リビングストンデージー、ミムラス、カルセオラリア・ルゴサ、薔薇(ロサ・カニナ、十六夜(いざよい)バラ、ロサ・フェティダ、ロサ・ギガンティア、ロサ・キネンシス・アルバ、コンテス・デュ・カイヤ、サレット、コント・ドゥ・シャンボール、ジェネラル・クレベール、ジュノー、オメール、ソフィー・ドゥ・バヴィエール、ティプシー・インペリアルコンキューバイン、プチィ・オルレアネーズ、コーネリア、バリエガータ・ディ・ボローニャ、フランシス・デュブリュイ、エメ・ヴィベール、フラウ・カール・ドルシュキー、夢(ゆめ)乙(おと)女(め)、ロイヤル・サンセット、つるゆきさん、シュネーバルツァー、ザ・ダーク・レディー、シャルロット、こいさん、キャリオカ、ティファニー、ソニア、花(はな)嫁(よめ)、エナ・ハークネス、火祭り、レッドライオン、ブルー・シャトー、バッカラ、バレンシア、ローラ、ゴールデン・ドーン、そどおり姫、秋月(しゆうげつ)、スノーキャロル、ムーンストーン、桜霞(さくらがすみ)、チンチン、ファビュラス!、サマー・スノー、ピッコロ、紅(べに)姫(ひめ)、コーヒー・オベーション、ロサ・カニナ、ブラック・ティ
背の高い迷路のような生け垣まである。
噴水には人の形をした彫像が口から水を吐(と)瀉(しや)物(ぶつ)のように吐き出していた。噴水の後ろには滝がそびえている。
異国とは自分には分からないものがたくさんあるなと改めて思った男だった。
その建物は、左右対称、右を向いても左を向いても端が見えないくらい続いていて、五階なのか六階なのか七階なのか見当もつかず、入り口の高さなど軽く三メーターはあろう、でかい時計がてっぺんにあった。
廻りを取り囲むようにして広がる澄んだ湖には白い宮殿が映り込んでいて、まるで水の中にもう一つの宮殿が建っているかのようだった。
金糸織地、サテン地、ベルベット、上質なキャムレットの上着、亜麻のダブレットやベチコート、廊下には深紅のカーペット、無数の高価なタペストリー、絹のベットの天蓋、
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