第2話◆結子(すくね)の海女
「おはようございます❗️」
「いやぁ❗️ホンマに来たわぁ‼️」
明るい《青年》の挨拶に、
思わず振り返った《海女》の一人が、色めきたった声をあげた。
複数の小さな《漁船》の前で、
数人の海女が何やら深刻に話し込んでいたのだが、
一瞬にしてそれが吹き飛んでしまう。
彼女達の前に現れたその《青年》は、
日焼けをしているせいもあるのか微笑(わら)うと白い歯が眩しい。
が・・・それ以上に、
吐息が溢れる程のキレイな顔立ちの彼に、
そこに居た海女の全員がまるで乙女の如く恥じらうように顔を赤らめたのだった。
「・・・あのぉ・・・💧《北結子(きたすくね)》の漁協組合の方から、こちらを紹介されまして―・・・」
「聞いてるよ❗️エラい『男前(笑)』が来るぅ言ぅて・・・‼️」
海女達は一斉に笑い出す。
《青年》は照れて咄嗟に俯いたが、
その仕草で更に好感度が上がり、彼女達は女子高生のようにはしゃいでみせた。
「今日は皆さんの『お仕事の現場』に、僕も同行させて頂けると伺いましたが・・・」
《青年》の言葉に、
さっきまでの華やいでいた『雰囲気』がスッと消え、
海女達はまた深刻な顔付きになる。
「・・・それが―・・・。今日は辞めようか・・・ってハナシになってね・・・」
「今日は漁が出来ないんですか?」
「ううん、違うんよ・・・ちょっとね・・・💧」
そう言って、
今にも泣き出しそうな顔をする海女は、隣にいる一番年配の海女に視線を送った。
「・・・私(うち)らの仲間が今朝、亡くなったんや・・・」
「えっ―・・・」
思ってもみなかった答えに、
《青年》は言葉を失う。
年配の海女は、青年のその様子に気を許したのか、
穏やかな笑みで優しく声を掛けた。
「・・・どのみち、今日は波が高いし午後まで様子見てみるつもりや。・・・―アンタはどないする?」
と、続けて、
「私(うち)らみたいな《オバン》とでも、お茶するか?(笑)」
多分、この中でもリーダー格であろうその年配の海女が、
少女みたいにイタズラっぽく微笑(わら)ってウインクして見せる。
「・・・喜んで🎵」
《青年》も負けじと、
満面の笑みでそれに応えた―・・・。
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