紺碧の海女(マーメイド)

さいたに じお

第1話◆プロローグ

『・・・―苦しい・・・‼️』


〈私〉は硬く瞑った眼を大きく見開いた。

 ・・・大小の水泡がキラキラと、

自分にまとわりついては離れ――・・・を、

繰り返し無限にそれが拡がっていく。


『・・・水の中・・・⁉️』


 自分が今、

何処に居るのかが判らない。

 ・・・―だけど手足や全身の、

その感覚は決して《水》ではなかった。


『・・・無いっ⁉️』


 やがて何かに気付き、

自分の全身をまさぐり必死で《何か》を探してみるが――・・・

 《それ》は見付からない。


『あぁ・・・』


 そして、〈私〉は不意に悟る。


『・・・でも、どうして・・・?』


 《自分》自身とは違うハズの〈私〉が、

その苦しみの呪縛から逃れる事を諦めたんだと感じる『脱力感』が、やけにリアルだ。


『・・・どうして――・・・』


 今度は〈私〉に、問い掛けてみたが・・・




 そこで〈ミサキ〉は静かに目を覚ました。


『・・・また、あの夢・・・』


 ここ最近、必ず見る《夢》。

小さい頃から度々見る事もあったけれども 近頃は、日に日に―・・・あの『感触』は鮮明になり、

 その感情は確実に〈私〉と同調(シンクロ)していく。


 〈ミサキ〉は頬に伝う涙をそっと拭うと、

 いつもと同じように部屋の窓のカーテンを勢いよく開けた――・・・。

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