第3話 初めて尽くし
「見つけた」
天上を覆う枝葉の隙間から光が差す森の中。
レストは【採集】の素材を知らせる青いアイコンを目掛けてへ進む。
場所は“木漏れ日の森”と呼ばれる、奥へ進むほど敵が強くなる適正レベルが1~10のモンスターが現れるフィールド。
βテストでは武器を振り回すには木々が邪魔で足下も悪く、“緑園の草原”より効率的に魔物のドロップアイテムや経験値稼ぎがしにくいが、拾える素材は多く存在する。
しかし、レベル上げて別のフィールドで素材集めをした方が品質が良いものが集まるという理由でほとんど利用されず、β版の影響で現在も人気がない。
ここにいる理由は、素材が集められ、人が少なそうでクエス達成ができることと、スキル構成からここを選んだ。
「これか…って石じゃん」
【採集】に出ているのは3つの石からアイコンが出ており、拾って効果を確認すると。
名称:石
種類:鉱物 品質:1
耐久値:10/10 重量:1
効果:攻撃力+2、投擲可能。
要らなくなったら捨てれば良いと思い回収した。
「ある意味、投擲可能アイテムが1つしかなかったからラッキーか」
再び、【隠密】と【採集】で素材を探し始めた。
ちなみに、ここへ来る前に冒険者ギルドで受けたクエストは、
クエスト『薬草採取』
内容:冒険者ギルドに薬草を5個納品する。
報酬:100G
という内容で、〈調合〉スキルに使う素材集めのついでに、できそうなクエストをしている。
クエストはNPCやギルドから受けられ、お手伝い系、収集系、討伐系などの種類あり、達成することで経験値と報酬が貰える。
また、ギルドからのクエストは受けることでランクが上がり、様々な特典を得られる。
レストも冒険者ギルドでランクを上げれば探索の情報や特殊なクエストを受けられると、動画や攻略情報で知っていた為、真っ先に冒険者ギルドへ行った。
ついでにいうと、素材を買って【調合】しないのは、金使うのはもったいないと思っているからだ。
「次はあっちか」
レストは青いアイコンが遠くに向かって進み始めた。
◯
「ふぅー、結構集まったな…」
動き回って腹が減ったので、レストは微妙な表情で、空腹が20%回復する無味のぼそぼそした携帯食を食べながらいう。
投擲でもすれば倒せるかもしれないが、武器を買ってから戦えば良いと思い、見える範囲のモンスターを避けながら行動した。
結果、【隠密】のお陰で一度の戦闘もせずに素材を集められた。
名称:薬草
種類:薬材 品質:1
耐久値:5/5 重量:1
効果:HPを3回復する。再使用時間は5分。
薬草は偶然6本以上あった場所があったので、合計12本集め。
名称:森苺
種類:食材 品質:1
耐久値:4/4 重量:1
効果:空腹2%回復。
森苺は一度しか見つけれなかったが、4個得る。
名称:木の枝
種類:樹木 品質:1
耐久値:6/6 重量:1
効果:攻撃力+1、装備可能。
現在、右手に装備中で、5本見つけてある。
ついでに、石も新たに4つ拾い合計7個となった。
「一度戦って帰るか…」
レストは素材をある程度集めたからか、モンスターと戦ってみたくなった。
だから、戦えそうなモンスターを探し、20メールぐらい離れた所に、赤色のアイコンがある人の頭ぐらいの大きなネズミを見つける。
(ビッグマウスか…確か体当たりしかしない弱いモンスターだっけ)
茶色のネズミの頭上に現れたHPバーと名前を見て、βテストで簡単に倒されていたので勝てるだろうと思い、戦うことに決めた。
持っていた木の棒を左手に装備し、右手に硬球を持つ。
名称:硬球
種類:道具 品質:3
耐久値:100/100 重量:1
効果:攻撃力+6、投擲可能、譲渡不可。
参考:支給品。NPCに売ることは可能。
と石より攻撃力が高く、初戦闘でどこまでやれるか試すために、ネズミに近づく。
「キュゥー!!」
10メートル近づいた所で、気がついたネズミが向かってくる。
「うぉ!!」
レストはスピードを上げて突っ込んで来るネズミに、驚いて咄嗟に振りかぶり硬球を投げつけた。
「当たった」
器用値が高かった事と【投擲術】で効果的に投げれたこと、ネズミが直線的に襲ってきたのでパニックっても当てられた。
当てることで少しノックバックし、ネズミのHPが三分の一まで減る。
「あっ…」
だが、硬球はネズミに当たると、別の場所へ弾んで手元にはない。
レストは石を出そうとするが、そんなに速く操作できず、
「キュゥ!!」
「うぐっ!!」
ネズミの体当たりで左足に攻撃を食らい、少しの痛みとHPが半分以上減る。
(避けながら木の棒で攻撃するしかない)
レストはこの時、配信動画でビッグマウスが体当たりしたあと、距離を取って再び体当たりをしてくるのを思い出し、次の体当たりに備えることにした。
(…えっ)
だが、ネズミが取った行動は違った。
ネズミは口を開き体当たりした左足に噛みついたのだ。
ここでVRゲームの経験者なら攻撃しただろうが、VRゲームの初心者のレストはそこまで頭が回らず、思った行動と違った為に思考が止まった。
「あっ…」
そして、HPも2にだったことからすぐにHPが0になり、視界が暗転し、初の死に戻りを経験した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます