第2話 始まりの街

 チュートリアルが終わり、視界が戻ると大きな広場の中心にいて、周囲にレストと同じように立ち尽くす人が多くいる。

 皆一様に白い服、茶色のズボンもしくはスカートの何も装備していないときのデフォルトの格好から、初ログインしたプレイヤーと分かる。


「スゲー…」


 青空の下、石畳が敷かれた道に、色鮮やかなレンガを積み重ねたヨーロッパの建物があり、ザ・ファンタジーの世界だと思わせる街並みだった。

 始めての電脳世界で笑みをこぼしながら、レストは街を進んでいく。

 幼い容姿をしたレストがキョロキョロと周囲を見る光景は、まるで知らない場所に始めてきた子供のように見える。


 このFMGの世界ではプレイヤーは異界から来た旅人とされており、視界に名前やHPなどが映り、アイテムの情報を見え、この世界の住人より成長が速い。

 始まりの街の中心に存在する大広場から現れるとされる。

 また、初心者でも始めやすいように、イベント以外ではPvPができず、現実での6時間がゲーム内で1日経過する仕様となっている。

 プレイヤーとNPCの違いは、青いアイコンが出るのがNPCで、何も出ないのがプレイヤー、そして赤のアイコンが出るのがモンスターである。


「メニューの確認しないと」


 このFMGはメニューから、能力を見るステータス、アイテムが入ってるインベントリ、金やログなどが確認するプレイヤー情報、登録した人と連絡ができるフレンド、ゲームから退出するログアウトなどの機能を確認できる。


「あそこに座ろ」


 レストは立って見るのは邪魔になるかなと思い、近くにあったベンチに座り、使うと意識して「メニュー」というと半透明の青いパネルが浮かび、ステータスとインベントリを見た。


『ステータス』

名前:レスト

種族:ハーフリング

レベル:1

アビリティ(+2)

HP:5/5 MP:15/15

筋力:1 体力:1

魔力:1 耐久:1

敏捷:3 器用:5

スキル(+0)

【採集】【調合Ⅰ】【使役術Ⅰ】【投擲術】【隠密】

装備

頭:【空欄】

体:【空欄】

右手:【空欄】

左手:【空欄】

足:【空欄】

靴:【空欄】

装飾:【空欄】【空欄】【空欄】


『インベントリ』

容量(29/50)

携帯食×10、初級ライフポーション×5、簡易キャンプセット、緑のリュック、簡易調合セット、従魔の卵、硬球、スニークシューズ


 インベントリ内のアイテムはチュートリアルクリア後に、携帯食と初級ライフポーションと簡易キャンプセットは固定で、残りはスキルに応じて貰える特典だ。

 あと、この世界の金を2000Gゴールドを得ている。


「思ったより重い」


 インベントリの従魔の卵を枠外に出して、オブジェクト化するβテスト配信動画であった小ネタを使い、デカイ卵を出現させた。

 従魔の卵は従魔が生まれる卵で、生まれる前に割ると経験が貰えるアイテム。

 生まれた従魔はランダムだが特殊個体で孵化し、通常より強い能力値や優秀なスキルを持ち、テイマースタイルのプレイヤーに需要がある。

 また、レベル1から5まで上がる経験を得るため、初期で【使役術】を選び、卵を割った後に課金アイテムでスキルを変更するプレイヤーもいる。


「メニュー操作して少し待つか」


 レストは前者なので、前情報ではオブジェクト化後の数分で孵化するため、赤ん坊サイズの卵を腿の上に乗せて撫でている。


「生産系メインでやるとはいえ、冒険者ギルドでクエスト受けた後にフィールド出るから装備したほうがいいか」


 レストは配信動画を見て、ペットを愛でながら生産活動をしたいと考え、種族は育成系と生産系が得意なハーフリングと決め、ペットの為に【使役術】、互いの相性の良い【採集】と【調合】を選んだ。

 何が生まれるか分からないが、後々はレベルを上げて【鍛治】とかの生産系スキルを獲得する予定。

 ちなみに、幾つかの候補から【投擲術】と【隠密】を選んだ理由は、【調合】で作った毒薬で攻撃すればいいかと思い【投擲術】、素材集めを効率的にする為に【隠密】を選んだ。


「ソート機能ってどれだ」


 ソート機能で出た装備はこの2つ。


名称:緑のリュック

種類:装備 品質:3

耐久値:100/100 重量:1

効果:容量+10、耐久減少軽減微、譲渡不可。

参考:支給品。NPCに売ることは可能。


名称:スニークシューズ

種類:装備 品質:3

耐久値:100/100 重量:1

効果:防御力+1、足音軽減微、譲渡不可。

参考:支給品。NPCに売ることは可能。


 パネルで操作して緑のリュックは装飾で、スニークシューズは靴に装備する。

 ちなみに、硬球はキャンプセットと調合セットと同じ道具枠だ。



「孵化しない」


 10分ぐらいメニューを調べていたが、卵は孵化しないかった。

 フィールドに出てみたい欲とメニューを見続けるのに飽きたという感情。

 プレイヤー達が冒険者ギルドの方向へ行くのを見て。


「後で孵化させればいいか」


 レストは仕様変更で待機時間が増えたのかもしれない、これからもっとプレイヤーが増えるかもしれないから早めに行った方が良いと建前を考え、従魔の卵を緑のリュックに入れ、そそくさと冒険者ギルドへ向かう。


 そして、途中道に迷い、マップ機能でどうにかたどり着いたあと、冒険者ギルドで登録し、クエストを受けてから始めてのフィールド探索が始まった。

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