第6話 蝶々と二匹の小さな犬

 

 部屋に飛び込んできたのは、妖精のディーンでした。


 飛び回りながら大きな声で叫ぶディーンに、ティータは小声で怒鳴ります。


「うるさいよ、ディーン!父さんが起きてしまうじゃ無いか!」


「でも母さん、リーナが見つからないんだ。家の周りも、チャックの子犬の部屋も、シドの小屋も、森の中まで探しても見つからないんだ。ねぇ、まだ探さなきゃだめ?もう本の続きを読んでもいいでしょう?」


 ディーンは、どうしても本の続きが読みたいようです。


 オリは、ディーンが読む本は、どんなに面白いのだろうと少し思いました。


 でも、オリはリーナが見つからないと、家に帰れないのです。


 そんな事、ちっとも心配していないようなディーンに、オリは少し腹も立ちました。




「ふぅん、困ったねぇ。一体あの子は何処に隠れているのか。急がなきゃいけないのに……。仕方がない。お隣さんに、助けを求めよう。」


 ティータはそう言うと、ピートの部屋を出て、カーペットの部屋に戻りました。


 オリはその後をついて行きます。


「おいで、私の可愛い蝶々たち。手伝っておくれ。」


 ティータがそう言って手を振ると、その先から突然ひらりと、二匹の蝶々が現れました。


 カラフルな蝶々たちはひらひらとティータの周りを飛び回った後、その足元へ降りて行きます。


 そして、ぽぽん、という音がしたかと思うと、そこにいたのは蝶々では無くて、二匹の小さな犬でした。


 オリはびっくりして、目をぱちぱちと瞬きました。


 しかし、そこにいるのは確かに、長い毛の生えた大きな耳を持った、二匹の可愛らしい犬です。


 片方が、もう片方よりほんの少し大きくて、二匹ともティータを見上げて、嬉しそうに尻尾を振っています。




「シド、どうかあんたも手伝ってくれないかい?私やチャックは、眠っているピートのそばを離れるわけにはいかない。この子たちが案内をしてくれるから、お隣の夜の魔女に、リーナの居場所を占ってもらってきてくれないか?この子たちだけじゃ、喋ることが出来ないからね。」


「お安い御用だ。」


「助かるよ!お隣さんには、以前火事になりかけたのを助けた時の貸しがある。きっと喜んで手伝ってくれるはずさ。」


「夜の魔女?」


 オリは、好奇心を隠せずに呟きました。


「そうさ。夜の魔女は、『星読み』の占いが出来るんだ。オリ、気になるなら一緒についていってごらん。面白いものが見れるよ。」


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