車内異臭騒ぎ
イタリアにも日本の新幹線っぽいものが走ってます。国鉄が民営化された
フレッチャには3種類あって
ローマから海沿いに南の方へ行くときは
で、そのフレッチャでバーリ方面に南下していたときのこと。
クリスマスシーズンで車内は満席。私は漫然と車窓からの風景を眺めていた……って書いたら無駄に渋い大人の一人旅って感じしますね。いや単に疲れてるだけ。なんせ片道合計8時間あるし、Wi-Fiは使えないし(ある地点を過ぎるとなぜか繋がらなくなる)。飽きるし。好きなんですけどね、列車の旅。
で、ぼへっとしていたとき、静かな車内に年配の女性の声が響き渡りました。
「すみません、靴を履いてもらえます? 足が臭いんですけど」
どき。でも脱いだ記憶ないけど。
すると、
「え? 俺の足は臭くないよ」
と同じく年配の、今度は男性の声。
どうやらどっかのおじさんの足が臭いと文句言われてるらしい。座席が四人掛けのボックスなので前後を見渡しにくく、誰がしゃべっているかは見えません。
どちらも貫禄ある感じの声でしたねえ。
「俺の足じゃないよ。俺の足はめちゃくちゃキレイなんだから」
「きれいかどうかは関係ないでしょ。列車の中で靴を脱ぐもんじゃありませんよ」
この瞬間、脱いでた他の人は全員急いで履いたんじゃないですかね。足が臭いという指摘を当のおじさんは受け入れられないご様子。車内は終始シーンとしてましたが、近くの席の人は真顔を保つのに苦労したんじゃないでしょうか。
「とにかく靴を履いてくださいよ。空調の風であなたの足の臭いがここまで漂ってくるんです」
それは辛い。
「臭いのは俺の足じゃないって言ってるだろ」
確かに、なんでその人だと分かるのかって話ですね。後ろの人の靴下が異臭を放ってたのかもしれないし。自分の足が無臭だって確信もどこからくるのか分かりませんが。いや臭いだろ。
脱ぎたくなるのは分かりますけどね。
その後、通りかかった車掌も巻き込んで喧嘩がエスカレートしそうな雰囲気にもなったんですが、最後には「さっきはすみませんねえ」「いやこちらこそ」な感じで和解しつつ同じ駅で穏やかに降りていきました。
そのあと「ちょっとお時間あります? そこでコーヒーでも」って展開で恋が芽生えたら足臭からはじまった恋ですね。
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