お酒(裏)事情

「イタリアにいるとワインとかに詳しくなるでしょ?」


 と言われることがあります。


 すみません。全然詳しくないです。


 ワインは好きです。お店で「とりあえずワイン」と言うくらい。スーパーで適当に選んで、あっこれ美味しいから次も買おうかな? とか。でも、○年? なんとかボディ? ぼじょれーぬーぼー? そういう小難しいことが全然分かりません。


 あと、甘口・辛口の違い。


 お前は料理下手くそな上に味も分からないのかという声が聞こえてきます。私、出されたものは何でも美味しくいただきます。美味しく食べられないことがあるのは例によって自分で作った料理ですね。なんでしょうね、あのがっかり感。


 オサレなレストランで料理のメニューの他にワインのリストを渡されることがあります。あれ、困ります。知らないから選べない。ウェイターによってはお勧めを教えてくれるんですが。


 問題はそのあと。ボトルを持ってきてグラスにちょろっと注いで味見させてくれるんですが、あれが苦手。ガッチガチに緊張して


「美味しいです」


 とか言うと、ウェイターさんはにっこりして


「でしょ?」とグラスにいっぱい注いでくれて満足そうに立ち去るんですが、私は実のところ味なんか分かってなかったりする。見られてると緊張するんだもん。


 クルマに無知なのですが、ワインも同程度です。無知の度合いが。


 車の車種は星の数ほどあると思いますが、橋本は「おおきいくるま」「ちいさいくるま」「はたらくくるま」の3種類しか認識できません。幼稚園児以下。「セダン」が車のメーカーじゃなく形の名前だということも、現代を舞台に何か色々書くようになって調べて最近知りました。


 驚いたんですが、後ろにトランクがない車が結構ありますね。パカっと開けるとすぐ後部座席。拉致した人を監禁したり死体を詰めて海に沈めたり、やるなら車種を考慮しないといけないなと思いました。知識のアップデートって大事。


 完全犯罪を企てているわけじゃなくてミステリの話です。ミステリ。


 で、話を戻すとワインの美味しい国にいてもワインに詳しくなれませんでした。


 基本的にあまり飲まないですからね、イタリア人。日本のたくさん飲む人と比べたら全然といっていいほど飲まないです。


 道で酔いつぶれる人はいません。


 忘年会シーズンの東京あたりに出没する「終電車内パンツ一丁おじさん」や「ガードレール巻き付きおじさん」も残念ながら観察できません。酒瓶を持ってふらふらしてる人は近寄っちゃいけない人か、羽目を外した観光客。


 イタリアでお酒を楽しみたい方はここで注意。


 多くの自治体で夜間のアルコール販売が規制されます。時間は町によって異なり、フィレンツェは夜10時以降だったかな。ペルージャでは夜8時。この時間を過ぎるとスーパーや小売店は酒類販売禁止。路上飲酒もだめ。パブなどの店内では飲めるけど、瓶のハイネケン片手に外をぶらぶら歩いたりとかはできません。


 時間を過ぎても数分程度なら売ってくれることがある。でも、「セーフセーフ」と喜んではいけません。その場合、多分レシートをくれません。夜間にアルコールを売るとお店は罰金ですが、レシートがなければ証拠がないからです。酒瓶が入ったレジ袋を持って外で警察に呼び止められても、うちはカンケーねーぞってことです。


 だから、夜にお酒を持ち運ぶ場合はカバンに入れましょう。


 イタリアには「飲み会」の文化がなく、飲んでお喋りしたいときはドリンク1杯とつまみのセット(アペリティーヴォという)が一般的です。学生などはその1杯で2時間とか粘ります。で、喋る。ひらすら喋る。


 居酒屋文化の国からきた私はカルチャーショックを受けたものです。ここではお酒はあくまでも料理や会話を楽しくするためのもので、それ以上のものではないんですねえ。ほろ酔いにはなるけど、酔うために飲んだり酔っ払ったりはしない。


 もちろん時には飲んで大騒ぎしたり、強い人も弱い人も体質的に飲めない人もいて、そのへんは日本人と変わりません。



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