第5話
泣き疲れたサユは気がついた時には寝ていた。しばらくして扉が開く音で目が覚めた。
「おはよう。もう夜だけどね。どう?理解した?君はもう逃げられないこと。」
苦しいうえに泣きじゃくったせいでいつもより虚な目でサユが男を見上げる。
「わかったみたいだね。うふふ。嬉しいよ。首輪、きつくした甲斐があってよかったよ。…?あれ、首輪なら手が届くはずなのにきついままなんだ。ふふっ。いいじゃん。従順。」
かちゃかちゃと首輪が外される。
「じゃあ、今日は首輪なしにしようね。首輪緩めなかったご褒美。」
サユは虚なまま目だけで男を追っていた。服を脱ぎ、キスを始める。手が伸びてくる。
「っふっ。はぁっ。や…」
サユはかろうじて出る声でわずかな抵抗をする。しかしそれも一瞬。すぐに諦めた。代わりに涙を流した。
「サユっサユっ。愛してる。一生離さないよ。」
男は一晩中激しくサユを抱いた。朝になるころ、サユの体は涙と汗と男が出したもので塗れていた。
「明日のご飯はオムライスだよ。」
疲れ果て、ベタベタになったサユの体を男は隅々まで丁寧に拭いた。髪もその場でとても綺麗に洗った。ここにサユが来て初めてベッドから下ろし、シーツも新しいものに変えた。
「女の子は常に綺麗じゃないとね。」
男はサユをベッドに戻し、首輪もつけた。
「お水と、ご飯。寝てても食べられるものを置いておくから、食べるんだよ。明日の朝ごはんはオムライスを作ってあげるからね。それまではこれだけ。」
枕元に水とバナナ、栄養ゼリーが置かれた。
「今日の夜は帰れないから。寂しいかも知れないけど待っててね。退屈しないようにテレビをつけていてあげるよ。」
サユが好きなドラマ番組が放送される局にチャンネルを回し、サユにキスをして男は部屋を出た。
「よりによってわたしの大好物…。」
サユは一人呟いた。おそらく男は知っている。サユの好物がオムライスであることを。
そしてサユはまた涙を流した。
昼間は寝た。夜にはテレビでサユの好きな刑事ドラマがあったのでとりあえず目を覚ました。ドラマが終わるともうなにもすることがない。寝ようと思っても寝れず、考え事をしながら過ごすしかなかった。
しかし考えることは一つ。
「わたしがいなければ。」
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