第10話:魔人殺しの剣
「なるほど……、なるほどやで……。始祖神:S.N.O.Jくんは、わいの想像以上にうまいことやりくさったんやなっ! わいとは違って、出来た息子やでっ!」
創造主:Y.O.N.Nはひとり納得したといった感じでうんうんと頷く。その後、術を解くべく、右腕をさっと左から右へと振るう。するとだ、ナナ=ビュランたちを包み込んでいたふわふわでもこもこな
ナナ=ビュランは夢心地な気分から急に意識が覚醒し、はっ! とした顔つきになる。そして、頭をブンブンと強く左右に振り、頭の中に残るモヤを無理やり掻き飛ばす。そして、右手に持つ
「おっとぅ! わいの身体はヨン=ウェンリーそのものやで!? わいとあんたは恋人同士やん! わいを傷つけるっちゅうことは、あんた、恋人を傷つけるってことやでっ!!」
「うるさいっ! あんたが悪神だってことは、十分に理解したわっ! あんたが魔族の神として崇め奉られていた記憶が流れ込んできたわよっ!」
「な、なんやて!? わいがあんたの記憶を読むと同時に、あんたさん、わいの記憶を読んだのか!? とても信じられないんやでっ!!」
創造主:Y.O.N.Nは明らかに憔悴した顔つきに変わっていた。自分の思考を読めるものなど、始祖神:S.N.O.Jでも無ければ無理な話なのだ。しかし、この20歳にも達してないような小娘が、自分の記憶を読むことなど出来ようはずがないのだ。
だが、創造主:Y.O.N.Nを狼狽させることはこれだけではなかった。
「ウッス! ナナの言う通りッス! 俺にもこいつが魔族を創り出して、ヒト型種族を絶滅させようと高笑いしていたイメージが俺の頭の中に流れこんできたッス! こいつを放っておいたら、魔族が勢力を復活させるのも時間の問題ッス!」
シャトゥ=ツナーはそう言うと、
「こりゃ、やらかしてもうたんやでっ! まさか
創造主:Y.O.N.Nがこの都合の良すぎる展開のあまりあるおかしさに抱腹絶倒してしまうのであった。こんな馬鹿げたことが起こりうる確率など、0がどれほど並ぶほどの偶然であろうかと。しかし、ここで創造主:Y.O.N.Nがははーん? と疑い出す。
「これは始祖神:S.N.O.Jくんが仕組んだことやな? あいつに回りくどいことをさせたら、わいよりも数段上やからなあ? あんたさんらが、その二振りの剣を持っているのは偶然では無くて、必然ちゅうことやな?」
「あんたが何を言っているのかはわからないけど、もしかしたらそうかも知れないわね? 法王庁で神託の巫女が始祖神:S.N.O.Jからそうするように頼まれたのかもね?」
ナナ=ビュランのこの発言は、もちろん、でっち上げである。神託の巫女:ヤスハ=アスミがこの状況に陥ることを察知して、次の法王と名高いシルクス=イートに働きかけたとはどうしても思えない。神託の巫女:ヤスハ=アスミは見た目からして自由奔放である。そんな彼女が自分のためにこのような処置をしてくれたなど、ナナ=ビュランには到底、想像できないのである。
だが、創造主:Y.O.N.Nと名乗る神を少しでも動揺させなければならないだろうとナナ=ビュランは判断し、適当なことを言ってのけたのだ。それが功を奏したのかどうかはわからないが、創造主:Y.O.N.Nは顎に右手を当てて、何かを思案する所作をしだすのであった。
そして、創造主:Y.O.N.Nはふむむ……、ぐぬぬと唸り、そして何かを思いついたのか、ポンッ! と両手を叩き
「よっしゃ、細かいことはどうでも良いわ。わいは始祖神:S.N.O.Jくんをぶっとばすのは変わらへんからなっ! あんたさんらがわいと一戦交えるっちゅうんなら、相手をしてやってもええんやで?」
創造主:Y.O.N.Nは、くっくっくと可笑しそうに笑いながら、腰の左側に佩いた
(あたしの心をかき乱すためにわざとやっている!? 創造主と大層なことを名乗るならば、自分流の構えも出来るはずよっ!?)
ナナ=ビュランは非難を込めた瞳の色で創造主:Y.O.N.Nを睨みつける。ナナ=ビュランには何となくだが、創造主:Y.O.N.Nが自分たちに対して、嫌がらせのためにヨン=ウェンリーそっくりの構えをしているのがわかって仕方ないのである。
何せ、相手は魔族が崇め奉る悪神だ。悪神だからこそ、ヒトが嫌がることを進んで
「
「おっと、いきなり大技かいなっ! ちょっと待ちいやっ! わい、この剣の使い方を熟知してへんのやで!? 説明書をプリーズ、ミーなんやでっ!」
「それは朗報ッス!
ナナ=ビュランが
「『
「『
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