第8話:ポティトゥ3大貴族
これで何度目の
連戦に次ぐ、連戦で得られたことと言えば、ナナ=ビュランが
今では詠唱を終えてから、1秒ほどでナナ=ビュランが右手に持つ
もうひとつ、ナナ=ビュランたちが得られたことと言えば、シャトゥ=ツナーがヒト型
まあ、それでもヒト型
しかしながら、実戦においては、ナナ=ビュランのほうが圧倒的に戦力としては安定していたのである。警護隊のリーダーであるネーコ=オッスゥはそのことには気付いており、戦っている最中はシャトゥ=ツナーにはナナ=ビュランの側から離れないように助言している。
シャトゥ=ツナーとしては、自分はナナ=ビュランの補佐であるために、そう念押しされているように認識しているが、ネーコ=オッスゥとしては、半人前が2人いて、2人揃ってで、やっと1人前の認識であった。互いに互いを補いあう存在として、彼らを運用していたのである。
さて、ゼラウス国:商業都市:ヘルメルスから出立し、5つ目の村で4日目の朝を迎えることとなる。もうこの先、村は存在せず、あとは野宿をして過ごさなければならない。バンカ・ヤロー砂漠は眼と鼻の先にある。ナナ=ビュランたち一行は身支度を済ませて、村長に1泊させてもらえたことに関して感謝を伝えると同時に、出立の挨拶をする。
「この村を出て、6時間ほど北西に進めば、バンカ・ヤロー砂漠の入り口ですじゃ。しかし、出来るなら、ここで引き返すことをお勧めするのですじゃ」
「お気遣いありがとうだみゃー。でも、僕の雇い主はどうしても成し遂げないといけないことがあるんだみゃー。彼女に金で雇われている傭兵の身分はつらいんだみゃー」
ネーコ=オッスゥが冗談交じりに村長にそう告げるのであった。その冗談に村長は、はぁ……としか言いようがなかった。肯定するにしても、彼をジト目で彼を睨んでいる若い女性がいるし、かと言って、否定すれば、傭兵の存在意義を否定しかねない。ここは答えを曖昧にするためにも、はぁ……と曖昧に返した村長であった。
「ここから先はオークやゴブリンといった
「お気遣い、ありがとうだみゃー。では、用事を済ませて、また帰り道で寄らせてもらうのですみゃー」
ネーコ=オッスゥは村長に対して、丁重に礼を言って、彼の家から出る。そして、自分が率いる警護隊の面々に声をかけていく。連日、
しかし、彼の祈りを神は聞き届けることは無かった……。
「
ボロボロの紫色のフード付き
「ふふふ……。マウント。わたくしの分まで喰ってしまってはダメよ? わたくしはねじ切った頭を丸かじりしたいんだから……」
豊満で魅惑的なボディを彼と同じくボロボロの紫色のフード付き
「コニャックは悪食だギャ。おい、マウント、わては女のハラワタ担当だから、ぐちゃぐちゃにしすぎないように注意するんだギャギャギャ!!」
伸長150センチュミャートル程度の小柄な男がヒッヒッヒッ! ギャッギャッギャ!! と気色の悪い笑い声をあげる。彼は紫色のフードをめくりあげて禿上がった頭を晒し、さらには血走った眼でナナ=ビュランを凝視する。彼の標的はナナ=ビュランたち一行の中で一番若い女性であるナナ=ビュランであることは誰の眼から見ても明らかであった。
「では、イザ、尋常に勝負ダ!」
マウント=ポティトゥと名乗った大柄な男がそう雄叫びを上げたと同時に、ナナ=ビュラン一行と対峙する3人の身体からドス黒い色をしたオーラが立ち昇る。そして、それは一気に膨れ上がり、一瞬、辺りが黒いオーラに包み込まれて、漆黒の闇へと姿を変えたのかと錯覚させられる。
しかし、それはただ単に、3人の身体から膨大な魔力が噴き出ただけにすぎなかった。彼らの身体から噴き出た魔力は、ナナ=ビュランたちから3人の姿を見失わせるほどの濃さを持っていた。その黒い霧とも言える魔力の奔流が収まった時、ネーコ=オッスゥが今まで見てきた
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