第八話 Very quick training(迅速訓練)

2時間後、ラッキービーストの協力あってか

かなりのフレンズが集まった、しかしパークスタッフ達は余り居なかった…


「恐らく、上層部が情報妨害を施したんだろう…仕方が無い、フレンズだけでも良いから訓練を進めろ」

「了解しました、総隊長」


コンの隊、対特定特殊セルリアン部隊は様々な訓練を見回り、指導していた。


「そこ!もっと的確に!…そうだ!」

「石を狙うんですよ!」

「もっとここはこうして…」

「そうです!そうしながら…」


すると遠望でメガネが手を振っているのに コンが気が付き、走って行った。


「どうしたメガネ?」

「あぁ…かなりマズいことになってね…」


メガネはそう言いながらタブレットを見せた


「…本当にマズいな…確かに僅かだが空気中のサンドスター濃度が上がっている…」

「一応中和作業はしてるんだけど…」

「コンさん!!」


リカオンが急に走ってきて話し掛けた


「どうした?リカオン」

「ちょっときて欲しいッす!」

「…?解った、メガネこのまま中和を頼む」

「…了解」


コンが訓練場に行くと、フレンズ達が整列していた。

コンは前にいる隊長群に走って行った。


「総隊長、一体何が?」

「コン…本日の訓練が終了した、君達に頼みたいことがある、現行の君達の隊員を臨時で小隊長にする、よって明日までに緊急訓練を行い、明日までに育ててくれ」

「た、隊長!緊急訓練って!」

「そうだ…」

『…了解!』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

その後宿舎に戻ると皆が席に着いていた。


「突然だが、これから緊急訓練を開始する」

「緊急訓練?何をするんだ?」


ヒグマが首をかしげながら聞く


「最高にキツくて命の危険を伴う訓練だ」

『…えマジ?』

「ふざけてられないぞ…一夜にして、ウチの隊の…主にリカオンを鍛える」

「一夜…オーダーキツいっすよ…」


リカオンが机に突っ伏しながら言った


「行くぞ時間が惜しい」


コンは立ち上がり、皆を連れて実験棟へ向かった。

メガネは何かを察し不安げな顔をしていた。


「コン…まさかとは思うけどACETを行うじゃないよね?」

「やれとの命令だ、やるしかない」

「そんな…ACETまだ安全性が確保出来てないんだ、やめておいた方が…」

「スキルアップの為だこれで多少は戦えるようになる」

「そんな…酷いよ…」

「時には非情な選択をしなければならないときがある、しかしそれは奴が自分の身を守る礎となる…HAT総隊長の言葉だ」


話しているうちに別れ道へ着いた、壁にはそれぞれの道の行き先が書いてあった 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

制御、監視室

←←←←←← 

      訓練室(試験段階立ち入り禁止)

      →→→→→→→

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「俺とリカオンは訓練室に行く、後はメガネと一緒に行ってくれ、メガネ、3分後に訓練開始だ」

「OK…」

「よし、リカオンいくぞ」

「了解です!」


~訓練準備室~

「よし、リカオン、まずはこれを着てくれ、安心しろ、更衣室がそこにある」


リカオンは黙って更衣室のカーテンを閉め着替えた。


「あの、コンさんこれなんかぶかぶかなんですけど…」

「あー…それは腕のボタンを押してくれ」


するとスーツがシュッと縮まり、ピッタリのサイズになった。


「よし、時間が無い、内容を説明する」


リカオンは頷く


「よし、今からこの部屋の中に入って俺達が作り出した人工のセルリアンと戦って貰う…人工だからと言って油断するな、本物のセルリアンと何ら変わりない、いいな?」

「オーダー了解です!」

「…いいか、この訓練はお前がセルリアンを倒さない限りここの扉は開かない…俺も助けに行けない…本当はこの訓練をしたくなかったが…お前が実戦で死ぬ方がつらい、頼むぞリカオン…」

「まかせてください!」

「よし、前室に入ってくれ」


コンはボタンを押して、前室の扉を開けた

プシューという音と共にドアが開きリカオンが入る、コンは入ったのを確認するとドアを閉め、腰のトランシーバーを取った。


「メガネ、セルリアン出現準備急げ」

「り、了解、今やるよ」


メガネは操作卓のカバー付きのセルリアン マークが描かれた危なそうなボタンを押した

すると卓上のモニターに蜘蛛の玩具が表示され、セルリウムに変えられた。


「コン!セルリウム準備完了ドアを早く!」

「よし!リカオン!行くぞ!」

「オーダー了解です!必ずやり遂げます!」


コンはドアオープンと書かれたボタンを拳で押した。

すると、赤い回転灯が回り始めアナウンスが流れ始めた。


「只今より、ACETを開始します…メインドア付近に戦闘員を待機させて下さい…繰り返します…只今より…」

「いよいよだな…リカオン、頼むぞ…」


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~ACET開始~

サイレンが鳴り響き、ドアが開く、リカオンはナイフを構えながら部屋の中に入っていく

すると、見つけた、足が八本生えたセルリアンがいた。

そのセルリアンは物凄い勢いでリカオンに突っ込んできた。

リカオンはセルリアンの頭を踏み、突っ込んできたセルリアンを飛び越えた。


(っと危ないですね…見た所突進で取り込まれたらゲームオーバーですね…ここは爪で…)


リカオンはセルリアンに向かって走り出した

セルリアンは体制を立て直し再び八本足で

カサカサと向かってきた。

リカオンは爪で思いっ切り引っ掻くが   セルリアンはさほどダメージを負っていなかった。


(くっ!硬いですね…やっぱりナイフじゃないと攻撃は通りませんか…)


リカオンは再びナイフを抜いてセルリアンに向かって走り出した。


(それにしても石が全くもって見つからないですね…これはかなり危険な状況ですね、 早いところ石を見つけないと…)


そこにセルリアンの攻撃が来る、リカオンはそれをステップで回避し、セルリアンの体をよく見る。


(目立つ所には石はありませんね…と言うことは恐らく裏…ですかね)


リカオンは作戦をすぐに実行した。

まずは、突進を誘う。


「こっち~!こっちですよ~!」


手を大きく降り、アピールすると、    セルリアンは挑発に乗り、突っ込んできた。

リカオンはニッと笑い壁ギリギリでジャンプ

行き場を無くしたセルリアンは壁に衝突ひっくり返った。


(よし!後は石を探して割るだけでオーダー完了です!)

リカオンは石を見つけるとナイフで刺した。

石はピキパキとヒビが入り、割れ…


(なっ!急にセルリアンが!)


セルリアンは蜘蛛の糸のような物を出し、天井にぶら下がった。


~監視室~

「なっ!糸だと!」

「あり得ない!だってあれはあくまでも蜘蛛の玩具のセルリアンの筈…」

「っ!リカオンを助けに行く」


ヒグマは熊手を持って、訓練室に向かおうとするがコンに阻まれる。

ヒグマは大声で抵抗する。


「通せ!コン!リカオンが死ぬかと知れないんだぞ!」

「…ヒグマ、リカオンを信じろ」


コンの一言で監視室は静かになった。

そしてコンは操作卓のマイクに近づき言った


「リカオン!野生解放だ!野生解放を使え!」


コンの声は訓練室に届き、リカオンは大声で返す。


「オーダー完了です!!!」


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~逆転…~

リカオンの目が輝きだし、動きが機敏になる

そして彼女は上にぶら下がっているセルリアンに向かってジャンプをする!


「伝家の宝刀ワンツー!!」


彼女はそう叫びセルリアンに向かって攻撃を仕掛ける、空中にいる、セルリアンは為す術無く落下し、逆さまに地面に叩きつけられる

リカオンは着地時に石に刺さっていたナイフの上に着地ナイフは石にめり込み、石は粉々に砕け散る。

セルリアンはパッカーンという気持ちいい音と共にサンドスターのキューブに戻る。


「ふぅ…オーダー完了です…」


リカオンはその場に座り込んだ、少し無理をしたのだった。

すぐにコンがメインドアを開け、訓練室に入る。


「リカオン、よくやった大丈夫か?…」


リカオンは怠そうに答える


「す、少し、サンドスターが…」


ううっ…ドサッ

リカオンは倒れてしまった。


「おい!大丈夫か?…体の力が抜けただけか…ヒグマ、運んでやってくれないか?」

「解った」

「私も手伝います」


ヒグマとキンシコウがリカオンを背負っていく。


「コン、僕が…」

「ああ、頼む」

「ゴメン、じゃあ後片付けお願いね」

「任せろ」


メガネもヒグマ達の後を追っていった。


「…まずは換気だな」


コンは換気扇を付け、回りの設備を一通り調整し、リカオンの元へ向かった。


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~リカオンの部屋~

「ううっ…すいません…」


リカオンは申し訳なさそうにベットに寝ていた。


「初めてのACETだから仕方ないよ…よし、あとはこれを食べれば18分後には良くなってるよ」

「失礼する」


コンが部屋に入ってきた


「リカオン、大丈夫か?」

「お蔭様でだいぶ良くなりました…」

「そうか、じゃあしっかり休んでくれ、それともう君は見習いじゃ無くなった、一人前になったんだ、誇ってくれ」

「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!!コンさん!」


リカオンはパァッと顔が明るくなった。


「本当だ、おめでとう、リカオン…だか、

とりあえず今はゆっくり休んで明日に備えてくれ」

「オーダー完了ですっ!」


コンは部屋を出て自室に戻った。

コンは一通りの荷物を片づけるとコヨーテのナイフを抜き、拭き始めた。


(たまに手入れしないと、悪くなるからな…)


すると徐にあの時の記憶が蘇る。


「コン!受け取ってくれ…!」

「やめろ…お前はまだ死ぬな!ナイフは受け取らん!」

「コン…私からの最後のお願いだ…頼む…」

「コヨーテ…」


コンの瞳からは涙が一滴、ナイフを拭く手を止め、布団に倒れた。


(コヨーテ何時までも俺のことを見守ってくれているのか…?)


コンは布団に入り、電気を消した。


(明日に備えよう…)


そして、コンは深い眠りについた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

後11時間後


???「サ…ゲ…ン」

グツグツグツ…

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