第9話

妻のしている日記という物を私も始めてみようかと思う。アウグスト帝国のオルトロフ伯爵家の当主セルゲイだ。帝国陸軍の騎兵大佐を務め皇帝陛下の近衛第1騎兵連隊長を任されている。

本日素晴らしい事にオットー皇太子殿下が帰還され、エステルを下したことを報告された。それによりオットー殿下は陛下より帝国軍陸海軍元帥位が与えられた。

オットー殿下は即日国立海軍技術廠に出向かれ、蒸気機関とやらを視察され実用化に向けた開発加速を命じられ、多額の資金を私有財産から拠出された。

軍務にて功績を挙げられた殿下は実権を得て実務をになっていくことになる。


オルトロフ伯爵セルゲイ卿日記


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驚いた。まさか、あのような素晴らしい動力源が存在するなんて。蒸気機関は戦争を変える。現在の帝国海軍の主力艦は帆船季節や気候によって戦力は大きく変化する。海軍の軍艦は勿論、蒸気機関を搭載した輸送船や陸上にも学者達が提出した鉄道とやらは兵員の展開力と物資輸送力は経済などでも革命が起きる。


海軍向けの蒸気機関は開発に成功したらしく、キール港にヴィエンヌ級戦艦4隻を建造開始した。

スペックは常備排水量6400t、最大速力14kt、259mm単装砲6基、87mm単装砲14基

種別は沿岸戦艦。

近海防衛と蒸気機関の運用試験を行う。魔術師と戦力の最大動員を行い1隻ひと月での建造が進められている。


帝国領土とは3つの段階に分けて統治される。帝国政府による直轄統治の敷かれる本国領、統治に強権が必要で故に総督が派遣され間接的に統治される帝国属州。主に南方大陸に設置されている帝国植民地である。

鉄道は既に列車の製作と線路の敷設は戦争中に開始されており本国領においてはほぼ100%に近い普及率をたたき出している。今それを戦争終結から半年経た現在、帝国は産業革命が発生し、新たな魔道科学技術の発達を見せている。旧来の魔道鉱炉によって駆逐された石炭などが大量な需要を生み出し全て国有な我が国の鉱山は大賑わいを見せ、大きな雇用と鉱山労働者向けの商店など寂れていた鉱山都市の発展を受け税収も上がっている。

ヴィエンヌ級戦艦の成功を受け現在カイザー級戦艦の建造が決定し1万tの排水量を誇る、主砲28cm連装砲二門に単装砲一門105mm速射砲6門の大艦艇となっている。

カイゼリン・アウグスタ級防護巡洋艦、排水量5626t、速力19.9kt主砲21cm単装砲二門15cm速射砲6門の高速艦

駆逐艦フュルスト・ベルテンバルグ、排水量320t、88mm単装速射砲一門、50mm単装砲六門、速力27kt


その3艦種が海軍の主力となる。旧来の三等以上の戦列艦は蒸気機関を搭載できるよう魔術によって強度をあげるなど改造し、物資輸送艦として運用する予定だ。


陸軍も砲兵を統一する事にした、師団に50mm榴弾砲MC2を配備するからだ。


アウグスト帝国は新たな時代を迎える。

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