第8話
故にその帝位を禅譲されたアウグスト家においてエステル共和国に勝利する事は大きな意味を持つ。
「諸君、歓喜せよ。諸君らは今伝説の再現を目にする。」
「我らがアウグスト帝国の祖、シャルルマーニュ帝国のカール・フォン・フリッツ大帝は王政エステルを粉砕し教皇聖下より帝冠を得た。敵はエステル。我らは帝国。神は我らと共にあり!」
包囲済みの元老院はエステルとの心中を選択。クロエがこちらに着いたのならば元老院の耄碌した老害共を生かす理由は無い。
「「「神は我らと共にあり!」」」
包囲下の首都には既に陥落。内部に潜入した少数の兵士が内側に招き入れ、停戦終了と同時に落ちた。
エステル共和国もそれも理解していて首都には1500ほどの歩兵しか入れていない
騎兵を歩兵が弓と槍衾でいなし、騎兵が左右から包み込む様に展開する。クロエ軍は獣人民兵が長剣と長槍を与えられ揃いの帝国軍式皮鎧で装備し一体感を与えた。
戦意は高く、指揮官は互いに理解していたとは言え、首都ソーディス陥落はエステル軍の雑兵を動揺させ、帝国軍の士気を高揚させた。負けそうと考えている敵軍程弱いものはない。ものの数時間で恐慌をきたし、敗走を始め数分後には壊走へと変わった。
クロエ率いる軍の士気と戦意は高く、苛烈な攻撃に敵は怯んだ。
クロエの功績は高く、つまり俺の判断の正当性を補強する。優秀な部下だ。
「殿下、敵将クローネル大将討ち取りました。」
「誰だ?」
「テルナー中佐殿です。」
「報奨に期待せよ。」
近衛騎兵が敵陣中央目掛けて突破、敵軍の総大将フィリップ・ド・クローネルの首級を上げた。
副将が速やかに指揮統制を回復するも俺を先頭に重騎兵が左翼から突入。正面からは帝国軍主力のパイク兵と弓兵が敵兵を刈り取る。右翼にはクロエ軍が突撃。後方へ兵士は逃走を開始、帝国軍は追撃を開始、エステル共和国軍はランスター領から追い出された。
残数は侵攻時と打って変わって僅か三万。彼らは自国領に帰還し絶望を味わうことだろう。
そう、ガルナ王国デルタ公爵クリスチャン・アルベルト・フェドロニック軍による全土併合を
†
アウグスト帝国=対帝国包囲網戦争
交戦勢力
アウグスト帝国軍
クロエ・フォン・セルヴォーク軍
デルタ公国軍
ランスター共和国
エステル共和国
結果
帝国側の勝利。聖神教会正統派(アウグスト帝国国教)の影響力増大。
帝国、ガルナ間の関係強化。ガルナ王国、西方同盟加盟。
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