第21話
「では試してみましょう。
でも、もし会得できなくても、オーロラの所為ではありません。
精霊使いと魔獣使いを同時に会得できないのかもしれません。
それと、さっきも言いましたが、オーロラには私を護って頂かねばなりません。
宜しいですか?」
「はい。
有難き幸せ」
「では、どうすればいいのですか?」
「では、私に続いて詠唱を御願いします」
オーロラの教えてくれた呪文は、一度に覚えるにはとても長く難しいモノでした。
最初はオーロラに続いて詠唱し、十度の練習後に自分だけで詠唱しました。
完全に暗記してから、心を込めて祈りました。
ですが土精霊は現れてくれませんでした。
「申し訳ございません、御嬢様。
私に力がないばかりに……」
「そんな事はありませんよ。
私に力がないのかもしれませんし、性格が悪いのかもしれません」
「そんな事はございません!
御嬢様はムクと契約する事ができました。
性格が悪いなどと言う事は絶対にありません」
コックスが手を握りしめて反論してくれます。
嬉しい事です。
「そうです、御嬢様。
さっき話していたように、精霊使いと魔獣使いは同時に会得できないのです。
きっとそうです」
「そうですね。
そうかもしれませんね。
でも諦めずに練習してみましょう」
「「はい!」」
しばらく練習しましたが、土精霊を得る事はできませんでした。
ですが、こんなに長時間練習できたのが驚きです。
全てムクの御陰です。
少し疲れても、直ぐに回復するのです。
ムクから力が流れ込むのが分かるのです。
「少し休みましょう」
「「はい、御嬢様」」
「ワン!
クゥゥゥン、クゥゥゥン、クゥゥゥン、クゥゥゥン」
ムクは何て賢く可愛いのでしょう。
練習の間は御行儀よく待ってくれています。
練習が終わったら、駆け寄って来て甘えてくれます。
身体だけでなく、心まで癒してくれます。
休憩に御茶を頂きました。
リリアンが私の給仕をしてくれます。
コックスとオーロラにも戦闘侍女がついて給仕しています。
御行儀は悪いですが、ムクを膝に抱いてティータイムです。
「オーロラ。
精霊はムクのように触れ合えるのですか?」
膝の上にいるムクを優しく撫でながら聞いてみました。
「はい。
精霊使いの力の強さによって、精霊の力も違ってきます。
力が弱いと姿を見る事はできません。
私も下級ではありますが、下級の中では強い方ですので、見る事ができます」
「まあ、見る事ができるのですね。
だったら一度見せて頂けませんか。
御姿を見れば、祈るのも心を込め易いと思うのです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます