◆コラム#3 実力のある歌い手が好き


 僕が原曲原理主義者であることは、はじめてのチュウで述べた通りですが、たまにふっとカバーにハマることがあります。「歌ってみた」というジャンルに入るものでしょうか。今ではYou Tubeにおいても、ニコニコ動画においても様々な人がカバーを歌っていますね。今日は、その中でもお気に入りの歌い手さんを紹介したいと思います。あまりこのジャンルが得意でない人も楽しめる動画を選びました。是非、見て下さい。


 まず一人目はNick Piteraさん。「両声類」と巷で噂の方です。その名の通りハイトーンが物凄く綺麗。というか目を閉じたらもはや男性が歌っているとは思えないほどの透き通り方。本業は歌手ではなく、あのPixarで3Dモデラーとして働いているそうです。一番有名な「A Whole New World」を一人で歌ってみた動画はYou Tubeで3,600万回再生を誇っていますが、今回はあえてこちらをご紹介。ミュージカルのアラジンメドレーです。理由は単純に去年NYCで見たブロードウェイが素晴らしかったから。こんな風に歌ってみたい。そう思います。


 Nick Pitera's One-Man Tribute to Aladdin on Broadway

 https://www.youtube.com/watch?v=Rzcuyn2kTFs


 


 次は、Sam Tsuiさん。この方も素晴らしい声の持ち主。伸びやかなハイトーンは風が吹き抜けるように気持ちが良いです。Michael Jacksonメドレーを一人アカペラしてみた動画も良いですが、今回はブロードウェイ繋がりで選曲しました。それにNick Piteraさんとのまさかの競演なのです。題目はWicked より「For Good」。Wickedは観たことないのですが、この曲は大好きです。儚い歌詞もですし、ハモリが気持ちいい。「いつか誰かと歌ってみたい」と思わされます。ちなみに彼はハーバード、プリンストンと肩を並べる世界最高峰の学府イェール大学出身です。どうして、天は二物を与えるのでしょうか……。


 "For Good" from Wicked (ft. Nick Pitera)

 https://www.youtube.com/watch?v=lQYmSfLAbJ8


 ちなみに、こちらもオススメ。本家より好きなカバーです。

 "Just A Dream" by Nelly - Sam Tsui & Christina Grimmie

 https://www.youtube.com/watch?v=a2RA0vsZXf8




 次に紹介するのはOn the Rocks。彼らは単体の歌い手ではありません。オレゴン大学のアカペラサークルです。彼らのレベルが高いのはもちろんですが、何より好きなのは歌っていて楽しそうな所。編曲はもちろん、曲の構成、繋ぎに至るまでかなり練られており、曲の後半、Bad Romanceの裏でPaparazziやPoker faceがぐわーっと交ってくるのがたまりません。Showとして観客を楽しませること、また自分たちが楽しんでいることが伝わってきます。……振り付けも自分たちで考えたのでしょうか、サビの部分で両手を突き出し、おしりをプリプリするところが大好きです。

 

 On the Rocks - Lady Gaga - Bad Romance

 https://www.youtube.com/watch?v=cTFh8LCBZeQ


 


 最後はMichael Henry & Justin Robinettの二人組。この方々は二人でピアノに並んで弾き語りをするのが特徴です。色々と歌っているのですが、どんな曲もゆったりと揺蕩うようなバラード調にして、心地よいハモリで盛り上げるのが上手い。その中でも今回は原曲よりも盛り上がりが素晴らしい(と思う)曲を紹介したいと思います。


 If I Die Young - The Band Perry - Cover by Michael Henry & Justin Robinett

 https://www.youtube.com/watch?v=QQoFLrZ5C3M


 


 色々と紹介してきました。全てに共通しているのが、アマチュアはアマチュアなりに自分の良さを分かっていて、それに合わせて原曲を編曲・アレンジしているということ。そして、全てに原曲へのリスペクトが見られます。実力があるのは当然として、ただ歌うだけではなく、「どうすれば良い曲を自分の声で届けることが出来るだろうか」という部分が伝わってきて、実際に僕は原曲よりも好きになるハモリやメロディーがありました。

 

 だからこそ、カバーでも素晴らしく、感動できるのだと思います。これは音楽をもとにした小説の二次創作をしてきた僕にとっても目指すべき姿だと思います。


「どうすればこの曲を文章にして、もっと多くの人に伝えられるのだろうか」


 素晴らしいカバーを聞く時、このような気持ちがぴこぴこと芽を出してくるのです。いつかそれらが花開く時を願っています。


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