終章 (中編) トモダチ

エクステラとイルマは魔王の間へと辿り着いた。

「いらっしゃい。わざわざ来てくれて嬉しいよ。」

そこには椅子で横になる幼い女の子がいた。

「これなら楽しめそう。さ、何して遊ぶ?」

魔王らしき少女は飛び跳ねて喜んだ。

「イルマ君は下がってて…」

そう言われイルマは後ろの方へ下がった。

「ふふふ、あなたが遊んでくれるの?」

エクステラは珍しくはっきりとしない表情をした。

「ねぇ、あなたが魔王なの?」

「うんうん、そうだけど。」

「ねぇ、あなたには何に見えてるの?」

そう言われ魔王は険しい顔をした。

「へぇ、こんな“ヒト”初めてだな。」

魔王は少し様子を見た後に言った。

「…あ〜あ、お気に入りだったのに。もう壊れちゃったの?でも、新しいのがあるからいいや。」

魔王は少し笑うと小さな瓶を出した。そこにはレイとラウラが閉じ込められていた。

「どう?あなたのトモダチ。」

「…“それ”をどうする気?」

後ろにいたイルマには直接表情を見なくても彼女の意図が分かった。

「分かるでしょ?私の新しいおもちゃになってもらうの。でも、あなたが永遠に私の遊び相手になってくれるならあなたにあげる。」

エクステラは黙った。

「いいの?この人たち皆ただのおもちゃになっちゃうのよ。」

「………私がその通りにしたところでそうする気でしょ。」

魔王はキョトンとして言った。

「今まで見てたあなたの雰囲気と全然違う。これじゃあ、全然楽しくないよ。この人たちだって絶対に助けて欲しいと思うよ。」

「違うよ…」

エクステラは覚悟を決めて言った。

「あなたのトモダチと私の友達は…。あなたはトモダチを所詮遊び道具にしか見てない。」

「違うの?だって、みんな生きるの必死で他人を道具にしか見てない。私が道具にしてもなにか悪いことある?」

「違うよ。ほら、私の友達を見て。」

魔王は瓶の中に捕まえた2人を見た。その2人は助けを求める訳でもなく、絶望してる訳でもない。彼女達は…

「びっくりした?本当の友達っていうのは互いに助け合うだけじゃダメなの。お互いを信じているから、命だって任せられる。」

エクステラは右手の剣を前に出した。

「道具じゃない、脇役でもない。私の、自分達の物語は皆が主役。」

エクステラの隣にクロステラが現れる。

「アハ、癪でもないけどね。皆が皆、道具だと思い合う世界なんて、いつか飽きが来る。そんなのつまらないでしょ?」

クロステラは左手の銃を前に出す。

2人は背を向けあって頷くと前に出した手を天に上げる。そこで2人を白い光が包み込んだ。

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